民主主義と政治
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
“官僚たちの夏”はもうなくなってしまったのか
民主主義と政治(6)役人と政治家の人材育成
役人への要求があまりにも多い現状では、官僚を志望する有能な学生は減少しつつあるのは必然である。曽根泰教氏は、昨今求められているエビデンスベースの政策議論から、政治家と役人がより建設的な関係を結ぶことができるのではないかと展望を述べる。そのためには政治家をどう育てるか、その仕組みをどう作っていくか、重要な問題である。(全8話中第6話)
※インタビュアー:神藏孝之(10MTVオピニオン論説主幹)
時間:7分21秒
収録日:2019年8月28日
追加日:2019年9月28日
≪全文≫

●有望な若者が役人を敬遠するという現状を改革する必要がある


―― これ(役人への要求が増えているという問題)、先生、相当難しいですよね。

曽根 難しい問題です。一番大元ではない部分で、「若手官僚のエネルギーを削ぐな」「そうしたところばかり駆けずり回らせるな」というのが、基本的な立場です。

 そういう意味では、改革しなければならない部分は、結構あります。生き残るのは、民主党時代の経験を含めてですが、与党審査ですかね。問題は最後まで残る。

 与党審査ですが、議員提出法案の場合は与党で行うわけですね。これは当然なんですけど、内閣提出法案の場合も与党審査を行います。だけど、拒否権を持たせない方が良いと思うんですよ。

 ただ、どのようにそこを作るかというのは難しい。拒否権を持たせないような案を提案したら、「それは議院内閣制の否定だ」と言われて、また怒られたんですね。

―― なるほど。

曽根 でも、そこは実質一番なコア部分ですから、現実と制度の仕組みで試行錯誤して、考えなければならないことの1つなのです。とにかく役人が忙しすぎる。寝ずに仕事をする。その原因のいくつかは非常に単純なところです。物理的に解放してあげて、政策の本当のところで役人と政治家がガチンコで議論したらいいんですよ。

―― 望むべき方向とはかなり乖離が進んでいる感じですよね。今の役人の消耗度合いは、相当激しい…。

曽根 だから、今年の採用では、財務省に東大法学部出身者がほとんどいなかったとかね。経産省を途中で辞めていく人は昔からいたんですが、最近もっと多くなった。役人の魅力は、昔はあったと思います。給料の問題ではなくて、政策の根本のところでいくつか大枠が作れる。だったとしたら、役人冥利だと。

―― 国を背負っているという感覚なのですよね。

曽根 そういうことですね。そういう点でいうと、“官僚たちの夏”はもうないんです。


●エビデンスベースで役人と政治家が政策の議論をするために


曽根 ただ、最近ではエビデンスベースといわれますよね。エビデンス、つまり証拠を出せ、データを出せ、資料を出せ、と。政策の議論に関しては、エビデンスベースでできるようにしようという考え方です。これは官僚にとっては、実はとても意味があるわけです。「われわれはデータを持っていて、分析しているので、エビデンスベースで勝負し...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
日本の財政政策の効果を評価する(1)「高齢化」による効果の低下
高齢化で財政政策の有効性が低下…財政乗数に与える影響
宮本弘曉
クーデターの条件~台湾を事例に考える(1)クーデターとは何か
台湾でクーデターは起きるのか?想定シナリオとその可能性
上杉勇司
日本人が知らないアメリカ政治のしくみ(1)アメリカの大統領権限
権限の少ないアメリカ大統領は政治をどう動かしているのか
曽根泰教
グローバル環境の変化と日本の課題(1)世界の貿易・投資の構造変化
トランプ大統領を止められるのは?グローバル環境の現在地
石黒憲彦
習近平中国の真実…米中関係・台湾問題(1)習近平の歴史的特徴とは?
一強独裁=1人独裁の光と影…「強い中国」への動機と限界
垂秀夫
多数派が多数でなくなるとき
悩める多数派…なぜ「多数は少数の集まり」と考えるべきか
曽根泰教

人気の講義ランキングTOP10
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
徳と仏教の人生論(6)物事の本質を見極めるために
「境地は裏切らない」とは?禅の体験から見えてきたもの
田口佳史
戦争と暗殺~米国内戦の予兆と構造転換(3)未解決のユダヤ問題
「白人vsユダヤ人」という未解決問題とトランプ政権の行方
東秀敏
学力喪失の危機~言語習得と理解の本質(5)AIに記号接地は可能か
人間とAIの本質的な違いは?記号接地から迫る理解の本質
今井むつみ
編集部ラジオ2025(26)ソニー流!多角化経営と人材論
ソニー流「人材の活かし方」「多角化経営の秘密」を学ぶ
テンミニッツ・アカデミー編集部
エンタテインメントビジネスと人的資本経営(1)ソニー流の多角化経営の真髄
ソニー流「多角化経営」と「人的資本経営」の成功法とは?
水野道訓
習近平中国の真実…米中関係・台湾問題(1)習近平の歴史的特徴とは?
一強独裁=1人独裁の光と影…「強い中国」への動機と限界
垂秀夫
会計検査から見えてくる日本政治の実態(1)コロナ禍の会計検査
アベノマスク、ワクチン調達の決算は?驚きの会計検査結果
田中弥生
クーデターの条件~台湾を事例に考える(2)クーデターの成功条件とリスク
軍の配置を見れば分かる!台湾のクーデター対策とは
上杉勇司
いま夏目漱石の前期三部作を読む(9)反知性主義の時代を生き抜くために
なぜ『門』なのか?反知性主義の時代を生き抜くヒント
與那覇潤