国際変動の中の経済政策
この講義シリーズの第1話
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
サッチャー改革、小泉改革を進められた理由…支持基盤の謎
国際変動の中の経済政策(2)「小さな政府」の支持基盤と日本の実情
曽根泰教(慶應義塾大学名誉教授/テンミニッツ・アカデミー副座長)
近年、反グローバリズムへの動きを見せ始めているイギリスとアメリカだが、両国にはサッチャーとレーガンが先頭に立ち新自由主義を押し進めてきた歴史がある。そこで、かつて労働者層からも支持された「小さな政府」政策について振り返るのだが、注目したいのは支持基盤の変化を巻き起こすという点だ。では、そのためにイギリスで行われた手法を日本に持ってくるとどうなのか。日本の実情について解説する。(全3話中第2話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:15分21秒
収録日:2023年3月31日
追加日:2023年7月29日
≪全文≫

●なぜイギリスやアメリカから反グローバリズムが出てきたのか


曽根 では、なぜ反グローバリズム、脱グローバリズムというのが、一番最初にサッチャーやレーガン、つまりアングロサクソン系でグローバリズムや自由主義、新自由主義が唱えられたイギリスやアメリカから出てきたのか。ここはやはり難しい問題です。いち早く離脱したいと。例えばTPPにしても、アメリカが主張していたのに、もうTPPは嫌だ、1国主義でいくのだ、「Make America Great Again」だと。

 そういう意味でいうと、やはりアメリカ、イギリスの中で分極化が非常に起こったのだと思います。特にお金持ちは非常に増えたわけです。いつか、(以前に)テンミニッツTVの講義の中で「エレファントカーブ」ということをお話ししたことがあります。エレファントの鼻に相当する部分は所得が20年間、非常に伸びたわけですが、伸びたその半分くらいはアメリカ人なのです。

 ですから、お金持ちは非常にお金持ちです。ところが、取り残された「left behind」の人たちがいて、その「left behind」というのは20年間、今まではミドルクラス、あるいは中だったのですが、所得が伸びないままずっと来てしまい、世界の大勢の中で取り残されたという、その心理的な敗北感のようなものが、ある意味でトランプをサポートする人たち、あるいはボリス・ジョンソンというよりも、EU離脱を主張する人たちにつながっているのです。

 だから、グローバリズムや新自由主義がスタートした国が一番早く離脱を声高に主張して、選挙でも、1期だけですがトランプが勝ってしまうというようなことが起きたのは、これまた考えるべきことです。

 よく「分極化」というのですが、ポラライズ(分極化)したということで、なぜポラライズした国になってしまったのか。アメリカ自体にはポラライズの要素は昔からあります。南北戦争があるし、所得格差もあります。しかし、なだらかに豊かになっていく1950、1960年代の頃を知っている人間にとっては、こんなにいがみ合うのはなぜなのかということに1つの疑問があって、ここに関してはまだ解明が十分されていないのです。

―― これは、いわゆる学説的なものですね。経済学の学説的なものと政治的なものとの兼ね合いがここでもまた見えてくると思います。例えばニューデ...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
日本の財政政策の効果を評価する(1)「高齢化」による効果の低下
高齢化で財政政策の有効性が低下…財政乗数に与える影響
宮本弘曉
中国の「なぜ」(1)なぜ「中国は一つの国なのか」
武力で負けても文化で勝つ? 恐るべし「中原」の同化力
石川好
デジタル全体主義を哲学的に考える(1)デジタル全体主義とは何か
20世紀型の全体主義とは違う現代の「デジタル全体主義」
中島隆博
クーデターの条件~台湾を事例に考える(1)クーデターとは何か
台湾でクーデターは起きるのか?想定シナリオとその可能性
上杉勇司
お金の回し方…日本の死蔵マネー活用法(1)銀行がお金を生む仕組み
信用創造・預金創造とは?社会でお金が流通する仕組み
養田功一郎
墨子に学ぶ「防衛」の神髄(1)非攻と兼愛
『墨子』に記された「優れた国家防衛のためのヒント」
田口佳史

人気の講義ランキングTOP10
インテリジェンス・ヒストリー入門(1)情報収集と行動
日本の外交には「インテリジェンス」が足りない
中西輝政
平和の追求~哲学者たちの構想(4)ルソーが考える平和と自由
ルソーの「コスモポリタニズム批判」…分権的連邦国家構想
川出良枝
熟睡できる環境・習慣とは(4)起きているときを充実させるために
夜まとめて寝なくてもいい!?「分割睡眠」という方法とは
西野精治
葛飾北斎と応為~その生涯と作品(2)『富嶽三十六景』神奈川沖浪裏への道
『富嶽三十六景』神奈川沖浪裏のすごさ…波へのこだわり
堀口茉純
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(1)サイバー・フィジカル融合と心身一如
なぜ空海が現代社会に重要か――新しい社会の創造のために
鎌田東二
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(2)バイアスの正体と情報の抑制
『100万回死んだねこ』って…!?記憶の限界とバイアスの役割
今井むつみ
「宇宙の創生」の仕組みと宇宙物理学の歴史(1)宇宙の階層構造
「宇宙の階層構造」誕生の謎に迫るのが宇宙物理学のテーマ
岡朋治
プロジェクトマネジメントの基本(3)プロジェクトのすすめ方
PDCAサイクルを回すための5つのプロセスとそのすすめ方
大塚有希子
歴史の探り方、活かし方(1)歴史小説と史料探索の基本
日本は素晴らしい歴史史料の宝庫…よい史料の見つけ方とは
中村彰彦
2025年、どん底日本を脱却する大戦略(1)日本が凋落した要因を総覧する
日本凋落の「7つの要因」と「10の復活大戦略」
島田晴雄