●ブランドの構想が生まれるかどうかが重要だ
『ブランド戦略論』(有斐閣、2017年)の中では、ブランド戦略の構造についても説明しました。ブランド戦略は氷山のようなものです。
ブランドとしてわれわれに見えているのは、シンボルやマーク、キャラクターです。これは企業のコミュニケーションの力によって、見えているものです。しかし、氷山の90パーセントが水中に隠れているように、ブランドも見えない部分で経営やマーケティングの力に支えられています。見えている部分も大事ですが、それを見えないところで支えている経営やマーケティングも重要です。
私の本の中では、経営からコミュニケーションまでを順番に解き起こしていき、プログラムのようにブランドを構築するプロセスを提示しました。今回はその最も根本的なところをお話しましょう。それを私はブランドの構想と呼んでいます。重要なことは、何らかの直感によって、ブランドの構想が生まれるかどうかです。
●ウォルト・ディズニーは当初から壮大な構想を描いていた
上の図はディズニーレシピというものです。これは、ディズニーランドで有名なウォルト・ディズニーが1957年に考えた、一番最初の事業の構想です。中心にあるのは、映画です。
映画を中心に、ハブになる部分が複数あります。ディズニーランドやテレビがそうです。1957年当時から、彼はテレビを非常に重視していたことが分かります。さらに、マーチャンダイジング、つまり人形などのグッズです。ミュージックや出版、漫画もあります。ディズニーの構想は、このようにネットワーク上に広がっています。
ウォルト・ディズニーが一番最初にディズニーランドやミッキーマウスを思い付いた時、すでにこうした構想が頭の中に描かれていました。彼は最初にカリフォルニアにディズニーランドを作り、のちにフロリダにディズニーワールドを作ります。ディズニーワールドの完成前に亡くなっていますが、彼の構想はやはり非常に壮大です。
●偉大なブランドができるときには、根本に構想がある
ここで注目したいのは、偉大なブランドができるときには、その根本に何か構想があるということです。いくつか他の例を挙げましょう。例えば、レッドブルはエナジードリンクとして有名...