福田赳夫と日本の戦後政治
この講義シリーズは第2話まで
登録不要で無料視聴できます!
第1話へ
▶ この講義を再生
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
エリート、理念重視、自民党近代化…福田赳夫を深掘りする
福田赳夫と日本の戦後政治(9)ぶれない政治家と自民党での役割
井上正也(慶應義塾大学法学部教授)
派閥争い、金権政治という荒波を乗り越えて、自身の政治理念を貫き通した福田赳夫の政治家人生。どのようにして、福田のような政治家が生まれるに至ったのか。また、福田の掲げた理念は、今の自民党政治にとってどのような意味を持っているのか。本講義収録後に行われた質疑応答編を通じ、福田の生涯をさらに深掘りしていく。(全9話中第9話)
※インタビュアー:神藏孝之(テンミニッツTV論説主幹)、川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:15分50秒
収録日:2022年9月29日
追加日:2023年7月7日
≪全文≫

●「根強い派閥政治」との闘い


―― 佐藤政権の後、日本にとってかなり政治家的に経験知も実績も出来上がった福田赳夫には、まだ十分な若さもありました。そのままいけば、だいぶ日本のその後の方向というのは変わっていましたよね。

井上 いろいろなところで変わっていたのではないかとは思います。1970年代は、非常に国際的にも大変な時代でした。そういうときに日本政治は、派閥抗争でかなりエネルギーを吸い取られたと思うのです。

―― そうですね。

井上 そういう中で、例えば、あの三角大福の順番からいえば、福田が年齢的にも佐藤栄作の後にまず首相になって良かったわけです。だから、福田が数年間ぐらい長期政権を引き継いで、その後に年齢で行くと大平がなるわけです。むしろ、その方がより日本が長期的な課題に取り組めたのではないかという感じはあります。これはif(イフ)の話なので、非常に難しいですが。

―― 派閥抗争において、岸信介も福田も、「やはり戦前型の派閥型政治はいかんな」という考え方だったのに、所得倍増論をやる池田勇人の時あたり、岸政権を倒すあたりからもう1回復活してくるということはすごく皮肉ですね。

井上 そうですね。系列化されていって、また生まれてくる。何度も派閥を解体しようとするのだけれど、やはり潰せないわけですね。

 もう少し続きの話になると、田中角栄はロッキード事件で逮捕された後で、今度は自分が無罪を勝ち取るために、自分の派閥をやたらと巨大化させていきます。それが、派閥に事務局ができて、制度化されていって、どうにも手が付けられないようになっていく。それが1つの政治改革、つまり「1990年代の政治に金がかかりすぎる問題」の改革へとつながると思うのです。

 福田は1995年に亡くなるのですが、それこそ1990年代まで金権政治の打破を唱え続けて、常に田中を牽制し続けるのです。福田の理念自体は正しかったと思うし、それゆえに彼が時代遅れにならず、ずっと政界で重きをなし続けた1つの要因なのだろうと思います。


●天下国家のことを考えれば、生活の面倒は見てもらえる時代


――福田の経歴としてはものすごいエリート教育(を受けているの)ですよね。

井上 そうですね。

―― 今の財務省に入った人では考えられないような感じの教育ですよね。

井上 大蔵省に入った人の中でも、福田のキャリアは特殊です。本流...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
教養としての「人口減少問題と社会保障」(1)急速に人口減少する日本の現実
毎年100万人ずつ減少…急降下する日本の人口問題を考える
森田朗
ロシアのハイブリッド戦争と旧ソ連諸国(1)ロシアの勢力圏構想とNATO拡大
「ハイブリッド戦争」の実像…ロシアが考えていることとは何か?
廣瀬陽子
習近平中国の真実…米中関係・台湾問題(1)習近平の歴史的特徴とは?
一強独裁=1人独裁の光と影…「強い中国」への動機と限界
垂秀夫
民主主義の本質(1)近代民主主義とキリスト教
なぜ民主主義が「最善」か…法の支配とキリスト教的背景
橋爪大三郎
半導体から見る明日の世界(1)世界的な半導体不足と日本の可能性
なぜ世界の半導体不足は起きた?台湾TSMCと日本復活への鍵
島田晴雄
地政学入門 ヨーロッパ編(1)地図で読むヨーロッパ
ヨーロッパとは?地図で読み解く地政学と国際政治の関係
小原雅博

人気の講義ランキングTOP10
高齢者のフレイル・認知症とその予防対策(1)老年病科と高齢者の疾患・病態の特徴
頻尿、低栄養、転倒、誤嚥、フレイル…増える老年症候群と高齢者の疾患・病態の特徴
小川純人
習近平中国の真実…米中関係・台湾問題(5)恐るべき台湾への「浸透」
浸透工作…台湾でスパイ裁判が約70件、それも氷山の一角
垂秀夫
「満洲」から考える日本とアジア(5)ロシアのシベリア征服と日清日露戦争
「満洲利権」はなぜ日本の手に渡ったか?…ロシアの極東征服、そして朝鮮の混乱が日本を日清・日露戦争へ
宮脇淳子
『オデュッセイア』で読み解く神話の秘密(1)物語の構造を読み解くおもしろさ
『オデュッセイア』の面白さの秘密を神話の構造から読み解く…なぜ波乱万丈の神話が人間の創作の源泉になったか
松村一男
「ホメロス叙事詩」を読むために(5)『イリアス』の世界ーその1
叙事詩イリアス…トロイア戦争最後の50日間を描いた傑作
納富信留
日本の財政の真実を検証する(1)膨らむ借金の知られざる実態
日本の財政の「真実」をデータで徹底検証…国際機関の分析は?
宮本弘曉
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
キリンでつかんだ「幸せになる」仕事術(1)悩みの99%は他者との関係性
「使命観=パーパス」に立脚できないのは自分のエゴのせい
田村潤
ChatGPT~AIと人間の未来(1)ChatGPTは何ができて、何ができないか
ChatGPTは考えてない?…「AIの回答」の本質とは
西垣通
教養としての「ユダヤ人の歴史とユダヤ教」(1)ユダヤ人とは誰のことか
ユダヤ人とは?なぜ差別?お金持ち?…『ユダヤ人の歴史』に学ぶ
鶴見太郎