政治学講座~選挙をどう見るべきか
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
3300万票も獲得した民主党政権がなぜ失敗?…その理由
政治学講座~選挙をどう見るべきか(5)政権交代と民主党
曽根泰教(慶應義塾大学名誉教授/テンミニッツ・アカデミー副座長)
民主党は、2009年の衆議院選挙で過半数の議席を獲得し、政権交代に成功した。しかし、その後の政権運営に失敗してしまった。その理由についてはいまだ十分な反省が行われていないという。ではなぜ民主党は失敗してしまったのか。(全9話中第5話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:10分37秒
収録日:2019年8月23日
追加日:2020年2月12日
カテゴリー:
≪全文≫

●民主党による政権交代と2009年の選挙の特徴


―― (前回まで)選挙制度についてのお話のほうに行きましたけれども、ここでお話を衆議院選挙のほうに戻します。

 2005年の郵政選挙の時、民主党は2400万票を取ったけれども、小泉純一郎さん率いる自民党は3200万票を取って圧勝しました。

 その後、自民党の党首が安倍晋三さんになって、2007年の参議院選挙で負けてしまいました。その時、自民党は1800万票で、民主党は2400万票でした。

 それで、いよいよ2009年に民主党が政権を獲得する選挙になるわけですが、票数を見てみますと、民主党は3300万票で、自民党は2700万票でした。

曽根 この時は投票率が上がって、民主党と自民党に票が集まった選挙ですね。日本には二大政党がないとか、小選挙区制は日本には向いていないとか、そういうことを言う人がいますが、これを見れば、二つのグループが競争していることははっきりしています。ただ、それにしても二大政党制は今、世界中でなかなか難しい。第一党と第二党が合計して90パーセントの議席を取るということは、どこの国でも難しい時代になっています。

 そんな中、この選挙制度で政権交代は起こる、つまり政権交代を起こそうと思えばできる制度だということが証明されたんです。だけど、前回も言いましたように、揺れ幅が大きすぎるということはあります。このままの制度で行くと、また自民党が一党優位になってしまいます。一党優位というか安倍一強で、野党が弱小のままという制度じゃないかという指摘もあるんです。


●民主党政権はなぜ失敗したのか?


―― なるほど。2009年にできた民主党政権はその時の選挙で3000万票も取ったわけですから、なぜその選挙が失敗だったと見なされてしまうのか、そのあたりの分析をしていかないといけない。そうすれば、その選挙の意味もあると思うんですが。

曽根 そうなのです。民主党政権の失敗について、本当の意味での反省というものがまだ十分にできているとは思えないのです。よく指摘されることとして、「マニフェストが良くなかったから」という説があります。しかしそれ以前に、民主党は政権運営ができなかったと私は思っています。権力を獲得するというところまでは行けたけれども…、ということ...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
戦争とディール~米露外交とロシア・ウクライナ戦争の行方
「武器商人」となったアメリカ…ディール至上主義は失敗!?
東秀敏
教養としての「人口減少問題と社会保障」(1)急速に人口減少する日本の現実
毎年100万人ずつ減少…急降下する日本の人口問題を考える
森田朗
緊急提言・社会保障改革(1)国民負担の軽減は実現するか
国民医療費の膨張と現役世代の巨額の「負担」
猪瀬直樹
財政問題の本質を考える(1)「国の借金」の歴史と内訳
いつから日本は慢性的な借金依存の財政体質になったのか
岡本薫明
戦争と暗殺~米国内戦の予兆と構造転換(1)内戦と組織動乱の構造
カーク暗殺事件、戦争省、ユダヤ問題…米国内戦構造が逆転
東秀敏
クーデターの条件~台湾を事例に考える(1)クーデターとは何か
台湾でクーデターは起きるのか?想定シナリオとその可能性
上杉勇司

人気の講義ランキングTOP10
「アメリカの教会」でわかる米国の本質(1)アメリカはそもそも分断社会
「キリスト教は知らない」ではアメリカ市民はつとまらない
橋爪大三郎
豊臣兄弟~秀吉と秀長の実像に迫る(2)秀吉の実像と「太閤神話」
秀吉・秀長の出自は本当は…実像は従来のイメージと大違い
黒田基樹
逆境に対峙する哲学(1)日常性が「破れ」て思考が始まる
逆境にどう対峙するか…西洋哲学×東洋哲学で問う知的ライブ
津崎良典
熟睡できる環境・習慣とは(1)熟睡のための条件と認知行動療法
熟睡のために――自分にあった「理想的睡眠」の見つけ方
西野精治
戦争とディール~米露外交とロシア・ウクライナ戦争の行方
「武器商人」となったアメリカ…ディール至上主義は失敗!?
東秀敏
平和の追求~哲学者たちの構想(6)EU批判とアメリカの現状
理想を具現化した国連やEUへの批判がなぜ高まっているのか
川出良枝
「重要思考」で考え、伝え、聴き、議論する(1)「重要思考」のエッセンス
重要思考とは?「一瞬で大切なことを伝える技術」を学ぶ
三谷宏治
編集部ラジオ2025(32)哲学者たちが考えた平和追求
反EU、反国連の時代に再考!「哲学者たちの平和追求」
テンミニッツ・アカデミー編集部
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
組織心理学とは何か~『武器としての組織心理学』と概論
なぜ組織に「心理学」が必要か?多様化と個の時代の処方箋
山浦一保