石原慎太郎と三島由紀夫と近衛文麿
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石原慎太郎と三島由紀夫と近衛文麿(1)政治家・石原慎太郎の源流と核の問題
片山杜秀(慶應義塾大学法学部教授/音楽評論家)
石原慎太郎と、三島由紀夫・近衛文麿を対比させると、日本の芸術のあり方から、政治問題の核心までが、見事なまでに浮かび上がる。第1話で紹介するのは、1970年に発刊された石原慎太郎の『慎太郎の政治調書』という著書である。この本は、石原氏が参議院議員選挙に初当選した1968~69年頃に週刊誌に寄稿したコラムを集めた一冊で、国際情勢などに対する見方・考え方がかなり率直に書かれている。そして、実はそこには、非核三原則や核の問題をはじめ、現代の日本人が直面している問題について、赤裸々な議論が数多く提起されているのだ。(全9話中1話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:10分33秒
収録日:2022年3月18日
追加日:2022年6月8日
≪全文≫

●石原慎太郎の「生きた魂の声」が分かる本


―― 皆さま、こんにちは。本日は片山杜秀先生に、「石原慎太郎と三島由紀夫と近衛文麿」というテーマで講義をいただきたいと思います。先生、どうぞよろしくお願いいたします。

片山 お願いいたします。

―― まず石原慎太郎さんについて、お話をうかがってまいります。片山先生が注目されたのが『慎太郎の政治調書』(講談社)という1970年に発刊された本ですね。これはどのような本なのでしょうか。

片山 1968年、石原慎太郎さんが自民党から参議院選挙に出て、国会議員に初当選します。その後、途中でいろいろな時期がありましたが、「政治家・石原慎太郎」の時代に入ります。この本は、その参議院議員に初当選したあとの、1年生議員としての身辺や思想など比較的アクチュアル(時事的)な材料についての政見の表明のようなものです。

 石原さんは当時、週刊誌にコラムを持っていました。その1968年、69年に連載していたコラムを1冊にまとめたのが『慎太郎の政治調書』という著書になったのです。まさに週刊誌のコラム集で、その本では何年何月何日号に出たものかはきちんと書かれてはいませんが、その時々の材料で書いてあり、だいたい順番通りに並んでいるものです。私も元の週刊誌に当たって読み直しているわけではありませんが、この本を読むと、大衆向け週刊誌のコラムですし、1週間ごとの国際情勢などについて、石原慎太郎さんがどう思っていたかということが、かなり率直に書かれてあります。

 石原慎太郎さんは基本的に率直な方だったと思いますが、それがますますストレートに出ています。石原慎太郎さんが毎週、おそらく国会などいろいろな場所にいるときの空いている時間に、その時の筆の勢いでバーッと書いてしまうのでしょう。生々しい感情や状況分析が、「婉曲な」とか「気取った」というような部分がない形で読める。そのため、「1968年、69年という時代は、このような状況だったのだなあ」と分かります。私はまだ幼稚園児だった頃の話ですから、ビジュアル的に分かる話もありますが、「そういわれてみれば、このような時代だったのかな」といったことを本当に楽しく読める本です。

 石原慎太郎さんがお亡くなりになった時(2022年2月1日死去)に改めてこの本をパラパラとめくってみると、石原慎太郎さんを語る際に本当に微妙なところから、かなり大...

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