福田赳夫と日本の戦後政治
この講義は登録不要で無料視聴できます!
▶ 無料視聴する
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
昭電疑獄で大蔵省を去り政界へ…なぜ岸信介に惹かれたのか
福田赳夫と日本の戦後政治(2)政治家への道と岸信介との共通点
井上正也(慶應義塾大学法学部教授)
順風満帆に見えた福田赳夫の大蔵官僚時代は、昭電疑獄事件を境に急転する。この事件をきっかけに大蔵省を退職することになった福田が志したのは、政治家への道だった。その後、岸信介に惹かれ、やがて政治活動をともに行っていくことになる。なぜ福田は岸に惹かれたのか。二人にはどんな共通点があったのか。彼らの政治信条をひも解きながらその理由を解説する。(全9話中第2話)
時間:7分54秒
収録日:2022年9月29日
追加日:2023年5月19日
≪全文≫

●昭電疑獄事件を契機に大蔵省を退職、地縁を頼りに選挙活動を開始


 こうやって見るように、福田赳夫は、非常に日本の財政、あるいは汪兆銘政権、中国大陸などでも重要なポストを渡り歩きます。本当に、重要なポストしか歩いていない人なのです。間違いなく主計局長をやって、次は大蔵次官になることが確実と見られていました。

 しかし人生、何が起こるか分からないもので、この後、「昭電疑獄事件」というものに巻き込まれて、福田は賄賂をもらったという疑惑をかけられて、逮捕されてしまうことになります。これは結局、後に裁判を闘って無罪判決になるわけですが、この事件で逮捕されたことで福田は大蔵省を休職して間もなく、1950年に大蔵省を退職することになったわけです。

 大蔵省を退職した福田がその後どうするのかと考えたときに、1つの選択肢は政治の世界に入って政治家になるということでした。実はこれは、当時の高級官僚ではけっこう珍しくない選択肢だったのですが、福田も大蔵次官まで上がったらやがては役人を辞めて政治家になろうかということを考えていました。

 そもそも福田の実家は、お父さんもお兄さんも町長をやっている政治家の一家です。だから、結局は政治家になろうということで、結果的に選挙活動を始めることになります。何か既存の組織に頼るのではなくて、まさに自分の地元の地縁、あるいは血縁などを頼りにコツコツと支持を広げていきました。そのために最初も無所属で出馬をしています。


●大蔵省出身議員の中で、福田1人だけ吉田茂になびかず


 こうした中で、1952年の1回目の選挙で、福田は衆議院議員に当選します。以後、引退するまでずっと当選し続けるのですが、福田は無所属だったけれども大蔵官僚として財政政策もかなり経験のある即戦力です。

 だから当選した後で、社会党などからも、「うちに入ってほしい」と誘われたり、あるいは当時の与党であった、吉田茂率いる自由党も、自由党の中で大蔵省の先輩であった池田勇人が吉田の側近だったので、池田を通じた入党勧誘が福田のところにあったりしました。

 ただ、面白いことに福田はこれらを全部断って、「私は無所属を貫きます」ということを言うのです。

 これは福田自身が回顧録の中で書いているのですが、非常に彼の心意気を示していると思います。当時の国...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
政治思想史の古典『法の精神』と『社会契約論』を学ぶ(1)二人の思想家
モンテスキューとルソー…二人の思想家の共通の敵とは?
川出良枝
第2次トランプ政権の危険性と本質(1)実は「経済重視」ではない?
トランプ政権の極右ポピュリズム…文化戦争を重視し経済軽視
柿埜真吾
お金の回し方…日本の死蔵マネー活用法(1)銀行がお金を生む仕組み
信用創造・預金創造とは?社会でお金が流通する仕組み
養田功一郎
為替レートから考える日本の競争力・購買力(1)為替レートと物の値段で見る円の価値
ビッグマック指数から考える実質為替レートと購買力平価
養田功一郎
危機のデモクラシー…公共哲学から考える(1)ポピュリズムの台頭と社会の分断化
デモクラシーは大丈夫か…ポピュリズムの「反多元性」問題
齋藤純一
本当によくわかる経済学史(1)経済学史の概観
経済学史の基礎知識…大きな流れをいかに理解すべきか
柿埜真吾

人気の講義ランキングTOP10
核DNAからさぐる日本のルーツ(1)人類の起源と広がり
核DNAデータで日本人のルーツを探る…アフリカから日本まで来た行程と時期は?
斎藤成也
「満洲」から考える日本とアジア(5)ロシアのシベリア征服と日清日露戦争
「満洲利権」はなぜ日本の手に渡ったか?…ロシアの極東征服、そして朝鮮の混乱が日本を日清・日露戦争へ
宮脇淳子
『オデュッセイア』で読み解く神話の秘密(1)物語の構造を読み解くおもしろさ
『オデュッセイア』の面白さの秘密を神話の構造から読み解く…なぜ波乱万丈の神話が人間の創作の源泉になったか
松村一男
編集部ラジオ2026(33)鎌田東二先生の法華経講義解説-2
【10min名作探訪】大丈夫だよと励ましてくれる『法華経』…鎌田東二先生の講義
テンミニッツ・アカデミー編集部
仏教とキリスト教が照らし出す日本の宗教(1)神とは何か、そして天皇とは?
日本と世界の「神と信仰」の違いは?…そして天皇の大切な役割
橋爪大三郎
アメリカの理念と本質(1)西洋文明の行き着いた先と三つの建国
アメリカの理念と本質とは?…まず「三つの建国」から原点に迫る
中西輝政
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
資本主義の再定義…哲学で考える(1)アダム・スミスの「市場と感情」
資本主義を哲学する…まずアダム・スミスの見えざる手と道徳感情論
中島隆博
モンゴル帝国の世界史(1)日本の世界史教育の大問題
なぜ日本の「世界史」はいびつなのか…東洋史と西洋史の違い
宮脇淳子
「ホメロス叙事詩」を読むために(7)オデュッセウスの冒険
ホメロスの『オデュッセイア』が描く苦難と誘惑の冒険譚
納富信留