ポスト冷戦の終焉と日本政治
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
選挙シニシズム・野党・政治への無関心…日本政治の問題点
ポスト冷戦の終焉と日本政治(5)日本政治の混迷と3つの問題点
中西輝政(京都大学名誉教授/歴史学者/国際政治学者)
世界情勢が大きく動いている非常事態の中で、日本の政治は劣化し続けているように感じられる。その問題点として、「選挙シニシズム」とも呼ばれる選挙至上主義をはじめ、野党の責任、そして国民の政治への無関心の3つを挙げることができるだろう。日本の政治を立て直し、経済、外交など日本のあらゆる課題を解決するために今、われわれに必要なことは何か。(全7話中5話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:11分06秒
収録日:2023年5月24日
追加日:2023年7月25日
カテゴリー:
≪全文≫

●日本政治に不足している「展望・戦略・勇気」


―― (前回)「価値観」というお話がありましたが、ここで翻りまして、日本の国内政治のことを考えたいと思います。例えば、今の日本の国会の状況などを見たときに、漫画的といいますか、ピエロ的といいますか、非常に些末な議題が議会を賑わせている状況があります。さまざまな部分で(政治が)劣化しているのではないかと指摘されて久しい。

 これまでの世界史を見たときに、中西先生も以前からご指摘になっていますが、例えばロシア革命の後、西側の政治体制を壊すために、まずはその議会の権威を壊すということで、いろいろな工作を行い、人々への議会への信用を落としていくということがありました。あるいはプーチン政権も、例えばヨーロッパの極右政党などに、資金援助を含めたいろいろな援助をして、政治のかく乱をしているのではないかということも指摘されています。

 このような世界の動きの中で、日本の政治の現状を考えたときに、気をつけねばならないこと、あるいはしなければならないことは、中西先生はどのようなことだと思われますか。

中西 そうですね、やはり21世紀の日本と世界を考えるときに、民主主義の政治をどうやって立て直すか。プーチンのロシア、あるいは習近平の中国、さらにはトランプ時代に深い分断の溝を経験したアメリカや、極右勢力が跋扈するようになったEUを中心としたヨーロッパ諸国。こういった、人類社会の大きな不適応、もっといえば世界的な脅威。これに直面している21世紀のわれわれが、どう対処すべきかをもう一度、深く考える必要がある。

 国際秩序や世界史の行方という大所高所、ラージヒストリー(長大な歴史)を考える俯瞰的な展望。日本が今、本当に必要としているものは、これなのです。俯瞰的な展望と、それに則ってしっかりとした戦略を立てること。そして理にかなった、合理主義に徹した選択をするための勇気(合理主義に徹するためには人間は勇気を持たなければならない)。日本に不足しているのは、この3つです。

 つまり、展望と戦略・方法論、そして勇気。この3つが足りない。これが日本政治を混迷に陥らせている、最大の要因のいくつかでしょう。


●日本政治の問題点~選挙至上主義・野党・国民の政治への無関心


中西 そこで考えてみると、日本の政治はやはり、これだけの人類史的な脅威、世界史的...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
教養としての「人口減少問題と社会保障」(1)急速に人口減少する日本の現実
毎年100万人ずつ減少…急降下する日本の人口問題を考える
森田朗
内側から見たアメリカと日本(1)ラストベルトをつくったのは誰か
日本でも中国でもない…ラストベルトをつくった張本人は?
島田晴雄
緊急提言・社会保障改革(1)国民負担の軽減は実現するか
国民医療費の膨張と現役世代の巨額の「負担」
猪瀬直樹
クーデターの条件~台湾を事例に考える(1)クーデターとは何か
台湾でクーデターは起きるのか?想定シナリオとその可能性
上杉勇司
ポスト国連と憲法9条・安保(1)国連の構造的問題
核保有する国連常任理事国は、むしろ安心して戦争できる
橋爪大三郎
中国共産党と人権問題(1)中国共産党の思惑と歴史的背景
深刻化する中国の人権問題…中国共産党の思惑と人権の本質
橋爪大三郎

人気の講義ランキングTOP10
編集部ラジオ2025(33)2025年を振り返る
2025年のテンミニッツ・アカデミーを振り返る
テンミニッツ・アカデミー編集部
折口信夫が語った日本文化の核心(1)「まれびと」と日本の「おもてなし」
「まれびと」とは何か?折口信夫が考えた日本文化の根源
上野誠
豊臣兄弟~秀吉と秀長の実像に迫る(4)信長の直臣、秀吉の与力としての秀長
最初は信長の直臣として活躍――武闘派・秀長の前半生は?
黒田基樹
過激化した米国~MAGA内戦と民主党の逆襲(3)DSA化した民主党と今後の展望
DSAの民主党乗っ取り工作…世代交代で大躍進の可能性
東秀敏
生成AI「Round 2」への向き合い方(1)生成AI導入の現在地
生成AIの利活用に格差…世界の導入事情と日本の現状
渡辺宣彦
逆境に対峙する哲学(1)日常性が「破れ」て思考が始まる
逆境にどう対峙するか…西洋哲学×東洋哲学で問う知的ライブ
津崎良典
平和の追求~哲学者たちの構想(1)強力な世界政府?ホッブズの思想
平和の実現を哲学的に追求する…どんな平和でもいいのか?
川出良枝
健診結果から考える健康管理・新5カ条(1)血管をより長く守ることが重要な時代
健康診断の結果が悪い人が絶対にやってはいけないこと
野口緑
経験学習を促すリーダーシップ(4)成功を振り返り、強みを伸ばす
なぜ強みが大事なのか?ドラッカー、西田幾多郎の答えは
松尾睦
睡眠から考える健康リスクと社会的時差ボケ(5)シフトワークと健康問題
発がんリスク、心身の不調…シフトワークの悪影響に迫る
西多昌規