ブランド戦略論をどう読むか
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ゼロックスがブランド化に失敗した理由
ブランド戦略論をどう読むか(4)ブランドを測る物差し
田中洋(中央大学名誉教授)
なぜブランドの構想もイノベーションもあるのに、ブランド化に失敗するのだろうか。ブランディングという作業は存在しないと主張する中央大学ビジネススクール大学院戦略経営研究科教授の田中洋氏。今回からジャーナリストでifs未来研究所所長の川島蓉子氏との対談に突入するが、まずブランド力はどのように測るべきかについて議論する。(全7話中第4話)
時間:12分19秒
収録日:2018年1月15日
追加日:2018年4月6日
≪全文≫

●構想もイノベーションもあるのに、ブランドに至らない


川島 打ち合わせで伺った時に私が最も感動したのは「起源の忘却」という言葉でした。今日改めて、その解釈を聞いているうちに素朴な疑問が一つ出てきたので、その点からお聞きしたいと思います。

 起源を忘却するということは、マクドナルドの事例でとてもよく理解できました。『ファウンダー ハンバーガー帝国のヒミツ』という映画を私も見たことがあったので、なるほどと感じた次第です。しかし一方で、先生は構想が大事だということもおっしゃっており、そちらにも納得がいきました。構想を作った人は創業者か創業者に近い場合が多く、ものすごく力強い発想を持って、何かを作り出します。

 したがって、創業者の時代に、こうした氷山の図形ができるというのは分かるのですが、創業者から次の世代にバトンタッチすると、この氷山が崩れることも多いように思います。構想の継承について、先生はどうお考えでしょうか。実際、どの企業も実はこの問題で非常に苦しんでいます。今日の会場になっているCCCやソフトバンクなども、創業者の次の方はどんな方針を取るのかが問題でしょうし、過去にはイトーヨーカドーの事例もありました。

田中 確かに構想は大事なのですが、もちろん構想があればいいというものでもありません。イノベーションの問題は脇に置いてお話しします。構想といっても様々な種類がありますから、今回はその中でも非常に興味深いものだけを挙げました。構想もイノベーションもあるのに、ブランドに至らない例はいくらでもあります。


●ブランドには経営やマーケティングの力が不可欠だ


川島 それはなぜですか。

田中 マーケティングや経営のどこかに問題があったからだと考えられます。コミュニケーションとマーケティング、経営の3つがきちんと機能しないと、ブランド化しないのです。多くの経営学の本に取り上げられている有名な例を挙げると、ゼロックスという会社があります。

 ゼロックスは1970年代に、カリフォルニアのパロアルトに研究所を創設しました。私は行ったことはないのですが、その研究所は非常に優れた研究所でした。今われわれが使っているコンピューターや、インターネットのシステムのかなりの部分が、そこで発明されたのです。典型的には、パソコンの操作をす...

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