石原慎太郎と三島由紀夫と近衛文麿
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
「石原と小田実って全然同じ人間だよ」…保守とは何か?
石原慎太郎と三島由紀夫と近衛文麿(6)保守主義かファシズムか
片山杜秀(慶應義塾大学法学部教授/音楽評論家)
一般的には石原慎太郎は保守だと思われている。だがさまざまな著作や発言を見ると、決してそうとはいえないのではないか。今回は三島由紀夫の天皇観と対比しながら、石原慎太郎の天皇観や、なぜ石原慎太郎が保守と見えるのか、その実はどうだったのかという真相に迫る。(全9話中6話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:12分41秒
収録日:2022年3月18日
追加日:2022年7月13日
≪全文≫

●保守主義の一般的な定義とは


―― まさに保守の姿として、2人を並べて論じることも多いと思います。今、天皇の話もありましたが、例えば『尚武のこころ 三島由紀夫さん対談集』の、ある方との対談の中で三島由紀夫さん自身が言っているのは、「日本に限らず国というものは、理念的(合理的)な部分と、非合理的な部分がある。前者が統治国家だとすると、後者は祭祀(お祀り)国家があるべきだ。祭祀国家とは、天皇というものがあり、これがなくしてみなが集まる、命を懸けられるものはない。だから三種の神器なのだ」という話をしたところ、一緒にいた石原慎太郎さんと小田実さんが「三島さん、三種の神器だって」と2人で笑った。その対談者が「(思想の異なる)2人が笑うのですね」と言ったら、(三島由紀夫さんが)「石原と小田実って、全然同じ人間だよ、全く一人の人格の表裏ですな」と言った、という話をしています。

 また、石原さんが都知事だった時代に副知事を務められた猪瀬直樹さんがSNSに書かれていることですが、ある都の行事で君が代を歌う機会があった。当然、猪瀬さんは石原さんの隣に立って歌うのですが、本人に確認していないけれども石原さんは「きみがよは」のところを「わがひのもとは」と歌っているようであった、と。

 天皇観なり国家観を含めて、「本来、保守であればこういうものだ」というイメージもあると思います。まさに価値紊乱者、そして大衆動員者としての石原慎太郎さんと、美学的な三島由紀夫さんという違いもあるでしょうが、そもそも日本において保守とはどういうものでしょうか。

片山 保守とは、エドモンド・バークの定義に従えば、今あるもので保っているのなら、それはなるべく尊重し、残していくことを前提にしながら、どうしても変えなくてはいけないところは変えるにしても、今あるものが全ておかしいということが確信できないかぎり(という留保をつけてもいいかもしれないけれども)、基本的にはきちんと残せるものは残す。交代させて今まで経験知がないものでうまく行くと考えるのは抽象的な観念主義で、実際はうまくいかないかもしれない。今、いろいろと問題はあるけれども、それなりにうまくいっているものは現に経験知でうまくいくことが証明されているわけだから、それなりにうまくいっているものはなるべく残す。ど...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「芸術と文化」でまず見るべき講義シリーズ
なぜ働いていると本が読めなくなるのか問答(1)読書と教養からみた日本の近現代史
『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』で追う近現代史
三宅香帆
クラシックで学ぶ世界史(1)時代を映す音楽とキリスト教
音楽はなぜ時代を映し出すのか?…音楽と人の歴史の関係
片山杜秀
日本画を知る~その技法と見方(1)写実・写意・写生
日本画で大切な「写意」「写生」の深い意味とは?
川嶋渉
『古今和歌集』仮名序を読む(1)日本文化の原点となった「仮名序」
『古今和歌集』仮名序とは…日本文化の原点にして精華
渡部泰明
おみくじと和歌の歴史(1)おみくじは詩歌を読む
おみくじは「吉凶」だけでなく「和歌や漢詩」を読むのが本当
平野多恵
葛飾北斎と応為~その生涯と作品(1)北斎の画狂人生と名作への進化
葛飾北斎と応為…画狂の親娘はいかに傑作へと進化したか
堀口茉純

人気の講義ランキングTOP10
インテリジェンス・ヒストリー入門(1)情報収集と行動
日本の外交には「インテリジェンス」が足りない
中西輝政
豊臣兄弟~秀吉と秀長の実像に迫る(1)史実としての豊臣兄弟と秀長の役割
豊臣兄弟の謎…明らかになった秀吉政権での秀長の役割
黒田基樹
編集部ラジオ2025(31)絵で語る葛飾北斎と応為
葛飾北斎と応為の見事な「画狂人生」を絵と解説で辿る
テンミニッツ・アカデミー編集部
葛飾北斎と応為~その生涯と作品(4)葛飾応為の芸術と人生
親娘で進歩させた芸術…葛飾応為の絵の特徴と北斎との比較
堀口茉純
平和の追求~哲学者たちの構想(4)ルソーが考える平和と自由
ルソーの「コスモポリタニズム批判」…分権的連邦国家構想
川出良枝
生成AI「Round 2」への向き合い方(1)生成AI導入の現在地
生成AIの利活用に格差…世界の導入事情と日本の現状
渡辺宣彦
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(2)バイアスの正体と情報の抑制
『100万回死んだねこ』って…!?記憶の限界とバイアスの役割
今井むつみ
熟睡できる環境・習慣とは(4)起きているときを充実させるために
夜まとめて寝なくてもいい!?「分割睡眠」という方法とは
西野精治
お金の回し方…日本の死蔵マネー活用法(1)銀行がお金を生む仕組み
信用創造・預金創造とは?社会でお金が流通する仕組み
養田功一郎
死と宗教~教養としての「死の講義」(1)「自分が死ぬ」ということ
世界の宗教は死をどう考えるか…科学では死はわからない
橋爪大三郎