ブランド戦略論をどう読むか
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
シャネルが人気ブランドとして成功した理由
ブランド戦略論をどう読むか(5)シャネルのブランド力
田中洋(中央大学名誉教授)
シャネルのブランドは、なぜあれだけ強いのか。ココ・シャネルの虚実入り交じる伝説を紐解きながら、シャネルがいかにしてブランドとして大成していったのかについて、中央大学ビジネススクール大学院戦略経営研究科教授の田中洋氏とジャーナリストでifs未来研究所所長の川島蓉子氏が対談する。(全7話中第5話)
時間:14分27秒
収録日:2018年1月15日
追加日:2018年4月7日
≪全文≫

●ココ・シャネルは非常にセルフブランディングに長けていた


川島 私は30数年間、ファッション業界と近いところで働いていました。たまたまですが、エルメス関連の取材をしたり、昔からシャネルが好きだったこともあり、そうしたことから、ファッション業界はブランドが大きな力を持つ産業ではないかと考えています。実際、ファッションとブランドはかなり密接な結び付きを持っています。

 また、浮沈も激しいという特徴があります。特に気になっているのは、最近のコングロマリット化の中で、大きくもうけるためにブランドを使うという構図が色濃く表れてきているということです。ブランドを客観的にこれほど深く掘り下げている田中先生は、ファッション業界をどのようにご覧になっていますか。

田中 確かにファッションの業界では、ブランドが重視されています。しかし私が見る限り、ブランドについてはファッションの業界からさほど多くのことが学べるわけではありません。もちろん、シャネルで働いていた人に取材をしたこともありますし、ルイ・ヴィトンらの本も読んだことはありますが、ブランドに関して得られるものがほとんどないのです。

川島 面白いブランドは一つもありませんでしたか。

田中 いえ、私がほとんど唯一知識を持っているというか、関心があるのがシャネルというブランドの在り方です。釈迦に説法ですが、ココ・シャネル(本名はガブリエル・ボヌール・シャネル)というデザイナーが始まりです。シャネルは1883年に生まれ、1971年に87歳で亡くなりました。長生きした方だといえるでしょう。

 シャネルがブランドになった一つの理由は、彼女が非常にセルフブランディングに長けていたということです。これは私の解釈です。例えば1920年代、映画『巴里のアメリカ人』に描かれた時代ですが、当時シャネルはピカソやジャン・コクトー、ストラヴィンスキーといったパリの知識人らと付き合っていました。いろんな演劇の背景などを作ったりするということもあったようです。こうした交際関係が当時のジャーナリズムに取り上げられて、シャネルを有名人、今でいうセレブにしたのです。


●シャネルはとりたてて際立った存在ではなかった


田中 もう一つの理由は、少し誇張して言うと、シャネルが競争相手を蹴落としたということです。確かにココ・シャネルは、女性の19世紀的なファッションの在...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「経営ビジネス」でまず見るべき講義シリーズ
億万長者への道(1)お米屋さんから不動産業界へ
「背広を着てビジネスがしたい」との思いから宅建取得
高橋誠一
メンタルヘルスの現在地とこれから(1)「心を病む」とはどういうことか
なぜ「心の病」が増えている?メンタルヘルスの実態に迫る
斎藤環
運と歴史~人は運で決まるか(1)ソクラテスが見舞われた「運」
歴史における「運」とは?ソクラテスの「運」から考える
山内昌之
オリエント 東西の戦略史と現代経営論に学ぶ(1)ビジネスのヒントは歴史にあり
『失敗の本質』、中国古典…ビジネスのヒントを歴史に学ぶ
三谷宏治
バブル世代の現実とこれからの生き方
バブル世代は「バブル崩壊世代」、苦労の先に見えるものがある
江上剛
マザーテレサとの出会い
人生を変えたマザーテレサの言葉…あの人たちはキリストだ
上甲晃

人気の講義ランキングTOP10
逆境に対峙する哲学(2)運命・世界・他者
「私をお母さんと呼ばないで」…突然訪れた逆境の意味
津崎良典
渡部昇一の「わが体験的キリスト教論」(1)古き良きキリスト教社会
古き良きヨーロッパのキリスト教社会が克明にわかる名著
渡部玄一
豊臣兄弟~秀吉と秀長の実像に迫る(1)史実としての豊臣兄弟と秀長の役割
豊臣兄弟の謎…明らかになった秀吉政権での秀長の役割
黒田基樹
「アメリカの教会」でわかる米国の本質(1)アメリカはそもそも分断社会
「キリスト教は知らない」ではアメリカ市民はつとまらない
橋爪大三郎
大谷翔平の育て方・育ち方(1)花巻東高校までの歩み
大谷翔平の育ち方…「自分を高めてゆく考え方」の秘密とは
桑原晃弥
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
平和の追求~哲学者たちの構想(4)ルソーが考える平和と自由
ルソーの「コスモポリタニズム批判」…分権的連邦国家構想
川出良枝
「重要思考」で考え、伝え、聴き、議論する(1)「重要思考」のエッセンス
重要思考とは?「一瞬で大切なことを伝える技術」を学ぶ
三谷宏治
宗教で読み解く世界(1)キリスト教の世界
キリスト教とは?…他の一神教との違いは神様と法律の関係
橋爪大三郎
インテリジェンス・ヒストリー入門(1)情報収集と行動
日本の外交には「インテリジェンス」が足りない
中西輝政