福田赳夫と日本の戦後政治
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派閥解体をめざす党風刷新運動の挫折…不遇から大蔵大臣へ
福田赳夫と日本の戦後政治(5)党風刷新運動の失敗と佐藤栄作政権
井上正也(慶應義塾大学法学部教授)
池田勇人政権の方針との食い違いが顕著になり、政調会長を辞職した福田赳夫。その後、自民党の派閥政治を改めるために「党風刷新運動」を展開したが、それも失敗に終わる。キャリアにおいて「冬の時代」を迎えた福田だったが、政権交代をきっかけに再びその歩みを進めることになる。佐藤栄作政権が成立すると、福田は初めて大蔵大臣という重要なポストに就く。その後、昭和時代最長の政権となった佐藤にとって不可欠な存在になっていく。(全9話中第5話)
時間:10分34秒
収録日:2022年9月29日
追加日:2023年6月9日
≪全文≫

●自民党の近代化を目指し起こした「党風刷新運動」


 政調会長を辞めた後しばらくして、福田赳夫が初めて自分の勢力を旗揚げすることになります。それは何かというと、「党風刷新運動」というものです。自民党の歴史を振り返ると、派閥に分かれて、その派閥のボスが首相になるために派閥同士で手を組んだり、争ったりすることがあります。

 ただもう1つ自民党の歴史を見たときに、派閥を超えて連携しようという運動が現れては消えています。一番有名なのが、石原慎太郎などが中心になってつくられた青嵐会です。おそらく自民党の歴史の中で最初につくられた超党派の運動は、この党風刷新運動だったと思うのです。まさにその中心にいたのが福田でした。

 福田はこの党風刷新運動を立ち上げて、いろいろな派閥から議員を募って、党の近代化と派閥の解消を訴えるわけです。この流れには2つの背景があり、1つは安保闘争で社会党が労働者や大衆を動員して成功したのです。自民党がそういうことをできるかというと、意外にできません。自民党はそれぞれの土地の有力者と結び付いた古い体質であり、しっかりとした組織政党にしないといけないという危機感があったわけです。

 もう1つは、自民党の中で派閥政治が横行して、派閥のボスが勝手にそれぞれ利権をあさって、金権腐敗が進んでいる。そういったものを、岸政権の時になんとかうまく改善したかったのですが、結局うまくできなかったのです。福田は池田勇人に対してあえて党風刷新を正面からぶつけることで、自民党を近代化させようとしたわけです。


●自身の派閥が分裂し失敗に終わった党風刷新運動


 ところがこの福田の運動は失敗に終わってしまいます。どうして失敗したか、その要因は大きく2つあったと思うのです。

 1つ目ですが、池田政権側が福田と同じように党改革を主張していた三木武夫に対して、党の近代化を検討する調査会を発足させて、その検討をさせたのです。これは結局、自分の敵になるような勢力をうまく分断することに成功します。三木の調査会は、党改革の近代化の答申というものを出すことで、福田がやろうとしていたことをうまく潰してしまうわけです。

 もう1つ。致命的だったのは、福田はまだこの前後の時期、岸の派閥にいたことです。ところが岸の派閥がこの時期、分裂してしまいます。派閥の難しいところで、1950年代から1960年代初...

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