イノベーションの本質を考える
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イノベーションの本質を考える(7)人間の本性
経営ビジネス
楠木建(一橋大学大学院 経営管理研究科 国際企業戦略専攻 特任教授)
シリーズレクチャーの総括として、イノベーションを起こす際に、何をやるべきでは「ない」かについて論じる。ポイントは、イノベーションとは組織的に生み出すことができないということである。(2018年9月7日開催日本ビジネス協会JBCインタラクティブセミナー講演「イノベーションの本質」より、全8話中第7話)
時間:8分25秒
収録日:2018年9月7日
追加日:2018年11月30日
≪全文≫

●イノベーションは命令してできるものではない


 すでに申し上げたように、非連続的なイノベーションに成功すると何が良いかというと、敵が頑張れないのです。松下のウォークマンの方が薄くて軽くて音が良いらしいのですが、皆はソニーの商品を買います。問題は、自分で努力できないということなのです。「もっと薄くするように」ということなら、指示はできるし、ターゲットの設定もできます。しかし、「そうしたアイデアを思いつくように」と命令しても、なかなかできません。これは全く違う活動だからです。

 それゆえ、話は必ず「では、どうしたらよいのか?」という方向に行きます。しかし、イノベーションは滅多にないことなので、そう簡単にはいきません。「どうやったらイノベーションを起こせるのか?」という問いは、もはや愚問なのです。


●イノベーションで大切なのは「頑張るな」ということ


 しかし、今回お話ししてきたことから、どうすれば良いかは分からないにせよ、こういうことはやらない方が良いということは幾つか考えることができます。

 そのうち最大のものは、イノベーションで大切なのは「頑張るな」ということだと思います。「イノベーションで頑張るぞ」と言う発想が、間違いの始まりです。僕が嫌だなと思ったのは、「今月中に1人当たりイノベーション案件5個出せ」というような命令です。こうした動きが出た時点で、もうその瞬間にイノベーションはあり得ず、それは進歩にすり替わっていると思います。

 つまり、イノベーションはいつかどこかで誰かが思いついているものなのです。しかしその最初の部分は、組織的になされるものではありません。一方、技術的な進歩であれば、例えばトヨタのように、総力を結集してハイブリッドエンジンの燃費を良くすることができるでしょう。

 ですから、「イノベーション推進本部」というものも、センスがないと思っています。本部で推進するものではないという話なのです。何かできるとしても、何かイノベーティブなものを思いついた人が、通常のレポーティングラインとは別に、そのアイデアを持って飛び込んでいくことができる、窓口のようなものをつくることでしょう。


●インセンティブではイノベーションはできない


 もう1ついうと、インセンティブではイノベーションはできないとい...

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