政権と経済政策~政治を動かす経済学説
この講義シリーズの第1話
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
スミス、マルクス、ケインズ、フリードマンの学説の特徴
政権と経済政策~政治を動かす経済学説(2)4人の経済学者と政策への影響
政治と経済
曽根泰教(慶應義塾大学名誉教授/テンミニッツ・アカデミー副座長)
政権の政策において特に重要なのが経済政策だが、経済学者たちの学説はどのように政策に影響を与えているのだろうか。アダム・スミス、マルクス、ケインズ、フリードマン、4人の著名な経済学者を振り返り、同時代的な評価や没後の影響など、さまざまな形で残るその思想の反映を解説する。(全3話中第2話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:14分41秒
収録日:2023年3月31日
追加日:2023年6月13日
≪全文≫

●4人の経済学者を当時の政治との重なりから振り返る


―― そうすると政権、学説から政策、政権、政治体制ということですが、次が学説の特徴ということですね。

曽根 はい。これはすでに柿埜真吾さんや橋爪大三郎さんが説明してくれている講義のシリーズの中でも紹介があるのですが、私は4人の代表的な経済学者をスライドに挙げました。

 実はChatGPTでやっても上から4番までは同じ選択でした。代表する学説ですが、例えばアダム・スミスという人は「神の見えざる手」や「自由放任」といわれていますが、私の位置づけはミクロの動機とマクロの市場の結果は異なっているということです。

 つまり、それまでの経済学は、どちらかというと個人の動機だとか、個人の活動を記述する学問だったのが、個人の動機とは切り離された、トータルの市場の結果はどうなるかということに興味を持ったし、それを発展させました。そういう意味では、近代の経済学の発祥といえるのだろうと思います。

 ただ、当時のスコットランド、グラスゴー大学の道徳哲学の先生ですから、政権そのもの、その中心部で影響があったかどうかは別にして、学問としては過去を振り返れば突出した学者であることは間違いありません。特に分業ということを、アダム・スミスは釘作りの例で説明するわけですが、分業があるということは、大量生産が可能ということです。

 ただ、ほぼアダム・スミスの時期に産業革命は起こります。スコットランドでも当然起こるわけですが、まだ産業革命を包括的に説明していないのです。そういう意味でいうと、アダム・スミスの頃のスコットランドは、ヒュームがいたり、ワットが出てきたりと国際的な都市だったのですが、イギリスの権力の中心で理論を展開したということではありません。ただし、振り返ると、学説的には非常に影響を及ぼしました。そういう意味では、アダム・スミスを近代経済学の父(発祥の人)と位置づけるのは正しいのだろうと思うのです。

 その次にカール・マルクスという人が出てきますが、マルクスは第1話でご説明したように、もちろん労働価値説、あるいは剰余価値説などで資本主義を切って批判するわけです。その中心部はやはり革命の理論として受け継がれ、実践されたと思ったらいいでしょう。

 本人は非常に貧しい生活をして、エンゲルスにサポートさ...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
2025年、どん底日本を脱却する大戦略(1)日本が凋落した要因を総覧する
日本凋落の「7つの要因」と「10の復活大戦略」
島田晴雄
岸信介と日本の戦前・戦後(1)毀誉褒貶相半ばする政治家
「昭和の妖怪」岸信介の知られざる実像を検証する
井上正也
マルクス入門と資本主義の未来(1)マルクスとはどんな人物なのか
マルクスを理解するための4つの重要ポイント
橋爪大三郎
習近平中国の真実…米中関係・台湾問題(1)習近平の歴史的特徴とは?
一強独裁=1人独裁の光と影…「強い中国」への動機と限界
垂秀夫
グローバル環境の変化と日本の課題(1)世界の貿易・投資の構造変化
トランプの動きを止められるのは?グローバル環境の現在地
石黒憲彦
自民党総裁選~その真の意味と今後の展望
「マスコミ報道」では見えない自民党総裁選の深い意味
曽根泰教

人気の講義ランキングTOP10
経験学習を促すリーダーシップ(4)成功を振り返り、強みを伸ばす
なぜ強みが大事なのか?ドラッカー、西田幾多郎の答えは
松尾睦
大人の学び~発展しつづける人生のために(1)「Unlearn(アンラーン)」とは何か
見方を変える!生き方を変える!そのためのアンラーン
為末大
「集権と分権」から考える日本の核心(7)人間の性と今後の「集権と分権」
ロシアを見れば明らか…正義を唱えても優るのは人間の性
片山杜秀
習近平中国の真実…米中関係・台湾問題(1)習近平の歴史的特徴とは?
一強独裁=1人独裁の光と影…「強い中国」への動機と限界
垂秀夫
未来を知るための宇宙開発の歴史(11)地球にない宇宙資源を活用する時代へ
月で生活できる!? 地球では入手困難な宇宙資源の獲得へ
川口淳一郎
編集部ラジオ2025(22)長谷川眞理子先生の「子育て」講義
生物学からわかる「ヒトの配偶や子育て」で大切なこと
テンミニッツ・アカデミー編集部
ヒトは共同保育~生物学から考える子育て(5)現代社会の問題点と親性脳のスイッチ
親も子もみんな幸せになる方法…鍵は親性脳のスイッチ
長谷川眞理子
数学と音楽の不思議な関係(1)だれもがみんな数学者で音楽家
世界は音楽と数学であふれている…歴史が物語る密接な関係
中島さち子
弥生人の実態~研究結果が明かす生活と文化(1)弥生時代はいつ始まったのか
なぜ弥生時代の始まりが600年も改まった?定説改訂の背景
藤尾慎一郎
健診結果から考える健康管理・新5カ条(1)血管をより長く守ることが重要な時代
健康診断の結果が悪い人が絶対にやってはいけないこと
野口緑