政権と経済政策~政治を動かす経済学説
この講義シリーズの第1話
登録不要無料視聴できます!
第1話へ
▶ この講義を再生
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
政策決定…政権の学説つまみ食い、学者からのアプローチ
政権と経済政策~政治を動かす経済学説(3)政治的決断と学説の可能性
曽根泰教(慶應義塾大学名誉教授/テンミニッツ・アカデミー副座長)
学者が生み出す新しい理論、知見は、さまざまな形で政治や政策と関わりあってきた。それは経済政策だけでなく、ケネディ政権によるアポロ計画のように科学政策を採用することで政権基盤を確実なものにしてきた例もある。しかし、日々刻々と変化する情勢に対応する政治に、いつでも学説が対応できるとは限らない。必ずしも学術的な答えが保障されない中で決断をする政治的営みと学説の関係性について、デフレ問題など日本の経済政策も取り上げながら深掘りする。(全3話中第3話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:8分28秒
収録日:2023年3月31日
追加日:2023年6月20日
≪全文≫

●政治による「つまみ食い」と、その学問的可能性


―― 次が、政権の切り札になるか、足枷になるかというところですね。

曽根 はい。政権から見ると、いい政策を打つことによって自分の体制というか、自分の政権基盤を確実なものにして、次の選挙で勝てる。これは有効な手法です。だから、必ずしも経済政策だけではなくて、科学政策を採用することによって政権の基盤をうまくつくることもあります。例えば、ケネディが人をロケットで月に行かせるというアポロ計画は、ある意味で科学政策なのだけれど、それはケネディの政権にとっては非常に重要な政策で、アメリカ人を鼓舞することができたということです。

 政策のアイデアがどこから出てくるのかというのはなかなか難しいのですが、必ず最後、政策として実行されるためには、その政権がそれを決断、決定しなければいけない。その決定に食い込むために、学者のほうもいろいろな形で政権にアプローチしています。マンハッタン計画などはまさしくそうで、あるいは経済政策でも政権に取り入ろうとしてセールスマンのようにホワイトハウスの周りをうろうろしている人もいます。

 政権から見れば、つまみ食いをするということは常套手段です。しかし、学問の発達という点から見ると、意外とそこに、ブローカーだと思っていたけれど、新しい発見を見出すことが可能な説もあるということです。学者は研究室や大学の中で閉じて、自分の研究を死に物狂いでやる。それこそが正しい学者だという説もあるけれど、実際、社会で起こっていることをうまく汲み取って、それを理論化して発表し、政策として実行される。新しい理論の可能性は、実は現実の中にあると考えたほうがいい。私はそう思っているのです。


●学説的な結論の出ない中で決断を迫られる政治


―― それを学んだ上でこの問題に返ってくると、政治家でもないわれわれがこの局面をどう見るかということなのですが、経済学の学説の対立があります。片や、つまみ食いをしかねない政治の世界があります。実際、その相互関連によって政治が動いていって、それによって経済学が確かに、やっぱりこちらのほうが効果はあったということで進むこともあれば、1歩間違えると、日本はそうかもしれませんが、デフレがずっと続いてしまうとか、いろいろな問題に直面してくるわけですね。

曽根 ...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
躍進するインドIT産業の可能性と課題(1)下請けから世界の中心へ
インドが世界有数のIT産業の拠点へと発展した理由
島田晴雄
プーチンのロシア―その思想と戦略―(1)プーチン政治の特徴
ロシア皇帝のように悪者を叱る人…プーチンの思想と歴史観
山添博史
お金とは何か?…金本位制とビットコイン(1)お金の機能とその要件
お金の「3大機能」とは何か? そしてお金のルーツとは?
養田功一郎
地政学入門 ヨーロッパ編(1)地図で読むヨーロッパ
ヨーロッパとは?地図で読み解く地政学と国際政治の関係
小原雅博
デジタル全体主義を哲学的に考える(1)デジタル全体主義とは何か
20世紀型の全体主義とは違う現代の「デジタル全体主義」
中島隆博
日本のエネルギー&デジタル戦略の未来像(1)電動化で起こる「カンブリア爆発」
日本のエネルギー政策を「デジタル戦略」で大転換しよう
岡本浩

人気の講義ランキングTOP10
資本主義の再定義…哲学で考える(1)アダム・スミスの「市場と感情」
資本主義を哲学する…まずアダム・スミスの見えざる手と道徳感情論
中島隆博
日本人が知らない自由主義の歴史~前編(1)そもそも「自由主義」とは何か
消極的自由と積極的自由?…なぜ自由主義がわかりづらいか
柿埜真吾
経験学習を促すリーダーシップ(2)経験から学ぶ力
米長邦雄のアンラーニング、弟子の弟子になってV字成長
松尾睦
死と宗教~教養としての「死の講義」(5)仏教の死:日本編
極楽往生、坐禅、法華経…日本人はいかに死を乗り越えるか
橋爪大三郎
組織心理学とは何か~『武器としての組織心理学』と概論
なぜ組織に「心理学」が必要か?多様化と個の時代の処方箋
山浦一保
教養としての「ユダヤ人の歴史とユダヤ教」(1)ユダヤ人とは誰のことか
ユダヤ人とは?なぜ差別?お金持ち?…『ユダヤ人の歴史』に学ぶ
鶴見太郎
日本人とメンタルヘルス…心のあり方(3)稲作社会と頑張る日本人
ダメなのは「頑張りが足らない」から…うつを招く稲作的発想
與那覇潤
昭和の名将・根本博…内蒙古・終戦後の戦い(4)決断のかげにあった深い葛藤
情報を基にいかに決断するか…その深い葛藤と「南泉猫を斬る」
門田隆将
「ホメロス叙事詩」を読むために(4)『イリアス』の世界ーその2
『イリアス』の主人公アキレウスの怒りは何を意味するのか
納富信留
中国史概説~『皇帝たちの中国』を読む(1)なぜ「中国史はつまらない」のか?
驚きの中国史~「中国史はつまらない」という通説の裏の波乱の真実
宮脇淳子