イノベーションの本質を考える
この講義シリーズは第2話まで
登録不要で無料視聴できます!
第1話へ
▶ この講義を再生
この講義の続きはもちろん、
6,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
イノベーションを妨げる「可視性の罠」
イノベーションの本質を考える(6)可視性の罠
楠木建(一橋大学大学院 経営管理研究科 国際企業戦略専攻 特任教授)
イノベーションを望みつつ、そこから逸脱してしまう傾向が、「可視性の罠」によって引き起こされているという。「可視性の罠」とは、今見えている価値の次元でものを考えることから起こる現象のことを指すが、なぜそうなってしまうのか。(2018年9月7日開催日本ビジネス協会JBCインタラクティブセミナー講演「イノベーションの本質」より、全8話中第6話)
時間:8分34秒
収録日:2018年9月7日
追加日:2018年11月30日
≪全文≫

●AppleにおけるイノベーションのピークはiPodだった


 イノベーションというと、昔から必ずAppleの名が挙げられてきました。確かに、その通りです。

 しかし、Appleでもイノベーションのピークは、カテゴリーイノベーションを起こしたiPodであったと思います。もちろんiPadやiPhoneもイノベーションです。そしてこれらが商売としては一番大きいのですが、イノベーションの強度としては、むしろiPodやiPod touchの方が強大であったと思います。

 あの時のUI(ユーザーインターフェイス)の変革に比べれば、iPod やiPod touchはやや小粒です。最近のiPhone5,6,7,Xになってくると、これらはもう、完全に「進歩」なのです。5色から選べます、指紋認証が正確です、こんなに薄くなりました、という同じ価値尺度のもとでの進歩です。ですから、今のAppleは完全に進歩の商売に突入しているのです。

 最近、特にiPhone7以降ですが、Appleはついにイノベーションという言葉を使わなくなり、代わりに「エボリューション」という言葉を使い始めています。「evolution in every dimension」という表現を使いますが、これは確信犯的な進歩主義です。今のAppleは、こうした考え方に立っているのです。

 ですから、新しい商品も出てきますが、これらは専門用語で「おしゃれな進歩」と呼びます。Apple Watch等がそうですが、昔のように新しいカテゴリーをつくるつもりはあまりないのでしょう。Apple Watch等は、ただ、いろいろな新しい機能が付加されたwatchなのです。

 イノベーションとしての非連続は、定義からして連続しませんので、そんなにたくさん出てくるものではありません。Appleは今、先述した進歩路線の方針を立てていると思うので、それはそれで良いでしょう。


●イノベーションの失敗は「可視性の罠」からくる


 冒頭の話に戻りますと、口では「イノベーション」と言いながら、今そこに見える価値の次元上の進歩にリソースを振ってしまっている会社が多く見られます。その結果、イノベーションからむしろ離れてしまっているのです。これを、今見える価値の次元の上に立っているが故にイノベーションができないという意味で、「可視性の罠」と呼んでいるのですが、これが起きる理由はさまざまなものがあると思います。

 まず挙げられるのは、競争そのものです...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「経営ビジネス」でまず見るべき講義シリーズ
野獣の経営、家畜の経営(1)経営センスが育つ土壌
ファーストリテイリングで経営者が育つ理由
楠木建
組織改革の要諦~活性化と人材活用(1)準備、スピード、タイミング
組織改革は最初に全体像と将来像を示すのが重要
秋池玲子
「ものがたり」のあるコンプライアンス(1)その本質とは
なぜ企業はコンプライアンスの本質から外れてしまうのか?
國廣正
生成AI「Round 2」への向き合い方(1)生成AI導入の現在地
生成AIの利活用に格差…世界の導入事情と日本の現状
渡辺宣彦
「発想力」の技法を学ぶ(1)発見と探究(前編)
“なぜ”を繰り返せ!『発想力の全技法』に学ぶ原因探究法
三谷宏治
本質から考えるコンプライアンスと内部統制(1)「法令遵守」でリスクは管理できない
「コンプライアンス=法令遵守」ではない…実例が示す本質
國廣正

人気の講義ランキングTOP10
本番に向けた「心と身体の整え方」(1)ディテールにこだわる
トップアスリートが実践する「自分の高め方」とは…まず集中のスイッチを入れる方法は?
為末大
「満洲」から考える日本とアジア(9)アヘンの実態と満洲開発
満洲国の開発とアヘン問題…アヘンが資金源となったのは事実だが「同時代の世界」と比較せねば真実はつかめない
宮脇淳子
編集部ラジオ2026(35)鶴見太郎先生の公開収録を振り返る
【10min紹介】鶴見太郎先生の公開収録を振り返る・・・お寄せいただいた声
テンミニッツ・アカデミー編集部
高齢者のフレイル・認知症とその予防対策(4)認知症と共生社会の実現に向けた対策
その物忘れ、認知症かも…加齢による物忘れとの違いと一番大事なこと
小川純人
『オデュッセイア』で読み解く神話の秘密(1)物語の構造を読み解くおもしろさ
『オデュッセイア』の面白さの秘密を神話の構造から読み解く…なぜ波乱万丈の神話が人間の創作の源泉になったか
松村一男
教養としての「ユダヤ人の歴史とユダヤ教」(2)厳格な一神教と選民思想
一神教とは、選民思想の真相とは…ユダヤ教の「最終目的」を考える
鶴見太郎
小澤開作と満洲事変・日中戦争(1)少年時代の苦労と五族協和の夢
満洲で「五族協和」に命を懸けた小澤征爾の父・小澤開作
小澤俊夫
国家の利益~国益の理論と歴史(2)ペロポネソス戦争の教訓
国益の歴史…ペロポネソス戦争の教訓とトゥキディデスの罠
小原雅博
50代からの親の介護~その課題と準備(2)マネジメントとしての介護
介護を「プロジェクト」と捉え、マネジャーに徹すべし
太田差惠子
プラトン『ソクラテスの弁明』を読む(1)真実の創作
プラトンの『ソクラテスの弁明』は謎多き作品
納富信留