石原慎太郎と三島由紀夫と近衛文麿
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
第1話へ
▶ この講義を再生
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
日中戦争、大政翼賛会…近衛に学ぶポピュリズムの自縄自縛
石原慎太郎と三島由紀夫と近衛文麿(8)大衆の人気に頼る政治家の失敗
片山杜秀(慶應義塾大学法学部教授/音楽評論家)
近衛文麿は大政翼賛会を作りトップダウンによる強力政治を目指したが、政治の世界に仲間が多くいたわけではなく、実は大衆の情念によって生まれた政治家でしかなかった。そのため、自分の言葉に縛られ、自滅へと追いやられることになる。その点では石原慎太郎も似ており、ポピュリズム的な人気に支えられた政治家の宿命を帯びていた。(全9話中8話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:17分18秒
収録日:2022年3月18日
追加日:2022年7月27日
≪全文≫

●政治の世界に仲間がいなかった近衛文麿


片山 近衛文麿という人は、日本人の中にある、文明開化をしてもいつまでも満たされない西洋コンプレックスのようなものや、国際社会の中で日本は日清戦争にも日露戦争にも勝ち、第1次世界大戦の戦勝国になり、国際連盟の常任理事国になり、国際的な主張がもっとできる国のはずなのに、いつまでたっても世界の中で半端な地位にあるというストレスを引き受ける最後の希望の星として人気を得るようなパフォーマンスを取り続け、結局、最後の希望の星になった。しかし、「中国などをまずやっつけて、アメリカやイギリスだって日本の力があればなんとかなるのではないか」といった人民、民衆の情念に支えられる政治家でしかなかったのが、近衛文麿さんだということです。

 近衛文麿さんは、貴族院を基盤にした政治家です。石原慎太郎さんは自民党を基盤にした政治家で、自民党の中で非常に人気者だったけれども、100人、200人の派閥を持っていたわけではなかったのと同じで、近衛文麿さんは公爵家で、貴族院の中の選挙で議員に選ばれるのではなく世襲です。華族のトップだから、近衛家の当主は選挙もなく自動的に貴族院議員になる。貴族院の中で会派に属したり、会派を作ったりしたこともあるけれど、近衛文麿さんはもともと学生時代から殿上人のトップのような立場なので、親友もあまりおらず、身近に仲間がたくさんできるというわけでもない。距離を置かれて、「ああ、近衛様だ」という感じになる。

 要するに、衆議院で原敬のように、頑張って政党の中で「誰が信用できるか」などとばかり考えて、50人、100人仲間を作っては裏切られ、「この野郎」のように大騒ぎする、といったものとは全く違うわけです。

 ところが、貴族院の近衛文麿さんしか期待できないほどの状態に陥りました。大正デモクラシーで、普通選挙法になり、政党政治の時代だといって二大政党になっていく。これからは政友会と民政党の時代だと思ったら、世界大恐慌に陥った。人気取りのために、一種のポピュリズムで政友会も民政党も調子の良いことを言うのだけれど、世界大恐慌や中国情勢は悪化していく。いくら政党が「これでうまくいきます」と言ってもうまくいかず、結局は国民を裏切るばかりで、「財閥と結託して甘い汁を吸っては国民を騙しているだけではないか」と思われる政党になってしまった。

 だから...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「芸術と文化」でまず見るべき講義シリーズ
AI時代に甦る文芸評論~江藤淳と加藤典洋(1)AIに代わられない仕事とは何か
江藤淳と加藤典洋――AI時代を生きる鍵は文芸評論家の仕事
與那覇潤
『古今和歌集』仮名序を読む(1)日本文化の原点となった「仮名序」
『古今和歌集』仮名序とは…日本文化の原点にして精華
渡部泰明
石原慎太郎と三島由紀夫と近衛文麿(1)政治家・石原慎太郎の源流と核の問題
石原慎太郎と三島由紀夫と近衛文麿…対比で見えてくる現代的課題
片山杜秀
バッハで学ぶクラシックの本質(1)リベラルアーツと音楽
音楽の父バッハ…なぜ「音楽」が西洋でリベラルアーツなのか?
樋口隆一
ルネサンス美術の見方(1)ルネサンス美術とは何か
ルネサンスはどうやって始まった?…美術の時代背景
池上英洋
文明語としての日本語の登場(1)古代日本語の復元
なぜ「てふてふ」が蝶々?日本語の変遷を追う…まずは万葉仮名から
釘貫亨

人気の講義ランキングTOP10
仏教とキリスト教が照らし出す日本の宗教(2)教義の宗教と覚りの宗教
キリスト教は教義の宗教、仏教は覚りの宗教…仏教はなぜ普遍宗教か
橋爪大三郎
徳川将軍と江戸幕府~井伊直弼編(1)桜田門外の変と井伊直弼の人物像
「桜田門外の変」の謎…井伊直弼の警護に問題はなかったのか
山内昌之
もののあはれと日本の道徳・倫理(1)もののあはれへの共感と倫理
本居宣長が考えた「もののあはれ」と倫理の基礎
板東洋介
教養としての「ユダヤ人の歴史とユダヤ教」(1)ユダヤ人とは誰のことか
ユダヤ人とは?なぜ差別?お金持ち?…『ユダヤ人の歴史』に学ぶ
鶴見太郎
編集部ラジオ2026(28)自由喪失の危機に考えるハイエク-1
斎藤幸平氏に物申す…自由喪失の危機に読みたい自由主義の近現代史
テンミニッツ・アカデミー編集部
デカルトの存在論に学ぶ(1) 「我思う、ゆえに我在り」
「我思う、ゆえに我在り」はデカルトの専売特許ではない
津崎良典
原因と結果の迷宮~因果関係と哲学(6)不在因果の問題
不作為(◯◯しなかったこと)の原因は無限に拡散する
一ノ瀬正樹
資本主義の再定義…哲学で考える(6)「学ぶ」ことの本質と道徳の問題
「一人で悟るのは危険だ」…学ぶことの本質と日本の役割とは?
中島隆博
中国春秋戦国時代と始皇帝(序)映画『キングダム』の中国史監修
中国古代史の真実と『キングダム』…史実がわかれば物語はもっと面白い
鶴間和幸
日本の財政の真実を検証する(7)AIと長寿化&質疑応答
AI時代にこそ「熟達者の経験」が生きる&現状の日本経済の実情は
宮本弘曉