歴史から見た中国と世界の関係
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
イギリスをはじめとするアングロ圏で急速に進む中国離れ
歴史から見た中国と世界の関係(5)イギリスの中国離れとインテリジェンス
中西輝政(京都大学名誉教授/歴史学者/国際政治学者)
イギリスも2020年に入って、それまで親中だったスタンスを大きく変えた。コロナの影響に加え、香港国家安全維持法によって、かつての宗主国だった香港のプライドが踏みにじられた。ファーウェイ製品についても、2020年1月まではアメリカの呼びかけに応じず一部採用予定だったが、7月になって全面排除を決めた。その背景にはイギリスの情報機関の存在もあり、イギリスのインテリジェンスには国策を変えさせる力がある。(全10話中第5話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:11分12秒
収録日:2020年8月21日
追加日:2020年10月12日
≪全文≫

●「一国二制度」の合意を踏みにじられたイギリス


―― 次にイギリス並びにヨーロッパの分析に行きたいのですが、まず香港について伺います。

 今般の香港をめぐるが問題が、かなり大きなことになっています。以前ならアメリカ、とくにトランプ政権が比較的、反中の姿勢を示す中、ヨーロッパはそこまでではないという見方もありました。特にドイツは親中的なスタンスで、経済活動も含めて、いろいろやっているという見方もありました。これが2020年になって、ずいぶん変わってきたのでしょうか。

中西 非常に大きく変わりました。特にイギリスをはじめとするアングロサクソン諸国、あるいはアングロスフィア(アングロ圏)の国々を中心に、アメリカ以外の国でも「中国離れ」が急速に進んでいるのが、2020年の非常に大きな特徴です。やはりコロナの影響が大きいと思います。

 特にイギリスはコロナの被害では、ヨーロッパでもっとも多い死者数を数えています。さらに香港については、イギリスは当事者の立場です。中国と合意した「一国二制度」が、世界の誰が見ても分かる格好で、中国によって踏みにじられた。「香港の自由、香港の民主主義は、われわれが育てた」というプライドが、イギリスにはあります。

 実際は返還が決まるまで必ずしもイギリスは精力的に民主化を推進したわけではありませんが、それはともかく、返還の際の「英中共同声明」という合意も国際法の一部になり、国連にも寄託されています。中国はこれを、言わば紙くずのように捨て去ったわけです。どう見てもイギリスとしては許せない。

 その旧宗主国としてのプライドは、われわれには分かりかねるものがありますが、やはりイギリスはそういうところで生きているところがあります。「われわれは大英帝国の後継者である」「世界に議会制を広げたのも我がイギリスである」「撤退したけれど、いろいろな国に民主主義を植え付けて近代化し、いろいろな恩恵も残してきた」。こういうこともイギリスのプライドの背景にあります。


●ファーウェイ製品の全面排除へ


中西 さらにはアメリカが訴えてきたファーウェイの5G問題をはじめとするセキュリティ問題に、イギリスも少し、あるいはかなりはっきり気づき始めたことも大きいと思います。これは日本のような、「アメリカに追随せよ」、あるいは「アメリカが言うからしかたがない」という立場では...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
戦争とディール~米露外交とロシア・ウクライナ戦争の行方
「武器商人」となったアメリカ…ディール至上主義は失敗!?
東秀敏
ポスト国連と憲法9条・安保(1)国連の構造的問題
核保有する国連常任理事国は、むしろ安心して戦争できる
橋爪大三郎
内側から見たアメリカと日本(1)ラストベルトをつくったのは誰か
日本でも中国でもない…ラストベルトをつくった張本人は?
島田晴雄
クーデターの条件~台湾を事例に考える(1)クーデターとは何か
台湾でクーデターは起きるのか?想定シナリオとその可能性
上杉勇司
外交とは何か~不戦不敗の要諦を問う(1)著書『外交とは何か』に込めた思い
外交とは何か…いかに軍事・内政と連動し国益を最大化するか
小原雅博
習近平中国の真実…米中関係・台湾問題(1)習近平の歴史的特徴とは?
一強独裁=1人独裁の光と影…「強い中国」への動機と限界
垂秀夫

人気の講義ランキングTOP10
平和の追求~哲学者たちの構想(5)カント『永遠平和のために』
カント『永遠平和のために』…国連やEUの起源とされる理由
川出良枝
戦争とディール~米露外交とロシア・ウクライナ戦争の行方
「武器商人」となったアメリカ…ディール至上主義は失敗!?
東秀敏
逆境に対峙する哲学(1)日常性が「破れ」て思考が始まる
逆境に対峙する哲学カフェ…西洋哲学×東洋哲学で問う矛盾
津崎良典
豊臣兄弟~秀吉と秀長の実像に迫る(1)史実としての豊臣兄弟と秀長の役割
豊臣兄弟の謎…明らかになった秀吉政権での秀長の役割
黒田基樹
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
生成AI「Round 2」への向き合い方(1)生成AI導入の現在地
生成AIの利活用に格差…世界の導入事情と日本の現状
渡辺宣彦
インテリジェンス・ヒストリー入門(1)情報収集と行動
日本の外交には「インテリジェンス」が足りない
中西輝政
渡部昇一の「わが体験的キリスト教論」(1)古き良きキリスト教社会
古き良きヨーロッパのキリスト教社会が克明にわかる名著
渡部玄一
キリスト教とは何か~愛と赦しといのち(1)「イエス」とは一体誰なのか
「イエス・キリスト」という名前の本当の意味は?
竹内修一
プロジェクトマネジメントの基本(1)国際標準とプロジェクトの定義
プロジェクトマネジメントとは?国際標準から考える特性
大塚有希子