岸信介と日本の戦前・戦後
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
第1話へ
▶ この講義を再生
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
なぜ岸信介は戦後世界で復活できたのか?貫戦史でみる意味
岸信介と日本の戦前・戦後(6)貫戦史からみる岸信介
井上正也(慶應義塾大学法学部教授)
1953年に自由党から国会議員となった岸信介は、その4年後には内閣総理大臣に就任する。今では考えられないその足取りの速さの背景には、戦前から知見を蓄えていた計画経済の担い手としての期待があった。その後、強力な党体制を築く目論見は成就しなかったが、岸の政策ビジョンが戦争を跨いで連続性を持っていたことを「貫戦史」の視点から明らかにする。(全7話中第6話)
時間:18分22秒
収録日:2022年9月2日
追加日:2023年3月25日
≪全文≫

●議席獲得からわずか4年で総理大臣にまで上り詰めた


 1953年に自由党に入党した岸信介なのですけれども、ここから急速に保守の政界の中で頭角を現していくことになります。

 ある種、戦後政治史のおさらいのような話になるのですけれども、鳩山一郎の一派が自由党を離党して民主党という党を作ります。その時に岸も行動をともにして、民主党の初代幹事長になります。

 さらにその後で、1955年に自由党と民主党が保守合同という形で合併して、自由民主党という党が結成されます。いわゆる保守合同の中で岸は、引き続き自民党の初代幹事長になるわけです。この後、石橋湛山政権ができた時に外務大臣になって、石橋が病気で退陣した後に、1957年に首相に就任します。

 ここまでの履歴を見ると本当に急速で、1953年に議席を得た人が1957年に総理大臣になるということは今ではまずあり得ません。政界に復帰してたった4年で首相に上り詰めたわけです。

 どうして岸が急速に政治の世界で台頭できたのでしょうか。もっというと戦争、あるいは敗戦とA級戦犯での収監をはさんで、不死鳥のように復活したのはなぜなのかというところです。

 1つには、やはり岸自身の能力と運というのもあると思います。非常に運があって、度胸がいい。喧嘩をするときは喧嘩できるし、決断するときにさっと決断ができるというのが、単なる優等生的な官僚ではなかったのです。


●計画経済導入を求める時代のニーズに合致した岸の手腕


 ただ、このシリーズのお話の1つの大きなテーマでもあると思うのですけれども、経済と政治の双方で岸が持っていたビジョンが時代に適合していたということが大きかったのだろうと思います。

 経済のお話からさせてもらうと、戦争を通じて統制経済という動きが大幅に強化されたのです。最終的には戦争に負けてしまうわけですけれども、ただ統制経済を通じて国家と経済、社会の関係が、第2次世界大戦の期間で大きく変化しました。占領期に総理大臣を長く務めた吉田茂は、非常に統制が嫌いで、経済計画も大嫌いというタイプの人でした。

 ところが、アメリカの占領が終わると徐々に吉田政権も政治基盤が弱まってきます。同時に批判されるようになったのは、日本が経済的に復興するためには自由放任の経済だけでは限界があるということです。つまり、か...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
躍進するインドIT産業の可能性と課題(1)下請けから世界の中心へ
インドが世界有数のIT産業の拠点へと発展した理由
島田晴雄
紛争が絶えない世界~私たちは何ができるか(1)「戦争の世紀」から再び戦争の時代へ
再び戦争の時代へ――私たちは何を考え、どう動くべきか
小原雅博
ロシアのハイブリッド戦争と旧ソ連諸国(1)ロシアの勢力圏構想とNATO拡大
「ハイブリッド戦争」の実像…ロシアが考えていることとは何か?
廣瀬陽子
お金の回し方…日本の死蔵マネー活用法(1)銀行がお金を生む仕組み
信用創造・預金創造とは?社会でお金が流通する仕組み
養田功一郎
危機のデモクラシー…公共哲学から考える(1)ポピュリズムの台頭と社会の分断化
デモクラシーは大丈夫か…ポピュリズムの「反多元性」問題
齋藤純一
第2次トランプ政権の危険性と本質(1)実は「経済重視」ではない?
トランプ政権の極右ポピュリズム…文化戦争を重視し経済軽視
柿埜真吾

人気の講義ランキングTOP10
「満洲」から考える日本とアジア(1)「満洲」を知る意義とは
「満洲史」はなぜ現代日本でタブー視されるのか?…王道楽土の夢とアヘンなどの裏面から見えてくる現代への教訓
宮脇淳子
編集部ラジオ2026(31)鶴見太郎先生の「公開収録」のご案内
【公開収録のご案内】鶴見太郎先生:ユダヤ人と世界史…その歴史の教訓とは
テンミニッツ・アカデミー編集部
『オデュッセイア』で読み解く神話の秘密(1)物語の構造を読み解くおもしろさ
『オデュッセイア』の面白さの秘密を神話の構造から読み解く…なぜ波乱万丈の神話が人間の創作の源泉になったか
松村一男
モンゴル帝国の世界史(1)日本の世界史教育の大問題
なぜ日本の「世界史」はいびつなのか…東洋史と西洋史の違い
宮脇淳子
ギリシア神話の基本を知る(2) 5つの時代と歴史観
ヘシオドスの『労働と日々』で描かれた「5つの時代」とは
鎌田東二
仏教とキリスト教が照らし出す日本の宗教(6)漢字と理性と想像力
漢字と理性と想像力…いま日本人が考えるべきこととは?
橋爪大三郎
小澤開作と満洲事変・日中戦争(1)少年時代の苦労と五族協和の夢
満洲で「五族協和」に命を懸けた小澤征爾の父・小澤開作
小澤俊夫
マルクス入門と資本主義の未来(1)マルクスとはどんな人物なのか
マルクスを理解するための4つの重要ポイント
橋爪大三郎
「ホメロス叙事詩」を読むために(1)ホメロスを読む
2700年前のホメロスの叙事詩が感動を与え続ける理由
納富信留
日本の財政の真実を検証する(3)金利上昇の深刻な影響
金利が上昇した未来を10年スパンで見てみると…何が起きるか?
宮本弘曉