ブランド戦略論を考える
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
包装革命がわれわれの消費活動の原点をつくり上げた
ブランド戦略論を考える(5)イノベーションと起源の忘却
田中洋(中央大学名誉教授)
ブランドの根本には構想とイノベーションが存在する。しかし、中央大学大学院戦略経営研究科教授の田中洋氏は、イノベーションだけではブランドにはならず、そこには当初のイノベーションが忘れられるという「起源の忘却」プロセスが介在していると主張する。起源の忘却とは何なのか?(2018年1月27日開催中央大学ビジネススクール/ビジネス戦略論最終日講義「『ブランド戦略論』をどう読むか」より、全7話中第5話)
時間:12分08秒
収録日:2018年1月27日
追加日:2018年8月8日
≪全文≫

●イノベーションが起きると、生活のパターン、優先度が変わる


 ブランドの根本にあるのは、構想だけではありません。もう一つの源は「イノベーション」です。イノベーションとは日本語でいうと「革新」ですが、イノベーションの定義も多様です。ものすごく単純にいうと、新しくて良いことがイノベーションですが、それだけでは十分ではありません。

 私の考えでは、イノベーションが起きると、われわれの生活のパターンが変わります。さらに、何らかの生活の優先度も変わるでしょう。

 例えば、iPhoneのようなスマートフォンのことを考えてみてください。今では、多くの人にとってスマートフォンは生活の中で非常に大事な道具になっています。例えば、通勤の途中で駅の長いエスカレーターに乗っているとき、どんな短時間でもスマートフォンで調べ物をしたり、ゲームをしたり、SNSを見たりします。

 グーグルにいわせると、スマートフォンによって人びとはこうしたマイクロな行動を取るようになります。これはスマートフォンによってもたらされた、新しい生活のパターンです。また、生活の中でiPhone等のスマートフォンをより優先して考えるようになっています。こうしたスマートフォンは、まさにイノベーションの一例でしょう。


●包装革命がわれわれの消費活動の原点をつくり上げた


 少し歴史をさかのぼって考えてみると、イノベーションは必ずしもすごく昔からあったわけではなく、非常に近代的な現象です。近代的なきっかけの一つは、今から百数十年ぐらい前に起きた「包装革命」でした。

 包装革命とは、商品をパッケージ化して発売することが普及したということです。なぜこれが革命と呼ばれるのでしょうか。19世紀から20世紀の初めにかけて、例えば缶詰に代表されますが、物を包むだけではなく、物を保存し、それを遠くまで運び、あるいは遠くの人がそれを買うということが可能になります。

 それまでは地産地消の時代で、物は生産された地方でしか消費されませんでした。ところが、近代になって、作ったものを缶詰にして、遠くの街に運べるようになったのです。商品が全国に発送されるようになれば、今度は全国に向けて商品を広告しようということになります。当時、すでに新聞などのメディアが発達していましたから、例えば新聞広告というものもできてくるわけです。そうなれば、当然、ブランドの...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「経営ビジネス」でまず見るべき講義シリーズ
本質から考えるコンプライアンスと内部統制(1)「法令遵守」でリスクは管理できない
「コンプライアンス=法令遵守」ではない…実例が示す本質
國廣正
「重要思考」で考え、伝え、聴き、議論する(1)「重要思考」のエッセンス
重要思考とは?「一瞬で大切なことを伝える技術」を学ぶ
三谷宏治
野獣の経営、家畜の経営(1)経営センスが育つ土壌
ファーストリテイリングで経営者が育つ理由
楠木建
億万長者への道(1)お米屋さんから不動産業界へ
「背広を着てビジネスがしたい」との思いから宅建取得
高橋誠一
認知バイアス~その仕組みと可能性(1)認知バイアス入門
誰もが陥る「認知バイアス」…その例とメカニズム
鈴木宏昭
ハラスメント防止に向けた風土づくり(1)ハラスメントの概要
増え続けるハラスメント…その背景としての職場の特徴
青島未佳

人気の講義ランキングTOP10
逆境に対峙する哲学(2)運命・世界・他者
「私をお母さんと呼ばないで」…突然訪れた逆境の意味
津崎良典
戦争とディール~米露外交とロシア・ウクライナ戦争の行方
「武器商人」となったアメリカ…ディール至上主義は失敗!?
東秀敏
渡部昇一の「わが体験的キリスト教論」(1)古き良きキリスト教社会
古き良きヨーロッパのキリスト教社会が克明にわかる名著
渡部玄一
豊臣兄弟~秀吉と秀長の実像に迫る(1)史実としての豊臣兄弟と秀長の役割
豊臣兄弟の謎…明らかになった秀吉政権での秀長の役割
黒田基樹
平和の追求~哲学者たちの構想(4)ルソーが考える平和と自由
ルソーの「コスモポリタニズム批判」…分権的連邦国家構想
川出良枝
熟睡できる環境・習慣とは(4)起きているときを充実させるために
夜まとめて寝なくてもいい!?「分割睡眠」という方法とは
西野精治
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
「重要思考」で考え、伝え、聴き、議論する(1)「重要思考」のエッセンス
重要思考とは?「一瞬で大切なことを伝える技術」を学ぶ
三谷宏治
「アメリカの教会」でわかる米国の本質(1)アメリカはそもそも分断社会
「キリスト教は知らない」ではアメリカ市民はつとまらない
橋爪大三郎
死と宗教~教養としての「死の講義」(1)「自分が死ぬ」ということ
世界の宗教は死をどう考えるか…科学では死はわからない
橋爪大三郎