●日本において政党のマネジメントほど難しいものはない
―― 先生から前に教えて頂きましたが、日本において政党のマネジメントほど難しいものはないと。法人格もよく分からない。このマネジメントが一番難しい、と。
曽根 難しいですね。個々の政治家に関しては、自分が一国一城の主だと思っているのですよね。上司はいるような、いないような。そして、党という組織があるような、ないような。会社でいえば、社長がいて、管理職がいて、その下に社員がいて、上から下に命令が通るというものではありません。
だから、具体的に党の決定に基づいた指令をどのように通すのか、どのように党の合意をまとめるか、といった点で、組織図は書いてありますが、実態となるとなかなか難しいですよ。それでなくても人の言う事を聞かないエゴの強い人ばかりですから。学者もそういうところがありますが。企業経営者は政党のことを少し蔑んで言うのですが、企業経営者でいえば経営の方がずっと楽なのですね。政党法を作りさえすれば済む問題ではない。
―― そうでしょうね。
曽根 われわれは、よく企業経営者に「株主総会、大変でしょう」と聞きます。「はい」と答える人には、「国会は毎日株主総会を行っているようなものだ」と伝えるのです。
●シニョリティルールだけでは良い議員を選抜することができない
―― おっしゃる通りですよね。年収など議員報酬も全員同じ、議員の部屋も宿舎も同じ。それは当選回数に関係なく同じだとなると、束ねていくのは非常に難しいですよね。
曽根 これについて、アメリカ、イギリスなどでは当選回数に基づいたシニョリティーシステムが1つあるわけですね。もう1つ、これも答えるのが難しいのですが、日本でよく聞かれたこととして、大臣や首相を務めた人を含めた高齢者議員をどう扱うのかという問題です。「イギリスの例を教えて下さい」と聞かれた時に、「イギリスには高齢者はいません」と、ジョークで答えたのですが、確かに難しい。
―― 難しいですよね。
曽根 当選回数が多い方がやはり発言権がある。アメリカもそうですが、これも1つの慣行ですね。だけど、議員に関していえば、有権者が候補者を選び取るのもそうですが、一度当選した人、一回生、二回生、三回生を見て選別、抜擢するのはわれわれの仕事なのですね。良い議員をきちんと「良い」と言ってあげなければ...