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政治資金を裏金に?…マネー・ロンダリングの逆をなぜやるか

「政治とカネ」の裏の意味-政治資金不記載問題

曽根泰教
慶應義塾大学名誉教授
情報・テキスト
2023年の年末に急浮上した自民党議員の裏金問題。だが、その発端となっている「政治資金不記載問題」は昔から続く政治とカネの大きな問題の一部でもあります。政治献金を明瞭化するための政治資金規正法がつくられ、さまざまな改正もなされてきたにもかかわらず、政治資金パーティー券収入のキックバックをめぐる裏金問題はなぜ起こるのか。その背景と実状を理解しておかなければ、問題の本質を理解し、解決の道を求めることはできない。そうなれば、議論や追及も「発散」するばかりになりかねない。果たしてどのような構造や課題が裏側にはあるのか。緊急講義で曽根泰教氏に解説いただく。
時間:13:06
収録日:2023/12/21
追加日:2023/12/28
カテゴリー:
キーワード:
≪全文≫

●裏金問題の本質は「マネー・ロンダリング」の逆?


 今日は政治と金、裏の意味ということで、政治資金不記載問題をお話しいたします。政治的な話題になっていて、皆さんは興味があると思いますが、疑問点も山ほどあります。

 例えば、なぜ裏金にしたのか、そのお金はいったい何に使ったのか、政治資金における政党と派閥というのはどういう違いがあるのか、あるいは自民党の政治改革大綱の話は、いろんな政治家が最近しています。いったい、何をしてきて、何ができなかったのか。

 現状では全体像が十分に解明されていませんが、「いったいどうなっているのか」「これからどうしたらいいのか」「将来構想、将来の絵は描けるのか」というお話をしたいと思います。

 何が問題かと言いますと、派閥がパーティーを開いたとき、各議員が集めたお金を派閥に届けるわけですが、それが還流しているケースがある。あるいは不記載です。つまり派閥のほうにも記載がない、所属議員のほうにも記載がないわけです。そうすると、そのお金がすべて裏金になっているというケース。あるいは所属議員がお金を集めたけれども、それを自分のところでプールして中抜きをしているというようなケースです。

 あるいは参議院選挙で、安倍派の中から出てきた話ですが、参議院議員で次の選挙に出る人たちが、それをパーティー費用としてではなく、自分の選挙費用に使ってしまうことです。つまり、一、二の三で、裏金化してしまった。

 このような具体例が出てきて、これはいったいどのくらい数があるのか、どのくらいの広がりがあるのか、まだわからないところがあります。

 この裏金問題ということをお話しするときに、通常、我々は「マネー・ロンダリング」ということを言います。マネー・ロンダリングというのは、裏金を表金にして堂々とお金を使えるようにすることです。

 ところが、今回はその逆です。表の金を不記載にすることによって裏金化し、つまり表面から消してしまったのです。

 では、なぜ裏金にしたのか。つまり、記載できない支出があるのか、あるいは不都合な点がたくさんあるのか、非常に不明部分が多いわけです。

 現金にすることによって便利になるのでしょうか。物を買うとき、例えばコンビニでお金を使うときに、現金であればどこのコンビニでも買えるという、そういう話ではないと思います。つまり、「現金にすることが当たり前の世界が政治なのか」ということです。

 政治資金規正法では、もう第一に「記載せよ」と書いてあるわけです。

 政治改革以降、政党を強化するというのが基本方針でした。そういう点で言いますと、政党助成金は派閥には行かないわけです。あるいは(派閥や、政治家個人の資金管理団体への)企業・団体献金が禁止されます。そうすると、派閥は独自にお金を集めなければいけません。つまり、政治改革大綱では派閥を解消するというのが将来の目的だったわけですから、派閥を強化するなどということは政策的にはあり得ない話であるわけです。

 しかし、実態的には派閥があり、その派閥は資金が必要になって、そのためにパーティーを行います。それで企業・団体献金の形ではありませんが、実態的には20万円以下にすることによって企業・団体からの献金を集めるとか、あるいは20万円以上公開するにしても、それは本質的には企業・団体献金だったということがあります。

 ここで問題なのは、ノルマを超えた分がキックバックされ、それが不記載になることです。不記載にしなければいいわけですから、キックバックがあったところで、それを記載すれば問題ないということです。


●政治家は「3つの財布」を持っている


 もう1つは、政党と派閥と政治家の3つを考えなければいけないのですが、個々の議員、政治家は通常3つの財布があると言われています。「政党支部」、それから「資金管理団体」、個人後援会である自分の「後援会」の3つですが、いったいそこで集めたお金を何に使うのかです。

 主たる支出としてよく出てくるのは、人件費、広報費ですが、広報費といっても、例えば政治活動をパンフレットにして有権者や後援会の人に配る。そのための郵送費もあります。それから会合費です。飲み食いをするというのは、政治家はやる必要はないといいますが、会合をする報告会はしなければいけない。ホテル代などの会場費、会合費は必要なわけです。

 この中で、人件費、広報費、会合費は、不記載にする必要は、実はないのです。

 ですから、ここ...
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