石原慎太郎と三島由紀夫と近衛文麿
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学生闘争の街頭封鎖に知事の力で対峙せよ…国家革新の論理
石原慎太郎と三島由紀夫と近衛文麿(2)都知事・石原慎太郎への時代的経緯
芸術と文化
片山杜秀(慶應義塾大学法学部教授/音楽評論家)
石原慎太郎氏の著書『慎太郎の政治調書』を読むと、国会議員に初当選した当初から都知事を視野に入れていたことが窺える。その理由は、学生運動が盛んだった当時の時代状況も大きく関係している。国会議員ではなく都知事として地方自治体のリーダーになったほうが、庶民の生活のリアルに寄り添い、かつ国を動かすことができると考えたのだ。(全9話中2話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:14分31秒
収録日:2022年3月18日
追加日:2022年6月15日
≪全文≫

●「外出禁止令がないと治安が守れない」


―― もう1つ、1968年から70年の段階で、石原慎太郎さんがすでに都知事を視野に入れていたことについてお聞きします。石原慎太郎さん自身は1975年に一度、都知事に立候補して、その時は落選しました。その後、1999年に再度立候補して、この時は当選して都知事になるという流れになっていきます。68年の段階で石原慎太郎さんが都知事を視野に入れていたことについて、片山先生が注目されるのはどういった点ですか。

片山 『慎太郎の政治調書』の話に戻りますが、1年生議員の段階での石原慎太郎さんが「すでにこのようなことを言っているのか」と感じたのは、あるコラムの1回で力説されていた「外出禁止令がないと日本の治安は保てないことがある」ということです。

―― 当時はいわゆる学生運動、学園闘争が、1968年、69年頃に盛り上がってきて、街中でのデモなどが盛んにあった時期ですね。

片山 「外出禁止令」というと、現在では多くの方は疫病のことを想像なさると思います。ですが当時は、今言っていただいたように学生闘争が大変盛んで、デモなどがあると普通の車は通れなかったり、シャッターを下ろして打ちこわしの恐怖に耐えたり、実際にお店が壊されたり車が燃やされたりといったことが起きていました。また、街頭占拠があった。バリケードで路上を占拠するなどして解放区をつくるという発想です。そうやって都市が騒乱状況に置かれることが年に何日かあったし、大学の近くであれば占拠が長引くなど、いろいろなことがありました。

 私も幼稚園の頃などに「今日は新宿に行ってはダメだよ。デモがあるから」「今日は家族で食事に行くのに新宿は行けないから」などと言われ、「えっ、そうなの?」といった日がありました。確かにテレビのニュースを見ると、百貨店も臨時休業だといって昼間からシャッターを下ろして学生の乱入に備えているといった具合です。最近でもパリなどさまざまな場所で似たような風景はあり、東京では長らくそこまで行くものはありませんが、そういったことが日常茶飯事とはいわないまでも、年に何度もありました。

 そういった中で、例えば三島由紀夫さんはついに、それによって革命的な騒乱、体制転覆があり得るのではないかと考えた。それに対して自衛隊が治安出動することによって、左翼的な価値観からいえば一種の「反革命」を起こして、自...

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