『マカーマート』から読む政治家の運
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運の変化に逆ギレ!?運に恵まれた人に訪れる試練のとき
『マカーマート』から読む政治家の運(3)権力者を訪れる試練
山内昌之(東京大学名誉教授/歴史学者/武蔵野大学国際総合研究所客員教授)
法治国家の最高権力者は、政権を掌握したその日から権力を失うことを覚悟しなければならない。彼をその地位に導いたのは運であり、運の本質は気まぐれなものだ。『マカーマート』は万人に対し、「罪悪招く原因より身をば離るが良し」と忠告する。いずれ時運は、風向きを変えてしまうからだ。(全4話中第3話)
時間:13分14秒
収録日:2024年10月2日
追加日:2024年10月26日
≪全文≫

●「自民党はルールを守るべき」の名言を石破氏は忘れたか


 皆さん、こんにちは。『マカーマート』はこのようにもいっております。ちょっと読みましょう。

 「良き来世のため自(みずか)らに 
 善となるもの積むが良し
 何事であれ罪悪(あく)招く
 原因(もと)より身をば離(か)るが良し
 ・・・・・・
 されば幸福(しあわせ)約束されん
 我が説きし道歩む者
 己(おの)が進まん人生を
 導く指針とする者に!」

 少し難しい表現のところもありますが、内容はこういうことを言っています。来世に限らず近い将来のためにわれわれが学ぶべきは、政治においても「常に善を積むべき」だというのは、その通りです。

 しかし、今回新総裁・新総理になった石破氏が、直前まで自分と各大臣は新政権の主旨や改革の内容について、野党とゆっくり議論し、熟議を重ねると唱えていたのは、皆さんのご記憶にも新しいと思います。ところが、就任されるとすぐに早期解散と選挙への道のスケジュールをいち早く打ち出したわけです。これには、私も含めて多くの方が驚いたと思います。

 あえて石破氏に厳しい言い方をすると、(彼は)『マカーマート』の言う「罪悪を招く原因から自分の身を引き離すほうがよい」といった教えを忘れたかのように思われるのです。石破氏は「自民党はルールを守るべきだ」という名言を、総裁選挙戦のときに語りました。そのときに約束した道に違わない道を進んでいれば、幸福は約束されるはずだった。それなのに、自分が約束した道さえ変えてしまったことに驚きを感じざるをえないのです。

 つまり、自分が語った約束も、約束した道をも変えてしまった石破氏のことばを、人はこれから信じるのだろうか。また、人が信じるいかなる人生の指針を、これからの石破氏が我々に対して提示してくれるのか。そういう指針は残っているのか、といささか心配になるのです。


●選挙による洗礼が政治生命を左右する


 (今の)日本においては、政権を掌握したその日から、総理となる者は権力を失うことを覚悟しなければならない。その事実には恐怖に駆られますし、しかも厄介なことに、政治で権力を得た者がそれを失う時期は誰にも分からないのです。

 首相・総裁たるご本人にも分からない。非常に不吉なことを申しますと、選挙による洗礼を受けるか、あるいは選挙による洗礼を受け...

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