石原慎太郎と三島由紀夫と近衛文麿
この講義シリーズは第2話まで
登録不要で無料視聴できます!
第1話へ
▶ この講義を再生
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
『「NO」と言える日本』と「英米本位の平和主義を排す」と
石原慎太郎と三島由紀夫と近衛文麿(7)石原慎太郎と近衛文麿の政治手法
片山杜秀(慶應義塾大学法学部教授/音楽評論家)
政治家としての石原慎太郎を見る際に比較したいのが近衛文麿である。近衛は第一次大戦後の平和に向けた国際情勢の中で、日本がつねに英米の劣後に置かれることを危惧し続けた。石原慎太郎もまた、第二次大戦後に日本がつねにアメリカの劣位に置かれ続けることを危惧したのであった。(全9話中7話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:10分12秒
収録日:2022年3月18日
追加日:2022年7月20日
≪全文≫

●「アジアの劣位をいかに跳ね返すか」に関心があった近衛文麿


―― そこで政治のあり方として対比させたいのが、戦前の近衛文麿さんになります。

 近衛文麿さんも非常に人気がある方でした。貴族であり、五摂家という由緒正しい血筋なのですが、しかし案外、言論は尖っています。第1次世界大戦の後には「英米本位の平和主義を排す」という一世を風靡した論文を発表しました。

 当時、国際連盟をアメリカが提唱し、イギリスなどが乗って結成された。そして平和主義という空気がやってきて、日本人が「それは素晴らしい」と浮かれているのに対して、「そんなものに浮かれるものではない。アメリカやイギリスはそうしたほうが都合がいいから言っているのだ」と。

 また軍国主義だけではなく、いわゆる経済帝国主義といいますか、そうしたことにも「けしからん」と疑問を呈しました。また、もちろん人種差別は問題で、それを訴えなければいけない。そういったことをかなり強烈に打ち出していました。

 日本国民も「それはいいぞ」と喝采した面はあるとは思うのですが、なんとなく石原慎太郎的なあり方と重なる部分があるのではないか。そこはどう見ておられますか。

片山 石原慎太郎さんの場合、大衆の中の情念・情動みたいなものを刺激して人気を得ていく手法だと申しました。それを近衛文麿さんの時代と重ねて考えれば、国際政治の中で文明開化、あるいは戦後の世界の中で日本がどう生き延びていくかを考えたときには、近衛文麿さんや近衛文麿さんの父・篤麿さんの立場と、石原慎太郎さんの立場は似たものがあります。

 近衛篤麿や近衛文麿という人――特に近衛文麿さんは父親の影響を受けたと思います――は、要するに文明開化で西洋と協調しながら福沢諭吉的なビジョンで「同じ文明国の1つとしてやっていきましょう」という中である安定を求めるのではなく、常にアジアが劣位に置かれていて、その抑圧をいかに跳ね返すかということに、どうしても関心がある。だから対抗的になる。

 日本の中でも、日本は文明開化をしてどんどん西洋化し、西洋の価値観を身につけてアメリカ、イギリス、フランスなどとまったく対等の文明を持った国に育っていけば、自ずと世界の中で1つの国として存在できる。アジアやヨーロッパ、アメリカといったような地域、世界の中のエリア...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「芸術と文化」でまず見るべき講義シリーズ
司馬遼太郎のビジョン~日本の姿とは?(1)1923年生まれの3人の作家
司馬遼太郎と日本人…まず遠藤周作、池波正太郎との比較で考える
片山杜秀
文明語としての日本語の登場(1)古代日本語の復元
なぜ「てふてふ」が蝶々?日本語の変遷を追う…まずは万葉仮名から
釘貫亨
なぜ働いていると本が読めなくなるのか問答(1)読書と教養からみた日本の近現代史
『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』で追う近現代史
三宅香帆
ルネサンス美術の見方(1)ルネサンス美術とは何か
ルネサンスはどうやって始まった?…美術の時代背景
池上英洋
いま夏目漱石の前期三部作を読む(1)夏目漱石を読み直す意味
メンタルが苦しくなったら?…今、夏目漱石を読み直す意味
與那覇潤
AI時代に甦る文芸評論~江藤淳と加藤典洋(1)AIに代わられない仕事とは何か
江藤淳と加藤典洋――AI時代を生きる鍵は文芸評論家の仕事
與那覇潤

人気の講義ランキングTOP10
編集部ラジオ2026(34)『オデュッセイア』の秘密と愉しみ
【10min解説】大ヒット映画『オデュッセイア』がもっと楽しくなる神話講義
テンミニッツ・アカデミー編集部
『オデュッセイア』で読み解く神話の秘密(1)物語の構造を読み解くおもしろさ
『オデュッセイア』の面白さの秘密を神話の構造から読み解く…なぜ波乱万丈の神話が人間の創作の源泉になったか
松村一男
高齢者のフレイル・認知症とその予防対策(2)高齢者総合機能評価とフレイル
“マッチョな老衰”はいない!?若い頃からいかに骨格筋肉量を蓄えるかが健康長寿の鍵
小川純人
「満洲」から考える日本とアジア(5)ロシアのシベリア征服と日清日露戦争
「満洲利権」はなぜ日本の手に渡ったか?…ロシアの極東征服、そして朝鮮の混乱が日本を日清・日露戦争へ
宮脇淳子
AI時代と人間の再定義(1)AIは思考するのか
AIでは「思考の三位一体」が成立しない…考えるとは?
中島隆博
モンゴル帝国の世界史(1)日本の世界史教育の大問題
なぜ日本の「世界史」はいびつなのか…東洋史と西洋史の違い
宮脇淳子
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(1)サイバー・フィジカル融合と心身一如
なぜ空海が現代社会に重要か――新しい社会の創造のために
鎌田東二
核DNAからさぐる日本のルーツ(1)人類の起源と広がり
核DNAデータで日本人のルーツを探る…アフリカから日本まで来た行程と時期は?
斎藤成也
仏教とキリスト教が照らし出す日本の宗教(5)「原則なし」の日本
世界は「原則」でできているが、日本は「原則はなし」にする
橋爪大三郎
教養としての「人口減少問題と社会保障」(1)急速に人口減少する日本の現実
毎年100万人ずつ減少…急降下する日本の人口問題を考える
森田朗