福田赳夫と日本の戦後政治
この講義シリーズは第2話まで
登録不要で無料視聴できます!
第1話へ
▶ この講義を再生
この講義の続きはもちろん、
6,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
角福戦争…派閥解消にこだわる福田vs金権政治の田中角栄
福田赳夫と日本の戦後政治(6)角福戦争と福田赳夫の敗北
井上正也(慶應義塾大学法学部教授)
佐藤栄作首相の絶大な信頼を得て、政権内で確固たる地位を築いていた福田赳夫。佐藤が首相の座をしりぞく1972年、次期総裁の最有力と目されていたのは当然、福田だった。しかし、田中角栄の総裁選立候補がその状況を一変させた。「角福戦争」と呼ばれる熾烈な総裁選が繰り広げられることになり、福田は敗北する。総裁選の明暗を分けた要因を、福田と田中の対照的な政治理念から読み解く。(全9話中第6話)
時間:8分32秒
収録日:2022年9月29日
追加日:2023年6月16日
≪全文≫

●佐藤栄作も気がかりだった派閥解消論者の福田赳夫の姿勢


 佐藤政権は非常に長期政権になったのですが、1970年、総裁の3期目が終わった時に佐藤栄作は悩みます。つまり4期目をやるかどうかという瀬戸際だったのです。佐藤にとって、3期で辞めて、自分に力が残されているうちに福田赳夫に後を譲るというのが一番いい考え方でした。

 ところが問題がありました。1つは、福田自身は派閥解消論を唱えていたので、自分の派閥を熱心に大きくしてなかったのです。赤坂プリンスホテルに旧岸派の事務所があって、それを福田は引き継いでいたのです。だから、もちろん福田の周りに人が集まってきて、福田の派閥は存在していたのですが、実は熱心に総裁選に勝つために何か活動をするとか、会員の数を増やすようなことをしていなかったのです。

 実は佐藤はそれをすごく心配していて、福田はやる気があるのかと。派閥解消なんて甘っちょろいことを言っているかもしれないが、結局は、政治は数の世界だというのが佐藤の考え方なのです。このままいくと、自分が福田を推そうにも、総裁選になったときにライバルたちが連携して福田を潰しにいったら負けてしまうではないか、というのが佐藤の懸念でした。

 佐藤はそう考える一方で、自分ももう少し首相をやりたいという気持ちがあったのです。というのも、もう1期、4期までやったら佐藤が政権後最大の課題として取り組んできた沖縄返還をその目で見ることができます。自分が首相として沖縄返還を達成できるという野心もあったのです。


●川島正次郎の思惑も利用し、総裁選に一気に挑んだ田中角栄


 そういう佐藤の心理を非常にうまく突いてきたのが、自民党の副総裁だった川島正次郎でした。先ほども少し名前が出てきましたが、もともとは岸の側近だったのです。ところが岸派が分裂したときに福田と違う派閥をつくりました。だからあまり実は関係が良くないのです。

 川島は福田には首相になってほしくなかったわけです。というのも、官僚出身の池田勇人、佐藤が続いて、また官僚の福田が続いたらずっと官僚政権ではないかと。川島は、たたき上げの党人派であり、戦前から選挙で勝ち残ってきた政治家です。同じ党人派として彼が期待していたのは、佐藤派の最高幹部の1人だった田中角栄でした。田中に対して期待をしていました。ところが3期目で辞められて、福田に後を譲られた...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
ロシアのハイブリッド戦争と旧ソ連諸国(1)ロシアの勢力圏構想とNATO拡大
「ハイブリッド戦争」の実像…ロシアが考えていることとは何か?
廣瀬陽子
ハーディングとトランプ~100年前の米大統領選を読む(1)米国第一主義の台頭
1920年のアメリカファースト…ハーディング大統領の勝利
東秀敏
プーチンのロシア―その思想と戦略―(1)プーチン政治の特徴
ロシア皇帝のように悪者を叱る人…プーチンの思想と歴史観
山添博史
教養としての「人口減少問題と社会保障」(1)急速に人口減少する日本の現実
毎年100万人ずつ減少…急降下する日本の人口問題を考える
森田朗
資産運用の思考法…経済や市場の動きをどう読むか
市場予測のポイント…短期・中期・長期の視点と歴史的洞察
養田功一郎
経済社会と「隠れた価値」の行方(1)経済の中の価値
人間の幸福と「価値」…お金以外の「隠れた価値」をどう考えるか
吉川洋

人気の講義ランキングTOP10
ロシア人の見る「ロシアの歴史」(3)ヴァイキング招致説とキエフ・ルーシ
ロシアの起源はヴァイキング?…キエフ・ルーシの興亡と、ロシアとウクライナの決定的な「歴史的溝」
上月豊久
小澤開作と満洲事変・日中戦争(1)少年時代の苦労と五族協和の夢
満洲で「五族協和」に命を懸けた小澤征爾の父・小澤開作
小澤俊夫
民主主義の本質(1)近代民主主義とキリスト教
なぜ民主主義が「最善」か…法の支配とキリスト教的背景
橋爪大三郎
高齢者のフレイル・認知症とその予防対策(4)認知症と共生社会の実現に向けた対策
その物忘れ、認知症かも…加齢による物忘れとの違いと一番大事なこと
小川純人
「重要思考」で考え、伝え、聴き、議論する(1)「重要思考」のエッセンス
重要思考とは?「一瞬で大切なことを伝える技術」を学ぶ
三谷宏治
『万葉集』と律令社会~官僚の心得と歌宴(4)郡家の発掘と新田山を詠んだ東歌
「東歌」に刻印された奈良時代の真実とは?…地方に気をつかい地方のパワーを取り込んで中央政権はできていた
上野誠
文明語としての日本語の登場(1)古代日本語の復元
なぜ「てふてふ」が蝶々?日本語の変遷を追う…まずは万葉仮名から
釘貫亨
プラトン『ポリテイア(国家)』を読む(14)ポリスと魂の堕落過程〈下〉僭主の末路
僭主制は欲望の奴隷…過度の自由が過度の隷属に転換する
納富信留
『オデュッセイア』で読み解く神話の秘密(1)物語の構造を読み解くおもしろさ
『オデュッセイア』の面白さの秘密を神話の構造から読み解く…なぜ波乱万丈の神話が人間の創作の源泉になったか
松村一男
第2次トランプ政権の危険性と本質(1)実は「経済重視」ではない?
トランプ政権の極右ポピュリズム…文化戦争を重視し経済軽視
柿埜真吾