野党論から考える日本政治の課題
この講義は登録不要で無料視聴できます!
▶ 無料視聴する
次の動画も登録不要で無料視聴できます!
野党の出番をなくす自民党のキャッチ・オール型への転換
第2話へ進む
野党とは何か?…与党と違い「批判をするのが仕事」でいい
野党論から考える日本政治の課題(1)野党とは何か
曽根泰教(慶應義塾大学名誉教授/テンミニッツ・アカデミー副座長)
一国の政治において、野党はどんな役割を果たしているのだろうか。なぜ野党は与党の政策に批判ばかりしているのだろうか。そもそも「野党のない民主主義」はあり得るのだろうか。民主主義の本質を踏まえ、中央政治のみならず地方政治の場面でも野党が担っている重要な意義と役割を問う。(全4話中第1話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:16分02秒
収録日:2021年12月7日
追加日:2022年2月14日
カテゴリー:
≪全文≫

●政党の定義はなかなか難しい


―― 皆さま、こんにちは。本日は曽根泰教先生に「野党論」についてお話をいただきたいと思っております。先生、どうぞよろしくお願いいたします。

曽根 はい。

 皆さん、民主主義を考えるときに、「野党のない民主主義」はあり得るかと疑問に思う方がいると思います。民主主義の定義の中で、野党を定義する場合と複数政党を定義する場合があります。複数政党でも、実質的に政府に反抗や対抗のできないダミーの政党が並んでいる複数政党制は、民主主義とはいわないわけです。


 そして、もう一つ。民主主義を考えるときに、「いや、野党がいなくても、政権党があらゆる階層、あらゆる利益、あらゆる地域と職業を代表している。これで包括的に全ての利害を吸収しているのだから、野党は要らない」という説が、一党の正統性を主張するときがありますが、これも普通、民主主義とはいわないわけです。

―― では、例えば中国共産党などというケースはどうなるのでしょうか。

曽根 民主主義には入らないですね。

 政党という定義は非常に難しく、9000万以上の党員がいる中国共産党も政党なのかということになります。中国共産党には人民解放軍という党の軍がありますが、そこまで政党に入れるのか、ということです。基本的には、一応政党として位置づけるけれども、民主主義的な政党ではないと理解すればいいと思います。

 「野党はなくてはならない」というところでは、多くの方が民主主義の定義に同意してくれると思いますが、それでも政党の定義はなかなか難しい。例えば、憲法には具体的な規定がありません。しかし、日本でも明治以来、政党政治が想定されてきました。そうすると、憲法に具体的な規定がなかったり、あるいは政党法という法律によってしばられることがなかったりしても、政党は存在するし、野党は存在するのです。


●与党と野党の関係は圧倒的な非対称性


曽根 一般的に、与党と野党の関係はこの(図の)ようなイメージだろうと思います。

 国会の議席(衆議院定数465)で、与党が多数議席(293)を持っています。野党のほうは無所属を入れて172なので、野党のほうが少ない。だから「多数対少数」の関係だ、というイメージです。

 しかし...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
プーチンのロシア―その思想と戦略―(1)プーチン政治の特徴
ロシア皇帝のように悪者を叱る人…プーチンの思想と歴史観
山添博史
民主主義の本質(1)近代民主主義とキリスト教
なぜ民主主義が「最善」か…法の支配とキリスト教的背景
橋爪大三郎
イラン戦争とトランプ大統領の戦争指導(1)米軍式戦略リーダーシップによる評価
イラン戦争…トランプ大統領の戦争指導のどこが問題なのか?
東秀敏
半導体から見る明日の世界(1)世界的な半導体不足と日本の可能性
なぜ世界の半導体不足は起きた?台湾TSMCと日本復活への鍵
島田晴雄
クライン『ショック・ドクトリン』の真実(1)ショック・ドクトリンとは何か
100分de名著!?『ショック・ドクトリン』驚愕の印象操作
柿埜真吾
日本を復活させる国家戦略(1)戦後の復興戦略と日本経済の凋落
「所得倍増」はなぜ成功したか…日本経済の回復のヒント
島田晴雄

人気の講義ランキングTOP10
「重要思考」で考え、伝え、聴き、議論する(1)「重要思考」のエッセンス
重要思考とは?「一瞬で大切なことを伝える技術」を学ぶ
三谷宏治
編集部ラジオ2026(37)長谷川眞理子先生の公開収録!
【アンケート&公開収録】長谷川眞理子先生:男と女でどう違う?能力の高め方
テンミニッツ・アカデミー編集部
ロシア人の見る「ロシアの歴史」(2)タタールのくびきと「第三のローマ」
なぜロシアが「第三のローマ」なのか?…東ローマ帝国とモンゴル帝国の根深い影響を探る
上月豊久
『万葉集』と律令社会~官僚の心得と歌宴(3)国司と郡司のつきあい
郡司の妻たちと宴会!?……国司・大原真人今城へのはなむけの歌に示す媚態表現の真相
上野誠
『「甘え」の構造』と現代日本(1)「甘え」のインパクト
「甘え」は現代においてダメなものなのか…名著『「甘え」の構造』への2種類の誤解とは?
與那覇潤
高齢者のフレイル・認知症とその予防対策(1)老年病科と高齢者の疾患・病態の特徴
頻尿、低栄養、転倒、誤嚥、フレイル…増える老年症候群と高齢者の疾患・病態の特徴
小川純人
「満洲」から考える日本とアジア(1)「満洲」を知る意義とは
「満洲史」はなぜ現代日本でタブー視されるのか?…王道楽土の夢とアヘンなどの裏面から見えてくる現代への教訓
宮脇淳子
『オデュッセイア』で読み解く神話の秘密(1)物語の構造を読み解くおもしろさ
『オデュッセイア』の面白さの秘密を神話の構造から読み解く…なぜ波乱万丈の神話が人間の創作の源泉になったか
松村一男
現代人に必要な「教養」とは?(1)そもそも教養とは何か
教養とは…本質を捉える知、他者を感じる力、先頭に立つ勇気
小宮山宏
第二次世界大戦とソ連の真実(1)レーニンの思想的特徴
レーニン演説…革命のため帝国主義の3つの対立を利用せよ
福井義高