歴史から見た中国と世界の関係
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
反中外交に大転換、インドへの接近を始めたオーストラリア
歴史から見た中国と世界の関係(6)豪・印が対中国強硬路線へ
政治と経済
中西輝政(京都大学名誉教授/歴史学者/国際政治学者)
オーストラリアもコロナによって、親中路線から反中外交に大転換した。中国から「オーストラリアからの食肉の輸入禁止」などの強い措置を取られても、いっさいへこまなかった。さらに長年、仲が良くなかったインドとの接近も始めた。インドも中国との国境紛争で数十人の死者を出したこともあり、いまやオーストラリアはインドと軍事協力を行うまでになっている。(全10話中第6話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:7分04秒
収録日:2020年8月21日
追加日:2020年10月12日
≪全文≫

●曖昧路線から反中外交に大転換したオーストラリア


―― 大英帝国の流れでいうと、アジアにはオーストラリアがあります。オーストラリアはこの間、どちらかというと親中と反中で揺れ動いていました。それが香港問題等々を受けて、態度がある程度、固まってきていると見てよろしいですか。

中西 オーストラリアこそ、まさにコロナが親中あるいは曖昧路線から、反中外交に大転換させた大きな要因だったと思います。2020年3月にオーストラリアのスコット・モリソン首相が記者会見で、「コロナの発生源に関する第三者の独立した調査が必要」という声明を出しました。特に中国を名指ししたわけではありませんが、それに対し中国は非常に激しく反論して、「そういう非友好的な発言は許せない」と一挙に激情した反応を示しました。

 それがオーストラリアからの食肉の輸入停止という、非常に強い措置になりました。またオーストラリアから大量に輸入していた大麦の関税を一挙に80パーセントに上げる。これはもう禁止的関税です。それからオーストラリアワインの最大の買い手は中国で、これも輸入を許さない。中国の観光客がオーストラリアに行くことも、今後は許さない。そういう矢継ぎ早の強硬手段に打って出たのです。

 オーストラリアにとって最大の貿易相手国は中国ですから、普通ならここでオーストラリアはへこむはずです。ところが今回はへこまず、一挙に「受けて立つ」と非常に強い反応を示した。「なぜ中国がこんな反応を示すのか、われわれは理解できない」と跳ね返し、返す刀でインドとの接近を始めます。

 日米豪印の4か国が手を結べば、インド太平洋地域で中国の進出を抑止できると、これまでよく言われていました。日本の政治家やアメリカ当局も、そうしたインド太平洋戦略構想を口にしていましたが、従来オーストラリアもインドも中国と表立って敵対関係になりたくない気持ちが強くありました。そのためこの2国は安全保障上のいろいろな取り組みにも、日米側にあまり寄ってきませんでした。

 ところが2020年6月、7月、オーストラリアは中国との関係悪化を受けて様子が変わってきました。インドも中国との国境地帯で軍事的紛争が起こり、インド兵から十数名の死者を出しています。中国が非常に強い姿勢で国境で事を構えようとしてきたのを見て、インドは「これは大変なことになる」と、脅威感を非常に高めま...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
マルクス入門と資本主義の未来(1)マルクスとはどんな人物なのか
マルクスを理解するための4つの重要ポイント
橋爪大三郎
松下幸之助の人づくり≪3≫理想の政治(1)国家に経営理念があれば、もっと日本は発展する
無限の可能性に挑め…国家経営を創造し、新時代の憲法を!
松下幸之助
トランプ政権と「一寸先は闇」の国際秩序(1)国際秩序の転換点と既存秩序の崩壊
経済秩序や普遍的価値観を破壊し、軍事力行使も辞さぬ米国
佐橋亮
デジタル全体主義を哲学的に考える(1)デジタル全体主義とは何か
20世紀型の全体主義とは違う現代の「デジタル全体主義」
中島隆博
グローバル環境の変化と日本の課題(1)世界の貿易・投資の構造変化
トランプの動きを止められるのは?グローバル環境の現在地
石黒憲彦
多数派が多数でなくなるとき
悩める多数派…なぜ「多数は少数の集まり」と考えるべきか
曽根泰教

人気の講義ランキングTOP10
産業イニシアティブでつくるプラチナ社会(1)「プラチナ社会」構想と2050年問題
5つの産業で「資源自給・人財成長・住民出資」国家を実現
小宮山宏
クーデターの条件~台湾を事例に考える(1)クーデターとは何か
台湾でクーデターは起きるのか?想定シナリオとその可能性
上杉勇司
編集部ラジオ2025(25)クーデターで考える「政治の要点」
台湾クーデター・シミュレーション…「世直し」への条件
テンミニッツ・アカデミー編集部
学力喪失の危機~言語習得と理解の本質(1)数が理解できない子どもたち
なぜ算数が苦手な子どもが多いのか?学力喪失の真相に迫る
今井むつみ
エンタテインメントビジネスと人的資本経営(2)日本人が知らない世界エンタメ市場
実は「コンテンツ世界収益ベストテン」に日本勢が5つも!
水野道訓
今こそ問うべき「人間にとっての教養」(1)なぜ本を読むことが教養なのか
『人間にとって教養とはなにか』に学ぶ教養と本の関係
橋爪大三郎
習近平中国の真実…米中関係・台湾問題(7)不動産暴落と企業倒産の内実
不動産暴落、大企業倒産危機…中国経済の苦境の実態とは?
垂秀夫
経験学習を促すリーダーシップ(1)経験学習の基本
成長を促す「3つの経験」とは?経験学習の基本を学ぶ
松尾睦
いま夏目漱石の前期三部作を読む(1)夏目漱石を読み直す意味
メンタルが苦しくなったら?…今、夏目漱石を読み直す意味
與那覇潤
ショパンの音楽とポーランド(1)ショパンの生涯
ショパン…ピアノのことを知り尽くした作曲家の波乱の人生
江崎昌子