歴史から見た中国と世界の関係
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日清戦争後の三国干渉以来、日本に難しい選択を迫る米中対立
歴史から見た中国と世界の関係(9)米中対立の行方~3つのシナリオ~
中西輝政(京都大学名誉教授/歴史学者/国際政治学者)
今後の米中対立は3つのシナリオが考えられる。1つ目はアメリカの勝利。2つ目は中国が世界大国になる。3つ目は米中とも疲弊して、多極世界が生まれる。日本にとってどれが望ましいかを考え、優先順位や戦略目標を決めることが重要。このとき何より優先すべきは、唯一の同盟国であり、自由主義や民主主義など価値観をともにするアメリカとの関係。その上で中国が法の支配を尊重する外交路線に戻るよう働きかける。(全10話中第9話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:10分04秒
収録日:2020年8月21日
追加日:2020年10月26日
≪全文≫

●米中対立における短期的に考えられる3つのシナリオ


―― これは一種の思考実験といいますか、歴史を振り返っていえば経綸問答になるかもしれませんが、中国としてはこの状況を打破するために、どのように動く可能性があるでしょう。

中西 まず短期的には3つぐらいのシナリオが考えられると思います。端的に申し上げましょうか。

 シナリオその1は、アメリカが習近平政権の中国を叩き潰して勝利し、「パックス・アメリカーナ パート3」を再確立する。冷戦終焉でソ連を倒し、今度は習近平中国を倒した。だから「パックス・アメリカーナは永遠なり」というものです。このシナリオがまず考えられます。

 2つ目のシナリオは、「いやいや、そうではない。中国は徐々に対米戦略を有利に運び、アメリカの圧力を押し返して、中長期的に中国が世界大国になる可能性を維持しようとする。アメリカはどこかで息切れしてしまう」というものです。

 3つ目は、米中いずれも激しく対立し合い、お互い疲弊して世界がしばらくカオス的な状態になり、そこから徐々に多極化が進むというものです。米中いずれが覇権国になるわけでもない、多極世界が生まれていく。ロシアにとって一番望ましいのは、これでしょう。

 この3つのシナリオは、日本の選択肢を考えるにも非常に大事で、長期的に考えると第1のシナリオは、あると思います。アメリカが中国を叩き潰し、共産党体制が崩壊するとなると、この場合、その後の中国国内が混乱する可能性があります。ですからアジアの一員としては、これが望ましいシナリオとは思えません。20世紀前半の動乱のアジアになってしまいます。

 しかし、2つ目のアメリカの攻勢を中国が跳ね返し、いっそう強大化して世界大国になる道を進むのは、日本としてはそれこそ日本のサバイビング・スペース(生存スペース)がなくなるのではないか。全体主義中国が、こういう道をたどることは好ましいとは言えません。

 3つ目のシナリオですが、米中が対立を激化させて、米ソ冷戦でいえばデタント状態をいくつか迎え、両方とも疲弊して世界がカオス化するのも、やはり困ったことです。

 今3つのシナリオを中心に考えましたが、米中以外の国々、例えばヨーロッパもイギリスも、あるいはインド、豪州、ASEAN諸国、そしてロシア、日本も含めて、このようなシナリオをそれぞれにらみながら、どんな選択肢がある...

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