古関裕而・日本人を応援し続けた大作曲家
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
「オリンピック・マーチ」――最大の古関作品に込めた思い
古関裕而・日本人を応援し続けた大作曲家(8)後世へのメッセージ
芸術と文化
刑部芳則(日本大学商学部准教授)
一番の大作である1964(昭和39)年東京五輪の「オリンピック・マーチ」を生んだ古関裕而は、その後も1989(平成元)年8月に亡くなるまで、数多くの楽曲を作り続けた。そんな古関が母校を訪れた時に贈ったのは、「皆さんは若い、希望がいっぱいある」「本気になって考えて、なりたい、なりたいと希望しつづけることが大切です」というメッセージだった。(全8話中第8話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:13分04秒
収録日:2020年8月18日
追加日:2020年11月17日
≪全文≫

●一番の大作は頼まれた時に大変喜んだという「オリンピック・マーチ」


―― 古関さんの曲の集大成というか代表作といえば、1964(昭和39)年の東京オリンピックの開会式に使われた「オリンピック・マーチ」です。非常に有名で、人気のある曲ですが、古関さん自身はどのような曲として捉えていらっしゃったのでしょうか。

刑部 古関さんにとっても一番の大作といっていいと思います。普段、古関さんはどんな曲を頼まれたかについて、ご家族にあまりお話しにならなかったみたいなのです。ところが、この曲に関しては「オリンピック・マーチ」の作曲を頼まれたと、ものすごく喜んで帰ってきたそうなのです。うれしかったのだと思いますね。

 古関さんはそれまで数多くの校歌、社歌などを作る際、可能な限り現地に行って、景色を見て、メロディをイメージしていますよね。ですから、この歌を作る時には、日本国中を回って見た景色が自分の頭の中に出てきたみたいなのです。オリンピックは日本全国民を挙げての世紀の祭典ですから、古関さんとしては今まで頼まれた各地のものを1つの集合体と考え、自然と景色のイメージが湧いて出てきたのだと思います。

―― なるほど。先ほど、古関さんが楽器を使わないで作曲されるというお話がありましたけれど、「オリンピック・マーチ」はかなり複雑で、聴いていてもいろいろな要素が混ざってくる曲ですので、さすがにピアノなどで作曲したのでしょうか。

刑部 いや。古関さんは楽器を使って作曲するということはありませんでした。

―― この曲も、ですか。

刑部 はい。これはご自身でも言っていますが、構想する時間、考えている時間が非常に長かったそうです。つまり、いろいろなパートの楽曲をどう組み合わせていくかを考えていたのですが、メロディ自体は自然と自分のイメージとして湧き出てきたので、楽器を使って五線譜にとるということはしていません。

―― これだけ吹奏楽のフルバンドの曲も自分の頭の中で作ってしまうということですね。

刑部 そうなのです。古関さんの書斎は、今も古関裕而記念館に残されていて、それを見ると分かるのですが、机が1つありまして、古関さんが真ん中に座って、お弟子さんが対面に4人くらい座ります。大変忙しいときは、例えば菊田一夫さんとのミュージカルの楽譜だとか、あるい...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「芸術と文化」でまず見るべき講義シリーズ
ルネサンス美術の見方(1)ルネサンス美術とは何か
ルネサンスはどうやって始まった?…美術の時代背景
池上英洋
岡倉天心『茶の本』と日本文化(1)岡倉天心の生涯
岡倉天心の『茶の本』…世界に向けた日本伝統文化の発信
大久保喬樹
なぜ働いていると本が読めなくなるのか問答(1)読書と教養からみた日本の近現代史
『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』で追う近現代史
三宅香帆
ショパンの音楽とポーランド(1)ショパンの生涯
ショパン…ピアノのことを知り尽くした作曲家の波乱の人生
江崎昌子
深掘りシェイクスピア~謎の生涯と名作秘話(1)シェイクスピアの謎
シェイクスピアの謎…なぜ田舎者の青年が世界的劇作家に?
河合祥一郎
数学と音楽の不思議な関係(1)だれもがみんな数学者で音楽家
世界は音楽と数学であふれている…歴史が物語る密接な関係
中島さち子

人気の講義ランキングTOP10
「集権と分権」から考える日本の核心(5)島国という地理的条件と高い森林率
各々の地でそれぞれ勝手に…森林率が高い島国・日本の特徴
片山杜秀
外交とは何か~不戦不敗の要諦を問う(2)外交と軍事のバランス
外政家・原敬とは違う…職業外交官・幣原喜重郎の評価は?
小原雅博
ヒトは共同保育~生物学から考える子育て(3)共同保育を現代社会に取り戻す
狩猟採集生活の知恵を生かせ!共同保育実現に向けた動き
長谷川眞理子
数学と音楽の不思議な関係(3)音と三角関数とフーリエ級数
フーリエ解析、三角関数…数学を使えば音の原材料が分かる
中島さち子
トランプ・ドクトリンと米国第一主義外交(1)リヤド演説とトランプ・ドクトリン
トランプ・ドクトリンの衝撃――民主主義からの大転換へ
東秀敏
経験学習を促すリーダーシップ(1)経験学習の基本
成長を促す「3つの経験」とは?経験学習の基本を学ぶ
松尾睦
50代からの親の介護~その課題と準備(1)突然やってくる介護の問題
「親の介護」の問題…優しさだけでは続かない
太田差惠子
大統領に告ぐ…硫黄島からの手紙の真実(1)ルーズベルトに与ふる書
奇跡の史実…硫黄島の戦いと「ルーズベルトに与ふる書」
門田隆将
『還暦からの底力』に学ぶ人生100年時代の生き方(1)定年制は要らない
日本の定年制はおかしい…ガラパゴス的で不幸を招く制度
出口治明
「アカデメイア」から考える学びの意義(3)受け継がれる学園の理念
アカデメイアからアカデミーへ…自由なる学びの府の原型
納富信留