政治学講座~選挙をどう見るべきか
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
政策の実行まで多すぎる政治プロセスをどう改革すべきか
政治学講座~選挙をどう見るべきか(6)内閣と与党と国会
曽根泰教(慶應義塾大学名誉教授/テンミニッツ・アカデミー副座長)
いい政策があったとしても、それをそのまますぐに実効することはできない。政策を実行するまでには、閣議決定や与党内部での事前審査など、さまざまな政治プロセスを経る必要があるからだ。では具体的にどんな政治プロセスが存在するのか。またどこに課題があり、それをどのように改革していくべきなのか。(全9話中第6話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:13分57秒
収録日:2019年8月23日
追加日:2020年2月19日
カテゴリー:
≪全文≫

●政策の実行までにはいくつもの政治プロセスが存在する


曽根 上の図を見てください。これは私がよく使っている図ですが、いい政策があったら実行されて当たり前、そう思っている人がいます。

―― それこそ、これまでシリーズ内で先生がおっしゃった「マニフェストを渡せば、それでできるだろう」というようなことですね。

曽根 そうです。あるいは、経済学者の中には、「俺が考えた案は優れているから、この税制案をやるといい」とか「こういう経済政策を打つべきだ」と言う人がいます。だけど、それはプロセスを経て、最後は国会を通過しなければいけません。しかも、日本の場合、国会に通す前に閣議決定がある。閣議決定にかける前に、各省庁でそれこそ合議(あいぎ)をして揉まなければいけない。また、その原案は審議会で検討して、「そこが必要ですよ」とならなければいけない。さらにいえば、そこに自民党が絡んできて、与党が絡んできて、与党審査をやる。このプロセスを全て経ないと、国会には進めません。

 だから、ここまでシリーズ内で議論してきたのは、通常の三権分立論では国会に法案が提出されたところからが立法なのですね。実はその前の段階が非常に重要ですし、前の段階でどうやって通すのかが大事になるのです。

―― 先ほど自民党のお話がありましたけど、それこそ政調部会を通すとか、ですね。

曽根 はい。部会が通っても、総務会で否決されることもあります。自民党の総務会というのは、党則からいくと、多数決で決めると書いてある。でも、実際は満場一致で運用されているのです。郵政改革の時は、この満場一致で運用されているところを多数決で通してしまったから、「けしからん」となって自民党を離脱する人が結構いたのです。

 ですから、政治のプロセスというものを考えないといけない。いろいろなところにチェックポイントがあるのです。われわれはよく「ヴェートポイント(veto point)」と言うのですが、拒否権ポイントがいっぱいあって、いろいろなところでつぶされるわけです。


●事務次官会議は官僚主導の象徴ではない


曽根 1つ象徴的な例として挙げると、上の図に「事務次官会議」と薄く書いてあります。少し昔の話になりますが、事務次官会議は民主党時代になくなるのです。事務次官会議が官僚主導の象徴だということでそうしたの...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
お金の回し方…日本の死蔵マネー活用法(1)銀行がお金を生む仕組み
信用創造・預金創造とは?社会でお金が流通する仕組み
養田功一郎
為替レートから考える日本の競争力・購買力(1)為替レートと物の値段で見る円の価値
ビッグマック指数から考える実質為替レートと購買力平価
養田功一郎
デジタル全体主義を哲学的に考える(1)デジタル全体主義とは何か
20世紀型の全体主義とは違う現代の「デジタル全体主義」
中島隆博
内側から見たアメリカと日本(1)ラストベルトをつくったのは誰か
日本でも中国でもない…ラストベルトをつくった張本人は?
島田晴雄
緊急提言・社会保障改革(1)国民負担の軽減は実現するか
国民医療費の膨張と現役世代の巨額の「負担」
猪瀬直樹
墨子に学ぶ「防衛」の神髄(1)非攻と兼愛
『墨子』に記された「優れた国家防衛のためのヒント」
田口佳史

人気の講義ランキングTOP10
平和の追求~哲学者たちの構想(1)強力な世界政府?ホッブズの思想
平和の実現を哲学的に追求する…どんな平和でもいいのか?
川出良枝
プロジェクトマネジメントの基本(3)プロジェクトのすすめ方
PDCAサイクルを回すための5つのプロセスとそのすすめ方
大塚有希子
葛飾北斎と応為~その生涯と作品(2)『富嶽三十六景』神奈川沖浪裏への道
『富嶽三十六景』神奈川沖浪裏のすごさ…波へのこだわり
堀口茉純
熟睡できる環境・習慣とは(3)睡眠にいい環境とお風呂の入り方
布団に入る何分前がいい?入眠しやすいお風呂の入り方
西野精治
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(1)サイバー・フィジカル融合と心身一如
なぜ空海が現代社会に重要か――新しい社会の創造のために
鎌田東二
中国共産党と人権問題(1)中国共産党の思惑と歴史的背景
深刻化する中国の人権問題…中国共産党の思惑と人権の本質
橋爪大三郎
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
内側から見たアメリカと日本(7)ジャパン・アズ・ナンバーワンの弊害
ジャパン・アズ・ナンバーワンで満足!?学ばない日本の弊害
島田晴雄
経験学習を促すリーダーシップ(3)成功の再現性と教え上手の指導法
教え上手の指導法に学ぶ!成功の再現性を高める4ステップ
松尾睦
2025年、どん底日本を脱却する大戦略(1)日本が凋落した要因を総覧する
日本凋落の「7つの要因」と「10の復活大戦略」
島田晴雄