石原慎太郎と三島由紀夫と近衛文麿
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
第1話へ
▶ この講義を再生
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
『潮騒』と『太陽の季節』…美への憧憬vs煽情的な太陽族
石原慎太郎と三島由紀夫と近衛文麿(4)三島と石原の芸術性は対極的
片山杜秀(慶應義塾大学法学部教授/音楽評論家)
三島由紀夫と石原慎太郎はほぼ同時代に活躍した作家であるといえる。しかし、二人の作品を見ると、似たモティーフを用いつつも、その扱い方が全く異なることが見て取れる。交流があり影響し合った二人が、それぞれ何に重きを置き、お互いをどのように捉え、それが作品にどのように表れたのか。『潮騒』と『太陽の季節』という両者の若い頃の代表作を取り上げて考えていく。(全9話中4話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:14分21秒
収録日:2022年3月18日
追加日:2022年6月29日
≪全文≫

●お互いに影響し合っていた三島由紀夫と石原慎太郎


―― 今、片山先生から三島由紀夫さんについての言及がありました。お互い対談なども数多く行っていますし、三島由紀夫さんも石原慎太郎さんのことを買っていたり、批判したりと、いろいろな時期がありました。2人の文学を比べて、片山先生はどう分析されますか。

片山 三島由紀夫さんのたくさんの作品と、石原慎太郎さんのたくさんの作品を比べると論点はいくらでも出てくるし、当然ながら簡単に語り尽くせるはずもありません。しかも、お互いかなり意識し合っていた面もある。だから単に、「同じ時代や少しずれた時代に、こういう作品を書いて、そのモティーフはこういう点が似ていて、全く違うのだ」ということを指摘するだけでは足りません。あの二人には相互影響があるのです。「三島さんがこういうものを書いているから、僕はこういうものを書いてみようかな」とか「石原がこんなものを書いているのなら、僕はこうだ」といった具合に。

 政治においても、「石原慎太郎が自民党だったら、僕は楯の会だ」となります。また「石原慎太郎が映画界で頑張っているのなら、僕(三島)も映画の主演をしてしまおう」ともなる。三島由紀夫さんは映画にもとても興味を持つけれど、石原慎太郎さんのほうが先行していますから。

 スポーツもそうです。三島由紀夫さんが身体を鍛えたのも、石原慎太郎さんが「太陽族」で、サッカーなどで鍛えているからでしょう。石原慎太郎さんが小説にボクシングのイメージをやたらと出して、「男がたくましく殴り合う、あの快感こそが男性的なものの最も赤裸々な表現だ」とすると、三島由紀夫さんが「僕はボディビルダーだ」となってしまうわけです。石原慎太郎の「太陽族」イメージが流行ってから、すぐ後に三島由紀夫さんはボディビルを始めているのですが、これは偶然ではないと思います。

 石原慎太郎さんも三島由紀夫さんも、その相関については直接的には言及していないと思います。けれども年代記を合わせれば、石原慎太郎さんがスポーティブなイメージでカッコいいタレント的な容貌と、小説も書くという合わせ技でマスメディアの寵児になったのに対し、当時の三島由紀夫さんはすでに大有名作家になっていたし、若くして日本を代表する作家になりつつあったけれども、肉体的にはいかにもひ弱なイメージで、まさに旧制高校から東大の文...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「芸術と文化」でまず見るべき講義シリーズ
ルネサンス美術の見方(1)ルネサンス美術とは何か
ルネサンスはどうやって始まった?…美術の時代背景
池上英洋
いま夏目漱石の前期三部作を読む(1)夏目漱石を読み直す意味
メンタルが苦しくなったら?…今、夏目漱石を読み直す意味
與那覇潤
ショパンの音楽とポーランド(1)ショパンの生涯
ショパン…ピアノのことを知り尽くした作曲家の波乱の人生
江崎昌子
なぜ働いていると本が読めなくなるのか問答(1)読書と教養からみた日本の近現代史
『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』で追う近現代史
三宅香帆
深掘りシェイクスピア~謎の生涯と名作秘話(1)シェイクスピアの謎
シェイクスピアの謎…なぜ田舎者の青年が世界的劇作家に?
河合祥一郎
『太平記』に学ぶ激動期の生き方(1)なぜ今『太平記』を読むべきなのか
『太平記』は乱世における人間の処し方が学べる古典文学
兵藤裕己

人気の講義ランキングTOP10
編集部ラジオ2026(30)AI時代の企業と道徳
【10minで考える】CPO(最高哲学責任者)…AI時代に必須の哲学とは
テンミニッツ・アカデミー編集部
資本主義の再定義…哲学で考える(1)アダム・スミスの「市場と感情」
資本主義を哲学する…まずアダム・スミスの見えざる手と道徳感情論
中島隆博
仏教とキリスト教が照らし出す日本の宗教(2)教義の宗教と覚りの宗教
キリスト教は教義の宗教、仏教は覚りの宗教…仏教はなぜ普遍宗教か
橋爪大三郎
徳川将軍と江戸幕府~井伊直弼編(1)桜田門外の変と井伊直弼の人物像
「桜田門外の変」の謎…井伊直弼の警護に問題はなかったのか
山内昌之
教養としての「ユダヤ人の歴史とユダヤ教」(1)ユダヤ人とは誰のことか
ユダヤ人とは?なぜ差別?お金持ち?…『ユダヤ人の歴史』に学ぶ
鶴見太郎
新撰組と幕末日本の「真実」(6)新撰組結成と清河八郎、芹沢鴨
清河八郎と芹沢鴨…乱闘事件や大和屋焼討事件の真相とは?
堀口茉純
もののあはれと日本の道徳・倫理(1)もののあはれへの共感と倫理
本居宣長が考えた「もののあはれ」と倫理の基礎
板東洋介
中国春秋戦国時代と始皇帝(7)始皇帝を支えた家臣たち
始皇帝を支えた家臣たち…史実からいかに実像を描いていくか
鶴間和幸
AI時代と人間の再定義(1)AIは思考するのか
AIでは「思考の三位一体」が成立しない…考えるとは?
中島隆博
組織心理学とは何か~『武器としての組織心理学』と概論
なぜ組織に「心理学」が必要か?多様化と個の時代の処方箋
山浦一保