野党論から考える日本政治の課題
この講義シリーズの第1話
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
歴史的にみて無茶…野党の政権奪取が困難な理由
野党論から考える日本政治の課題(3)リーダー喪失の悲劇
曽根泰教(慶應義塾大学名誉教授/テンミニッツ・アカデミー副座長)
政党再編で離合集散のたびに傷ついているのは他ならぬ野党である。厳しい選挙戦に敗れるたび、将来性のあるリーダーが責任を取り、表舞台から消えていっているからだ。では野党はどうすればそれを回避し、持続することができるのか。2009年の政権交代を一つのモデルケースとして、これからの野党の戦い方について考えていく。(全4話中第3話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:8分18秒
収録日:2021年12月7日
追加日:2022年2月28日
カテゴリー:
≪全文≫

●離合集散のたびに増殖する「ロスト・リーダー」


―― そうした中で、野党にとっての厳しさといいますか、党の離合集散が生んだデメリットは、どういうことになりますか。

曽根 失われたリーダーたちを私は「ロスト・リーダー」と呼んでいますが、離合集散のたびに優れたリーダーや将来性のあるリーダーが失われていっています。一度リーダーのポジションを去ると、復帰はなかなか難しい。サッカーや野球でも、一部リーグを落ちてしまった人が二部リーグで活躍してまた一部リーグに復帰するのは難しいと思いますが、そういう意味でも失われたリーダーが死屍累々だと私は思います。

 では、野党側はどうすれば持続することができるのか。政権を取ることはその一つですが、その政権を持続させなければいけません。持続するには、選挙で勝つ、議席を増やす、自分たちの作戦が成功する、つまり成功体験を持たなければならないのです。ですから、野党のリーダーの場合も選挙で勝てば求心力が生まれます。

 しかし、野党のリーダーは選挙で負けると、そこで自分の支持者あるいは支持母体がつぶれ、離反していきます。ただ、作戦通りにいかないことが多いのが野党です。そのたびに責任を取っていたら、何人責任を取れば済むのかというぐらいで、多くのリーダーが失われ、表舞台から消えていっている。そういうことではないかと思います。

―― そうすると、野党のリーダーの場合は、たとえ作戦が失敗した場合であっても、そう軽々に責任を取らないほうがいいということになるのですか。

曽根 そこの問題ですが、今の時代、責任は必ず取れと言われます。マスコミが厳しく追及しますし、国民も追及する時代になってきました。そうすると、責任を取るか取らないかというところに自分を追い込まないことが必要です。

 ただ、そのために、みんなが当たり障りのないことを言うようになってしまうという、その裏返し、矛盾があるのです。とはいえ、いずれにしても、野党のリーダーは異なるゲームを戦っていると考えればいいと思います。


●野党が選挙で多数を取っての政権交代はレアケース


―― 日本で平成時代に繰り返されてきた政党の離合集散劇は、なかなか悲劇的な状況を今もたらしているともいえるということですね。

曽根 はい。離合集散はある意味で当然ですが、ゲーム自体...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
グローバル環境の変化と日本の課題(1)世界の貿易・投資の構造変化
トランプ大統領を止められるのは?グローバル環境の現在地
石黒憲彦
為替レートから考える日本の競争力・購買力(1)為替レートと物の値段で見る円の価値
ビッグマック指数から考える実質為替レートと購買力平価
養田功一郎
日本人が知らないアメリカ政治のしくみ(1)アメリカの大統領権限
権限の少ないアメリカ大統領は政治をどう動かしているのか
曽根泰教
クーデターの条件~台湾を事例に考える(1)クーデターとは何か
台湾でクーデターは起きるのか?想定シナリオとその可能性
上杉勇司
教養としての「人口減少問題と社会保障」(1)急速に人口減少する日本の現実
毎年100万人ずつ減少…急降下する日本の人口問題を考える
森田朗
本当によくわかる経済学史(1)経済学史の概観
経済学史の基礎知識…大きな流れをいかに理解すべきか
柿埜真吾

人気の講義ランキングTOP10
逆境に対峙する哲学(1)日常性が「破れ」て思考が始まる
逆境にどう対峙するか…西洋哲学×東洋哲学で問う知的ライブ
津崎良典
豊臣兄弟~秀吉と秀長の実像に迫る(3)秀吉出世譚の背景
武闘派・秀吉として出世…織田家中で一番の武略者の道
黒田基樹
平和の追求~哲学者たちの構想(4)ルソーが考える平和と自由
ルソーの「コスモポリタニズム批判」…分権的連邦国家構想
川出良枝
生成AI「Round 2」への向き合い方(1)生成AI導入の現在地
生成AIの利活用に格差…世界の導入事情と日本の現状
渡辺宣彦
葛飾北斎と応為~その生涯と作品(4)葛飾応為の芸術と人生
親娘で進歩させた芸術…葛飾応為の絵の特徴と北斎との比較
堀口茉純
危機のデモクラシー…公共哲学から考える(2)民意は本当に反映すべきか
デモクラシーとエリート主義の限界…立憲主義と共和主義
齋藤純一
独裁の世界史~ローマ編(2)見識を育んだ「父祖の威風」
ローマが見識を磨いていくために重視した「父祖の威風」
本村凌二
戦争とディール~米露外交とロシア・ウクライナ戦争の行方
「武器商人」となったアメリカ…ディール至上主義は失敗!?
東秀敏
医療から考える国家安全保障上の脅威(1)「非対称兵器」という新たな脅威
フェンタニルの麻薬中毒も意図的な戦略?非対称兵器の脅威
山口芳裕
「アメリカの教会」でわかる米国の本質(1)アメリカはそもそも分断社会
「キリスト教は知らない」ではアメリカ市民はつとまらない
橋爪大三郎