政治学講座~選挙をどう見るべきか
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
政権奪取のためには選挙戦略のイノベーションが必要
政治学講座~選挙をどう見るべきか(9)イノベーション
曽根泰教(慶應義塾大学名誉教授/テンミニッツ・アカデミー副座長)
野党が政権を獲得するためには、政策に加えて選挙戦略のイノベーションも必要となる。そして、地上戦・空中戦・サイバー戦全てを統合的にやらないと今の時代は勝ち残れないと曽根泰教氏は言う。では、いったいどのようにすればいいのか。政治家がすべき仕事についてとともに解説する。(全9話中第9話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:8分49秒
収録日:2019年8月23日
追加日:2020年2月26日
カテゴリー:
≪全文≫

●選挙で勝つためには地道なコミュニケーションが重要


曽根 もう1つ、小選挙区で勝つために、個別訪問というか、選挙期間中の個別訪問はなかなか制約があって難しいのですが、自民党のある議員が言うには1日600軒歩くというのです。

―― 600軒? それは、営業マンとしても相当大変ですね。1日ですからね。

曽根 3人1組になって、まず前振りの秘書が行って、「今、代議士が来ます」と言う。そのお宅から有権者が出てきたところで代議士が挨拶をする。そこで少し移動したところで3人目に秘書が後援会や政策についての紙を配る。ということで、600軒ほど歩く。こんな努力を野党はしていますか、と。

 もちろんこれは一例です。ただ、そのビジネスモデルとして、駅前で演説すれば票が入ると思い込んでいる人が大勢います。あれも悪くはない。悪くはないのですが、それだけで票にはつながりません。そこで、どうコミュニケーションを取っていくのか。1軒ずつ歩くのか、あるいはミニ集会なのか、いろいろなタイプがあります。やはり接触することが必要なのです。


●政治家の仕事は生の声を政策につなげること


曽根 ただ接触というと、「それではどぶ板(選挙)だ。そんなことは私はやりたくない」という人もいます。だから、生の声を聞いて何をするか、ここが重要なのです。問題は、日本の議員は、生の声を聞いて、生の声を行政につなぐというのが、政治家の仕事だと思い込んでいるところです。

 地方議員などは特にそうです。陳情を受けたら、役所に連絡する。秘書が電話をかける。個別案件を個別処理するというのが、政治家の仕事だと思い込んでいる。これは間違いです。個別案件、つまり個別の貧困の問題、個別の待機児童の問題を政策的に解決する。条例をつくる、法案をつくる、というところに持っていかないといけないのです。

―― システムを変える、仕組みを変える、ということですね。

曽根 だから、政治家が生の声を政策まで持っていく能力を身に付ける必要があるのです。そこは与野党ともにまだまだです。つまり、個別案件を個別に連絡して、役所を突っついて動かす、これが政治だと思い込んでいるところがあるのです。有権者もそう思っているのですが。

 では、それをやるとどういうことになるかというと、役所の窓口で断られたことを、政治家を通じてなんとかしようとする。これはどう考えて...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
「中華民族の偉大な復興」と中国外交(1)外交姿勢・前編
四字熟語で見る中国外交の変化
小原雅博
習近平中国の真実…米中関係・台湾問題(1)習近平の歴史的特徴とは?
一強独裁=1人独裁の光と影…「強い中国」への動機と限界
垂秀夫
財政問題の本質を考える(1)「国の借金」の歴史と内訳
いつから日本は慢性的な借金依存の財政体質になったのか
岡本薫明
日本人が知らないアメリカ政治のしくみ(1)アメリカの大統領権限
権限の少ないアメリカ大統領は政治をどう動かしているのか
曽根泰教
お金の回し方…日本の死蔵マネー活用法(1)銀行がお金を生む仕組み
信用創造・預金創造とは?社会でお金が流通する仕組み
養田功一郎
内側から見たアメリカと日本(1)ラストベルトをつくったのは誰か
日本でも中国でもない…ラストベルトをつくった張本人は?
島田晴雄

人気の講義ランキングTOP10
平和の追求~哲学者たちの構想(1)強力な世界政府?ホッブズの思想
平和の実現を哲学的に追求する…どんな平和でもいいのか?
川出良枝
編集部ラジオ2025(30)西野精治先生に学ぶ「熟睡の習慣」
熟睡できる習慣や環境は?西野精治先生に学ぶ眠りの本質
テンミニッツ・アカデミー編集部
プロジェクトマネジメントの基本(3)プロジェクトのすすめ方
PDCAサイクルを回すための5つのプロセスとそのすすめ方
大塚有希子
葛飾北斎と応為~その生涯と作品(2)『富嶽三十六景』神奈川沖浪裏への道
『富嶽三十六景』神奈川沖浪裏のすごさ…波へのこだわり
堀口茉純
熟睡できる環境・習慣とは(1)熟睡のための条件と認知行動療法
熟睡のために――自分にあった「理想的睡眠」の見つけ方
西野精治
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(1)サイバー・フィジカル融合と心身一如
なぜ空海が現代社会に重要か――新しい社会の創造のために
鎌田東二
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
内側から見たアメリカと日本(6)日本企業の敗因は二つのオウンゴール
日本企業が世界のビジネスに乗り遅れた要因はオウンゴール
島田晴雄
禅とは何か~禅と仏教の心(1)アメリカの禅と日本の禅
自発性を重んじる――藤田一照師が禅と仏教の心を説く
藤田一照
中国共産党と人権問題(1)中国共産党の思惑と歴史的背景
深刻化する中国の人権問題…中国共産党の思惑と人権の本質
橋爪大三郎