●有望な若者が役人を敬遠するという現状を改革する必要がある
―― これ(役人への要求が増えているという問題)、先生、相当難しいですよね。
曽根 難しい問題です。一番大元ではない部分で、「若手官僚のエネルギーを削ぐな」「そうしたところばかり駆けずり回らせるな」というのが、基本的な立場です。
そういう意味では、改革しなければならない部分は、結構あります。生き残るのは、民主党時代の経験を含めてですが、与党審査ですかね。問題は最後まで残る。
与党審査ですが、議員提出法案の場合は与党で行うわけですね。これは当然なんですけど、内閣提出法案の場合も与党審査を行います。だけど、拒否権を持たせない方が良いと思うんですよ。
ただ、どのようにそこを作るかというのは難しい。拒否権を持たせないような案を提案したら、「それは議院内閣制の否定だ」と言われて、また怒られたんですね。
―― なるほど。
曽根 でも、そこは実質一番なコア部分ですから、現実と制度の仕組みで試行錯誤して、考えなければならないことの1つなのです。とにかく役人が忙しすぎる。寝ずに仕事をする。その原因のいくつかは非常に単純なところです。物理的に解放してあげて、政策の本当のところで役人と政治家がガチンコで議論したらいいんですよ。
―― 望むべき方向とはかなり乖離が進んでいる感じですよね。今の役人の消耗度合いは、相当激しい…。
曽根 だから、今年の採用では、財務省に東大法学部出身者がほとんどいなかったとかね。経産省を途中で辞めていく人は昔からいたんですが、最近もっと多くなった。役人の魅力は、昔はあったと思います。給料の問題ではなくて、政策の根本のところでいくつか大枠が作れる。だったとしたら、役人冥利だと。
―― 国を背負っているという感覚なのですよね。
曽根 そういうことですね。そういう点でいうと、“官僚たちの夏”はもうないんです。
●エビデンスベースで役人と政治家が政策の議論をするために
曽根 ただ、最近ではエビデンスベースといわれますよね。エビデンス、つまり証拠を出せ、データを出せ、資料を出せ、と。政策の議論に関しては、エビデンスベースでできるようにしようという考え方です。これは官僚にとっては、実はとても意味があるわけです。「われわれはデータを持っていて、分析しているので、エビデンスベースで勝負し...