歴史から見た中国と世界の関係
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
ド・ゴールの故事に倣い、日本の姿勢を明確にすべき
歴史から見た中国と世界の関係(10)日本が取るべき選択とは
中西輝政(京都大学名誉教授/歴史学者/国際政治学者)
日本が今、参考にすべきはフランスのド・ゴール大統領の発言ではないだろうか。当時、アメリカと国益をめぐって衝突していたフランスだが、キューバ危機が起こると真っ先に「徹頭徹尾アメリカを支持する」と立場を鮮明にした。日本もアメリカの同盟国として「現在秩序を維持する」という立場をはっきり示すことが大事である。中国と最も近い国である日本はアメリカより過激になる必要はないが、ヨーロッパやオーストラリアなどに遅れを取るようではいけない。(全10話中第10話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:9分48秒
収録日:2020年8月21日
追加日:2020年10月26日
≪全文≫

●キューバ危機の時、ド・ゴール大統領が真っ先に言ったこと


中西 ここで思い出すのが、フランスのシャルル・ド・ゴール大統領の言葉です。1962年にアメリカとソ連の間で有名なキューバ危機が起こります。アメリカは核戦争の危機をかけても、キューバに配備されたソ連の核ミサイルを撤去させようとした。アメリカのジョン・F.ケネディ大統領は、ギリギリの生存の危機をかけて、この問題に乗り出したわけです。決定的な、世界史的な危機だったと思います。

 それまでフランスは、アメリカと国益の細々とした問題では必ずしも一致しませんでした。ところが、この米ソ衝突の一歩手前の時、真っ先にド・ゴール大統領が言ったのは、「われわれは真っ先にどの国よりも早く、明確にしたい。何があってもアメリカの同盟国として、徹頭徹尾アメリカを支持する」というものでした。

 この発言によって、この危機が本当の破局に至らないための役割をフランスは何があっても果たすと、しっかりと世界に宣言したのです。

―― それはとても大事な動きですね。

中西 これは非常に大事なことで、「ド・ゴール主義」「ド・ゴール外交」という言葉があるように、アメリカとは何から何まで一致する必要はない。ましてアメリカに追随する外交は、国の威信としても、国益としても望ましくない。これはどの国でも当然、前提とする考えで、フランスはそれを実行して、非常に強くアメリカにもの申す外交を演じていた。これが「ド・ゴール外交」でした。

 ところが、本当の危機が迫ってきたら、フランスはアメリカの同盟国として曖昧な立場は取らない。同盟国としての誠実さ、真実の心が同盟関係の一番の基盤であると相手に示し、世界に示し、ソ連にも示した。それによってソ連は、アメリカの同盟国を分断することはできないと悟り、アメリカに譲歩する。つまり危機を回避する必要があるという決断に至ったのです。

 このように考えると、日本が取るべき立場は明快です。日本あるいはアジアの平和と繁栄を確保するために、現状秩序を維持するという立場に立って、アメリカの同盟国として日本の国家としての真のあり方は、ここにあると示す。これは必ず中国にも通じます。お互い勝負に出る、あるいは紛争を起こしても展望はないことを示す。それが抑止力ということですが、そういう方向性、選択を日本は明確に持つべき時期に来ているのでは...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
「次世代地熱発電」の可能性~地熱革命が拓く未来
地熱革命が世界を変える――次世代地熱の可能性に迫る
片瀬裕文
教養としての「人口減少問題と社会保障」(1)急速に人口減少する日本の現実
毎年100万人ずつ減少…急降下する日本の人口問題を考える
森田朗
外交とは何か~不戦不敗の要諦を問う(1)著書『外交とは何か』に込めた思い
外交とは何か…いかに軍事・内政と連動し国益を最大化するか
小原雅博
ポスト国連と憲法9条・安保(1)国連の構造的問題
核保有する国連常任理事国は、むしろ安心して戦争できる
橋爪大三郎
グローバル環境の変化と日本の課題(1)世界の貿易・投資の構造変化
トランプ大統領を止められるのは?グローバル環境の現在地
石黒憲彦
過激化した米国~MAGA内戦と民主党の逆襲(1)米国の過激化とそのプロセス
トランプ政権と過激化した米国…MAGA内戦、DSAの台頭
東秀敏

人気の講義ランキングTOP10
聖徳太子「十七条憲法」を読む(1)十七条憲法を学ぶ現代的意義
聖徳太子の「和」は議論の重視…中華帝国への独立の気概
賴住光子
ソニー流「人的資本経営と新規事業」成功論(3)「現場の熱」こそ多角化の要点
新規事業を成功させるリーダーとは…上意下達はなぜダメか
水野道訓
こどもと学ぶ戦争と平和(1)私たちに必要な想像力と戦争体験
なぜ戦争が起こるのだろう…大切なのは想像力と生の声
小原雅博
これからの社会・経済の構造変化(1)民主主義と意思決定スピード
フラット化…日本のヒエラルキーや無謬性の原則は遅すぎる
柳川範之
哲学から考える日本の課題~正しさとは何か(1)言葉の正しさとは
「正しい言葉とは何か」とは、古来議論されているテーマ
中島隆博
おもしろき『法華経』の世界(10)未来への智慧と希望
「未来応化=どんな未来も大丈夫」…ブレない臨機応変の力
鎌田東二
AI時代と人間の再定義(6)道徳の起源から考えるAIと感情の問題
道徳の起源は理性か感情か?…AI時代に必要な思考の身体性
中島隆博
平和の追求~哲学者たちの構想(6)EU批判とアメリカの現状
理想を具現化した国連やEUへの批判がなぜ高まっているのか
川出良枝
危機のデモクラシー…公共哲学から考える(5)共存・共生のための理性
共生への道…ジョン・ロールズが説く「合理性と道理性」
齋藤純一
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(6)曼荼羅の世界と未来のネットワーク
命は光なのだ…曼荼羅を読み解いて見えてくる空海のすごさ
鎌田東二