●民主党による政権交代と2009年の選挙の特徴
―― (前回まで)選挙制度についてのお話のほうに行きましたけれども、ここでお話を衆議院選挙のほうに戻します。
2005年の郵政選挙の時、民主党は2400万票を取ったけれども、小泉純一郎さん率いる自民党は3200万票を取って圧勝しました。
その後、自民党の党首が安倍晋三さんになって、2007年の参議院選挙で負けてしまいました。その時、自民党は1800万票で、民主党は2400万票でした。
それで、いよいよ2009年に民主党が政権を獲得する選挙になるわけですが、票数を見てみますと、民主党は3300万票で、自民党は2700万票でした。
曽根 この時は投票率が上がって、民主党と自民党に票が集まった選挙ですね。日本には二大政党がないとか、小選挙区制は日本には向いていないとか、そういうことを言う人がいますが、これを見れば、二つのグループが競争していることははっきりしています。ただ、それにしても二大政党制は今、世界中でなかなか難しい。第一党と第二党が合計して90パーセントの議席を取るということは、どこの国でも難しい時代になっています。
そんな中、この選挙制度で政権交代は起こる、つまり政権交代を起こそうと思えばできる制度だということが証明されたんです。だけど、前回も言いましたように、揺れ幅が大きすぎるということはあります。このままの制度で行くと、また自民党が一党優位になってしまいます。一党優位というか安倍一強で、野党が弱小のままという制度じゃないかという指摘もあるんです。
●民主党政権はなぜ失敗したのか?
―― なるほど。2009年にできた民主党政権はその時の選挙で3000万票も取ったわけですから、なぜその選挙が失敗だったと見なされてしまうのか、そのあたりの分析をしていかないといけない。そうすれば、その選挙の意味もあると思うんですが。
曽根 そうなのです。民主党政権の失敗について、本当の意味での反省というものがまだ十分にできているとは思えないのです。よく指摘されることとして、「マニフェストが良くなかったから」という説があります。しかしそれ以前に、民主党は政権運営ができなかったと私は思っています。権力を獲得するというところまでは行けたけれども…、ということ...