イノベーションの本質を考える
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
イノベーティブな人に共通する特徴とは?
イノベーションの本質を考える(8)質疑応答
楠木建(一橋大学大学院 経営管理研究科 国際企業戦略専攻 特任教授)
イノベーションを起こす人の特徴にはどのようなものがあるか。また、アートとイノベーションについて、農業におけるイノベーションについてなど、講演後に上がったいくつかの質問に対して、仮説などを提示しながら応えていく。(2018年9月7日開催日本ビジネス協会JBCインタラクティブセミナー講演「イノベーションの本質」より、全8話中第8話)
時間:8分14秒
収録日:2018年9月7日
追加日:2018年11月30日
≪全文≫

●イノベーティブな個人に共通する特徴とは?


質問 イノベーションを起こせるような発想力を持つ人は、どんな特徴を持っているのでしょうか。

楠木 もしかすると、そうしたイノベーションを起こすような、個人的なトレイト(特徴)に関する研究があるのかもしれません。僕は知らないのですが、見たり聞いたりしていくうちに、共通の特徴があるとはいえます。まず、イノベーションの定義からして、業界アウトサイダーであることが大きいと思います。もちろんケースバイケースではありますが、その業界のことをよく知っており、どっぷり浸かっていると、その業界で何が良いとされているのか、という既存の価値次元から逃れるのは難しいのです。そのため、往々にしてアウトサイダーからイノベーションが生まれることがあります。

 後は、リソースがない人たちです。リソースがあると、今ある進歩競争に取り組みたくなってしまいます。そのため、むしろリソースに限られている人や、リソースが限られた場所から、イノベーションが出てくるという面があるのだと思います。ケースバイケースではあるのですが。

 さらに、先ほど話した通り、組織ではなく個人として内的な動因を持っているということも重要です。自分がとても欲しいものに対しては、やはり強くドライブがかかります。例えば、電話を発明したグラハム・ベルは、母親が聴力障害を抱えていたそうです。良く聴こえるバーバルコミュニケーションという路線で進めていた結果としての発明が、電話だったらしいのです。

 ということで、個人的に「ぜひそうしたものがほしい」というドライブというものがあるのではと思います。


●企業経営に対してアートが持つイノベーティブな意義とは?


質問 お金を稼ぐところから離れて考えるとすれば、アートは重要だと思いますが、アートから経営に示唆を得るとしたら、どのようなものが考えられますか。

楠木 具体的には分かりませんが、今日の話とすごく近い話でいえば、アートの本質とは内発性であるということです。つまり、お金が手に入りそうだというインセンティブがないところから出てくるものをアートと呼ぶのです。誰も頼んでいないのに出てきてしまうのがアートなので、そのアート的な方向は、技術進歩よりもイノベーションに近いと思います。

 だから企業経営でいうと、企業経営自体のイノベーション...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「経営ビジネス」でまず見るべき講義シリーズ
オリエント 東西の戦略史と現代経営論に学ぶ(1)ビジネスのヒントは歴史にあり
『失敗の本質』、中国古典…ビジネスのヒントを歴史に学ぶ
三谷宏治
東洋の叡智に学ぶ経営の真髄(1)経営とは何かをひと言で?
経営をひと言で?…松下幸之助曰く「2つじゃいけないか」
田口佳史
マザーテレサとの出会い
人生を変えたマザーテレサの言葉…あの人たちはキリストだ
上甲晃
ハラスメント防止に向けた風土づくり(1)ハラスメントの概要
増え続けるハラスメント…その背景としての職場の特徴
青島未佳
認知バイアス~その仕組みと可能性(1)認知バイアス入門
誰もが陥る「認知バイアス」…その例とメカニズム
鈴木宏昭
「重要思考」で考え、伝え、聴き、議論する(1)「重要思考」のエッセンス
重要思考とは?「一瞬で大切なことを伝える技術」を学ぶ
三谷宏治

人気の講義ランキングTOP10
習近平―その政治の「核心」とは何か?(1)習近平政権の特徴
習近平への権力集中…習近平思想と中国の夢と強国強軍
小原雅博
熟睡できる環境・習慣とは(1)熟睡のための条件と認知行動療法
熟睡のために――認知行動療法とポジティブ・ルーティーン
西野精治
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(4)全てをつなぐ密教の世界観
密教の世界観は全宇宙を分割せずに「つないでいく」
鎌田東二
歴史の探り方、活かし方(4)史実・史料分析:秀吉と秀次編〈上〉
史料読解法…豊臣秀吉による秀次粛清の本当の理由とは?
中村彰彦
習近平中国の真実…米中関係・台湾問題(7)不動産暴落と企業倒産の内実
不動産暴落、大企業倒産危機…中国経済の苦境の実態とは?
垂秀夫
内側から見たアメリカと日本(1)ラストベルトをつくったのは誰か
日本でも中国でもない…ラストベルトをつくった張本人は?
島田晴雄
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
経験学習を促すリーダーシップ(1)経験学習の基本
成長を促す「3つの経験」とは?経験学習の基本を学ぶ
松尾睦
人生100年時代の「ライフシフト概論」(3)キャリアの危機〈下〉
40代前半に訪れる「中年の危機」、鍵は「人生の成長戦略」
徳岡晃一郎
戦争と暗殺~米国内戦の予兆と構造転換(1)内戦と組織動乱の構造
カーク暗殺事件、戦争省、ユダヤ問題…米国内戦構造が逆転
東秀敏