政権と経済政策~政治を動かす経済学説
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政策決定…政権の学説つまみ食い、学者からのアプローチ
政権と経済政策~政治を動かす経済学説(3)政治的決断と学説の可能性
曽根泰教(慶應義塾大学名誉教授/テンミニッツ・アカデミー副座長)
学者が生み出す新しい理論、知見は、さまざまな形で政治や政策と関わりあってきた。それは経済政策だけでなく、ケネディ政権によるアポロ計画のように科学政策を採用することで政権基盤を確実なものにしてきた例もある。しかし、日々刻々と変化する情勢に対応する政治に、いつでも学説が対応できるとは限らない。必ずしも学術的な答えが保障されない中で決断をする政治的営みと学説の関係性について、デフレ問題など日本の経済政策も取り上げながら深掘りする。(全3話中第3話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:8分28秒
収録日:2023年3月31日
追加日:2023年6月20日
≪全文≫

●政治による「つまみ食い」と、その学問的可能性


―― 次が、政権の切り札になるか、足枷になるかというところですね。

曽根 はい。政権から見ると、いい政策を打つことによって自分の体制というか、自分の政権基盤を確実なものにして、次の選挙で勝てる。これは有効な手法です。だから、必ずしも経済政策だけではなくて、科学政策を採用することによって政権の基盤をうまくつくることもあります。例えば、ケネディが人をロケットで月に行かせるというアポロ計画は、ある意味で科学政策なのだけれど、それはケネディの政権にとっては非常に重要な政策で、アメリカ人を鼓舞することができたということです。

 政策のアイデアがどこから出てくるのかというのはなかなか難しいのですが、必ず最後、政策として実行されるためには、その政権がそれを決断、決定しなければいけない。その決定に食い込むために、学者のほうもいろいろな形で政権にアプローチしています。マンハッタン計画などはまさしくそうで、あるいは経済政策でも政権に取り入ろうとしてセールスマンのようにホワイトハウスの周りをうろうろしている人もいます。

 政権から見れば、つまみ食いをするということは常套手段です。しかし、学問の発達という点から見ると、意外とそこに、ブローカーだと思っていたけれど、新しい発見を見出すことが可能な説もあるということです。学者は研究室や大学の中で閉じて、自分の研究を死に物狂いでやる。それこそが正しい学者だという説もあるけれど、実際、社会で起こっていることをうまく汲み取って、それを理論化して発表し、政策として実行される。新しい理論の可能性は、実は現実の中にあると考えたほうがいい。私はそう思っているのです。


●学説的な結論の出ない中で決断を迫られる政治


―― それを学んだ上でこの問題に返ってくると、政治家でもないわれわれがこの局面をどう見るかということなのですが、経済学の学説の対立があります。片や、つまみ食いをしかねない政治の世界があります。実際、その相互関連によって政治が動いていって、それによって経済学が確かに、やっぱりこちらのほうが効果はあったということで進むこともあれば、1歩間違えると、日本はそうかもしれませんが、デフレがずっと続いてしまうとか、いろいろな問題に直面してくるわけですね。

曽根 ...

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