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歴史的にみて無茶…野党の政権奪取が困難な理由

野党論から考える日本政治の課題(3)リーダー喪失の悲劇

曽根泰教
慶應義塾大学名誉教授/テンミニッツTV副座長
情報・テキスト
政党再編で離合集散のたびに傷ついているのは他ならぬ野党である。厳しい選挙戦に敗れるたび、将来性のあるリーダーが責任を取り、表舞台から消えていっているからだ。では野党はどうすればそれを回避し、持続することができるのか。2009年の政権交代を一つのモデルケースとして、これからの野党の戦い方について考えていく。(全4話中第3話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:08:18
収録日:2021/12/07
追加日:2022/02/28
ジャンル:
≪全文≫

●離合集散のたびに増殖する「ロスト・リーダー」


―― そうした中で、野党にとっての厳しさといいますか、党の離合集散が生んだデメリットは、どういうことになりますか。

曽根 失われたリーダーたちを私は「ロスト・リーダー」と呼んでいますが、離合集散のたびに優れたリーダーや将来性のあるリーダーが失われていっています。一度リーダーのポジションを去ると、復帰はなかなか難しい。サッカーや野球でも、一部リーグを落ちてしまった人が二部リーグで活躍してまた一部リーグに復帰するのは難しいと思いますが、そういう意味でも失われたリーダーが死屍累々だと私は思います。

 では、野党側はどうすれば持続することができるのか。政権を取ることはその一つですが、その政権を持続させなければいけません。持続するには、選挙で勝つ、議席を増やす、自分たちの作戦が成功する、つまり成功体験を持たなければならないのです。ですから、野党のリーダーの場合も選挙で勝てば求心力が生まれます。

 しかし、野党のリーダーは選挙で負けると、そこで自分の支持者あるいは支持母体がつぶれ、離反していきます。ただ、作戦通りにいかないことが多いのが野党です。そのたびに責任を取っていたら、何人責任を取れば済むのかというぐらいで、多くのリーダーが失われ、表舞台から消えていっている。そういうことではないかと思います。

―― そうすると、野党のリーダーの場合は、たとえ作戦が失敗した場合であっても、そう軽々に責任を取らないほうがいいということになるのですか。

曽根 そこの問題ですが、今の時代、責任は必ず取れと言われます。マスコミが厳しく追及しますし、国民も追及する時代になってきました。そうすると、責任を取るか取らないかというところに自分を追い込まないことが必要です。

 ただ、そのために、みんなが当たり障りのないことを言うようになってしまうという、その裏返し、矛盾があるのです。とはいえ、いずれにしても、野党のリーダーは異なるゲームを戦っていると考えればいいと思います。


●野党が選挙で多数を取っての政権交代はレアケース


―― 日本で平成時代に繰り返されてきた政党の離合集散劇は、なかなか悲劇的な状況を今もたらしているともいえるということですね。

曽根 はい。離合集散はある意味で当然ですが、ゲーム自体がとても厳しくて、皆が二部リーグに脱落するようなことを経験するたびに、リーダーたちは表舞台から去っていく。そういう形を取らないように作戦を立て直さないと、また有能な人や将来のある人が消えていく。そういう心配をしています。

―― では野党が違ったルールで戦っているというところで、実際に選挙でどうやっていけばいいか、この点についてはいかがでしょうか。

曽根 一つのエピソードから申し上げます。

 ある有名な政治学の大家の人がいまして、明治から戦後に至るまで、ずっと日本の政治史を研究している人です。民主党政権ができる前のことですが、「日本では選挙で野党が多数を取って政権交代というのは、今まで一度もないんだよな。野党が多数を取って政権交代して、うまいビールを飲みたい」と言っていたことがあります。その先生と、民主党政権の末期あるいは政権を失った後に改めて会いまして、「先生、ビール、うまいですか」と聞くと、「いや、うまくないんだよ」と言われました。

 そういう意味で、日本で野党が多数を取って政権を交代した例は2009年。また、その反対側で、自民党が政権を取り返した2012年も選挙で政権を変えたことになるのですが、野党が選挙で多数を取って政権交代をした例は数が限られている、とてもレアケースだということです。


●連立政権と選挙協力、その違いを整理する必要がある


曽根 しかし、民主主義の理屈では、そこを王道として狙いなさいと言っています。歴史の事例が少ないにもかかわらず、やりなさいと言っているほうが無茶なのかもしれませんけれども、ただ、選挙で勝たない限り、政権が取れないのは当たり前のことです。では、どうすれば選挙で政権が取れるのか。これは、課題として非常に大きい。特に野党に課せられた課題としては、とても大きいということです 。

 それから、政権交代と「ねじれ」に関しては、昔このテンミニッツTVの講義でお話ししたことがあります。政権交代が起きると、政権交代の前か後のどちらかで、ねじれは必ず起きるのです。詳しくは昔の講義をお聴きいただきたい(講義名:政権交代とねじれ国会)。

 では、「政権交代をするためには選挙協力が必要だ。でもそれは連立政権だ」という批判がありました。特にイデオロ...
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