福田赳夫と日本の戦後政治
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
第1話へ
▶ この講義を再生
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
自民党結党に大きく関与し、自民党政務調査会の制度も構築
福田赳夫と日本の戦後政治(3)政策通としての役割と岸政権誕生後の躍進
井上正也(慶應義塾大学法学部教授)
1952年の衆議院議員総選挙に当選し、政治家人生をスタートさせた福田赳夫。1955年にできた自民党では「政策通」として重要な役割を果たしていく。その一つが政務調査会(政調会)の制度を構築したことだ。その動きの中で一番真価を発揮したのは予算編成である。こうしたことが足がかりになって、福田は政治家として短期間で急速に出世していく。そして、岸政権誕生後の躍進へとつながっていくのだが、そこに至る福田の歩みを振り返る。(全9話中第3話)
時間:10分04秒
収録日:2022年9月29日
追加日:2023年5月26日
≪全文≫

●自民党発足当初から「政策通」として重要な役割を担当


 こうして、ある種、岸信介の側近の1人として政界に入っていき、そこで急速に福田赳夫は頭角を現していくことになります。福田は政治家として政界に入った後で、急速にどんどんと出世していきます。

 その1つの要因は、岸が大きく成長していったことです。岸は非常に短い期間で総理大臣になったので、その岸に引き立てられたことも大きいのです。

 重要だったのは、最初のほう(第2話)に言った、自分以外の大蔵官僚は全員、吉田茂になびいたけれども自分だけはそうしなかったということです。福田は岸を選んだのです。

 実は、岸もそうで、椎名悦三郎のような人もいるのですが、大蔵省出身で財政政策がよく分かっている側近は少なかったのです。

 そういう意味では、福田の存在は、岸が行った日本民主党系統の政治家の中では貴重な存在でした。大蔵省出身であり、政策が非常によく分かっている。「政策マン」という言い方をしますが、そういう中で福田は存在感を示すようになってくるのです。

 特に重要だったのは、日本民主党が自由党と合併して、1955年に自由民主党が結成されたことです。今の自民党です。この結党のプロセスの時に、福田が非常に大きな役割を果たします。

 最初、自民党が新しい党の綱領をつくる時に、「経済計画を採用して、福祉国家を建設する」という文言がはっきり入ってくるのです。これは当然ライバルの野党、社会党がいち早くそういう政策を入れていたこともあるのですが、実はこれを日本民主党と自由党とでどっちが熱心にやっていたかというと、日本民主党のほうなのです。

 というのも、自由党は良くも悪くも吉田がワンマンで動かしている政党です。これに対して日本民主党は、政策をいろいろな議員から吸い上げようとしていました。福田は、実は保守合同で自民党ができる前、日本民主党の政策綱領をつくる時に非常に関与しており、この中で、例えば医療制度や年金制度であるとか、社会保障政策の充実など、福祉国家を建設していくのだという進歩的な政策をいろいろと入れているのです。

 そこでできた日本民主党の政策綱領が、やがて自民党ができた時にけっこう入り込んでいっています。自民党の政策綱領の中に、この時の日本民主党の政策が大きく採用されることになりますし、こういう綱領をつくる会議などで、...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
高市政権の進むべき道…可能性と課題(1)高市首相の特長と政治リスク
歴史的圧勝で仕事人・高市首相にのしかかるリスク要因
島田晴雄
財政問題の本質を考える(1)「国の借金」の歴史と内訳
いつから日本は慢性的な借金依存の財政体質になったのか
岡本薫明
衰退途上国ニッポン~その急所と勝機(1)安いニッポンと急性インフレ
世界で一人負け…「安い国」日本と急性インフレの現実
宮本弘曉
教養としての「人口減少問題と社会保障」(1)急速に人口減少する日本の現実
毎年100万人ずつ減少…急降下する日本の人口問題を考える
森田朗
独立と在野を支える中間団体(1)「中間団体」とは何か
なぜ中間団体が重要か…家族も企業も学校も自治会も政党も
片山杜秀
戦争とディール~米露外交とロシア・ウクライナ戦争の行方
「武器商人」となったアメリカ…ディール至上主義は失敗!?
東秀敏

人気の講義ランキングTOP10
編集部ラジオ2026(15)昭和の名将・樋口季一郎
【10min解説】ユダヤ人救出、奇跡の撤退…名将・樋口季一郎
テンミニッツ・アカデミー編集部
AI大格差~最新研究による仕事と給料の未来(1)最新研究から見えてくる未来像
AI大格差…なぜ日本の雇用環境では「ショックが大きい」のか?
宮本弘曉
昭和の名将・樋口季一郎…キスカ・占守島編(2)司令官の決断と苦悩
玉砕したアッツ島の絵を毎朝拝んでいた樋口季一郎…司令官の苦しみ
門田隆将
教養としての「ユダヤ人の歴史とユダヤ教」(9)ユダヤ人の多様性
ユダヤ人は一枚岩ではない…米国ユダヤ人のイスラエルへの違和感
鶴見太郎
昭和の名将・樋口季一郎…ユダヤ人救出編(1)決断と信念のユダヤ人救出
毅然として人道を貫き、命を救う…樋口季一郎のユダヤ人救出
門田隆将
ウェルビーイングを高めるDE&I(2)人と組織を取り巻く環境変化:後編
なぜ日本の幸福度は低すぎるのか?会社任せで失われる自律性
青島未佳
イラン戦争と終末論(1)イラン戦争の戦略的背景と米国の政策
なぜイラン戦争がこのタイミングなのか?戦略的背景に迫る
東秀敏
天下人・織田信長の実像に迫る(1)戦国時代の日本のすがた
織田信長の「天下」とは…最新研究で激変する人物像・時代像
柴裕之
逆境に対峙する哲学(4)アサガオが枯れた話と天譴説
天譴説という儒教の知恵――統治のあり方を点検するために
津崎良典
豊臣兄弟~秀吉と秀長の実像に迫る(序)時代考証が語る『豊臣兄弟!』の魅力
織田家中一の武略者…『豊臣兄弟!』秀吉と秀長の知られざる実像
黒田基樹