野党論から考える日本政治の課題
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野党の出番をなくす自民党のキャッチ・オール型への転換
野党論から考える日本政治の課題(2)政界再編と政党再編
政治と経済
曽根泰教(慶應義塾大学名誉教授/テンミニッツ・アカデミー副座長)
野党のあり方を知るのに欠かせないのが「政界再編」についての理解である。日本では政党の離合集散を政界再編だと思い込んでいるが、世界の考え方とは異なっている。英米に見る政界再編の事例とその機序を展望し、日本にはなぜそのような機会が訪れなかったのかを考えていく。(全4話中第2話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:13分15秒
収録日:2021年12月7日
追加日:2022年2月21日
カテゴリー:
≪全文≫

●政党の離合集散を日本では「政界再編」と思い込んでいる


―― 続いて「政界再編と政党再編」ということでお話しいただきます。「政界再編・政党再編」というのは、一般にあまり聞き馴染みがない言葉のように思いますが、どういう意味なのでしょうか。

曽根 ひと言で申し上げると、政党の離合集散を政界再編だと日本では思い込んでいるけれども、それは世界で考える政界再編(Party Realignment)とは少し違うというのが議論の趣旨です。

―― 違うのですか。

曽根 はい。上の図を見ていただくと分かると思います。これは平成における野党ないし政党の離合集散です。目まぐるしく政党が分裂し、合併し、あるいはまた再編してきました。

―― これを見ると、数年前のことなのに覚えていないことが結構ありますね。

曽根 はい。新進党が分裂して以来、かなり政党が分かれてしまいました。当時、銀行が分かれて、いろいろな名前がついたのと同じくらいです。銀行のほうは大きくメガバンク3つになりましたが、政党のほうはそうではありません。

 ただ、一貫して、自民党と公明党と共産党は昔のままです。社会党は社民党になりました。ところが、問題はこの間のところ、つまり旧新進党、民主党のところで、いろいろな組み合わせが起きています。この部分の離合集散を政界再編と考える人が多いのですけれども…。

 ついでながら、(民主党が)立憲民主党になった経緯をみても、民進党以降、国民民主党、立憲民主党、希望の党ができ、その希望の党がつぶれて、それが国民民主党に合流し、立憲民主党になったり、あるいは国民民主党として残ったりしています。ということで、こちらの図も大変複雑です。

 でも、これは基本的に永田町の議員が対象で、議員同士の離合集散を示しているのです。これは政党再編であり、政界再編とは少し違います。


●政界再編とは社会構造の変化


曽根 では、私のいう政界再編とは何かということで、イギリスの例、アメリカの例について申し上げます。

 1920年代は、イギリスで(男子に限る)普通選挙法ができた年代です。イギリスでは労働者階級にも選挙権が認められ、有権者が拡大していきます。そこで労働党が登場して、20年代にはすでに自由党の次の党派とし...

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