2019年参議院選挙の総括
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
2019年の参院選が果たした政治的役割とは
2019年参議院選挙の総括
曽根泰教(慶應義塾大学名誉教授/テンミニッツ・アカデミー副座長)
2019年7月に行われた参議院選挙で、憲法改正の発議に必要な3分の2の議席を失う結果となったが、自公で過半数は獲得した。参議院選挙はこれまで、政権の中間評価のような役割を果たし、政治的な変化にも一定の役割を果たしてきた。しかし、今回の結果は大きな変化をもたらすものではなかった。では今回の選挙はいったいどんな選挙だったのか。
時間:13分03秒
収録日:2019年7月24日
追加日:2019年8月3日
カテゴリー:
≪全文≫

●今回の参議院選挙とはどんな選挙だったのか


 2019年参議院選挙の総括をします。この選挙は何だったのでしょうか。簡単にいえば、この選挙では、自民党と公明党が過半数を取りました。ただし気を付けなければいけないのが、自民党のみによる過半数ではないということです。

 過半数とは何を意味するのでしょうか。参議院選挙は政権選択の選挙ではありませんが、参議院で過半数を持っていないと、法案が通らないということです。過半数を割るとねじれが発生してしまうからです。

 もう一つ、今回の特徴は、憲法改正の発議に必要な3分の2を、与党は取ることができなかったということです。今まで、自公プラス維新(日本維新の会)その他で、3分の2の議席があったのですが、今回は3分の2に足りません。足りないということが、何を意味するのかについては、後ほど申し上げます。


●参議院選挙は政権の中間評価としての役割を果たしてきた


 参議院選挙の位置づけは、大変難しい問題です。通常は政権の中間評価的な役割を果たしており、中間選挙としての役割を有しています。2007年の参議院選挙で安倍政権が大敗した際も、安倍信三首相は、おそらく参院選を中間評価だと位置付けていたと思います。

 しかしながら、安倍政権が発足してから最初の選挙がこの時の参議院選挙でした。その意味で、この選挙は中間評価ではなく政権審判としての意味を持っていました。これは安倍首相にとって「悪夢」でした。安倍首相はよく「悪夢」という言葉を使いますが、悪夢とは実はこの時の選挙のことを指しているのです。本人の病気も絡み、早々に退陣することになってしまいました。

 参議院選挙は、政権選択でも内閣を決める選挙でもありません。しかし、この選挙が政局(政治変動や政治変化)に果たす役割は結構大きいのです。このことは別の言葉で、参院選は「政権の鬼門」とよくいわれてきました。


●参議院選挙の結果は時の政権に大きな影響を与えてきた


 では、そもそも参議院というのは何か、また参議院選挙がなぜ鬼門だったのかということについてお話しします。

 上の図をご覧になっていただければ分かるように、参議院の一つの特徴は、職能集団、利益集団、業界団体、あるいは労働組合など、各種集団の代表が全国規模で当選するということです。もちろん、昔に比べると...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
衰退途上国ニッポン~その急所と勝機(1)安いニッポンと急性インフレ
世界で一人負け…「安い国」日本と急性インフレの現実
宮本弘曉
習近平中国の真実…米中関係・台湾問題(1)習近平の歴史的特徴とは?
一強独裁=1人独裁の光と影…「強い中国」への動機と限界
垂秀夫
教養としての「人口減少問題と社会保障」(1)急速に人口減少する日本の現実
毎年100万人ずつ減少…急降下する日本の人口問題を考える
森田朗
会計検査から見えてくる日本政治の実態(1)コロナ禍の会計検査
アベノマスク、ワクチン調達の決算は?驚きの会計検査結果
田中弥生
中国共産党と人権問題(1)中国共産党の思惑と歴史的背景
深刻化する中国の人権問題…中国共産党の思惑と人権の本質
橋爪大三郎
戦争とディール~米露外交とロシア・ウクライナ戦争の行方
「武器商人」となったアメリカ…ディール至上主義は失敗!?
東秀敏

人気の講義ランキングTOP10
編集部ラジオ2026(9)「トランプ大統領」の視点・論点
【テンミニッツで考える】「トランプ大統領」をどう見るか?
テンミニッツ・アカデミー編集部
教養としての「ユダヤ人の歴史とユダヤ教」(1)ユダヤ人とは誰のことか
ユダヤ人とは?なぜ差別?お金持ち?…『ユダヤ人の歴史』に学ぶ
鶴見太郎
万葉集の秘密~日本文化と中国文化(1)万葉集の歌と中国の影響
『万葉集』はいかなる歌集か…日本のルーツと中国の影響
上野誠
日本人とメンタルヘルス…心のあり方(6)日本人の当たり前と山本七平の違和感
日本の異様さ…フィリピンから復員した山本七平が驚いたこと
與那覇潤
インフレの行方…歴史から将来を予測する(1)インフレの具体像を探る
270年の物価の歴史に学べ…急激な物価上昇期の特徴と教訓
養田功一郎
これから必要な人材と人材教育とは?(1)人手の供給不足とマクロ経済への影響
ごく一部の人手不足が「致命的」になる…Oリング・セオリー
柳川範之
第二次世界大戦とソ連の真実(1)レーニンの思想的特徴
レーニン演説…革命のため帝国主義の3つの対立を利用せよ
福井義高
禅とは何か~禅と仏教の心(1)アメリカの禅と日本の禅
自発性を重んじる――藤田一照師が禅と仏教の心を説く
藤田一照
戦前、陸軍は歴史をどう動かしたか(1)総力戦時代の到来
日英同盟の廃棄、総力戦…世界秩序の激変に翻弄された日本
中西輝政
ソニー流「人的資本経営と新規事業」成功論(3)「現場の熱」こそ多角化の要点
新規事業を成功させるリーダーとは…上意下達はなぜダメか
水野道訓