ブランド戦略論を考える
この講義は登録不要無料視聴できます!
▶ 無料視聴する
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
ブランドは商品についての「認知システム」だ
ブランド戦略論を考える(2)ブランドの定義
田中洋(中央大学名誉教授)
ブランドが曖昧なのは、専門家の間でもその定義が一致を見ていないからである。中央大学大学院戦略経営研究科教授の田中洋氏は、ブランドを商品についての認知システムとして定義する。ブランドを認識することで、人はその商品についての様々な連想や、典型性・階層性を察知することができるのだ。(2018年1月27日開催中央大学ビジネススクール/ビジネス戦略論最終日講義「『ブランド戦略論』をどう読むか」より、全7話中第2話)
時間:9分43秒
収録日:2018年1月27日
追加日:2018年7月18日
≪全文≫

●ブランドの議論で使える定義とは何か


 ブランドの定義という問題を考えてみましょう。アメリカのマーケティング協会のウェブページによれば、ブランドとは、他とは異なる商品の名前やシンボルです。つまり、他とは区別された名前やシンボルがブランドだというのです。一見、納得する定義ですが、ブランドについて議論しようとする際、これが使える定義なのかどうかが問題です。

 商品の名前がブランドだということは当たり前でしょう。しかし、わが社のブランドを強くするためにはどうするかという議論において、この定義はあまり使えません。ブランドをより良くするためには、より良い名前を選ぼう、より格好の良いシンボルを選ぼうという話にしかならないからです。この定義のままだと、それ以上議論が進まなくなってしまいます。

 確かに昔のマーケティングの教科書を読むと、ブランドとは名前やシンボルなのだから、良い名前やシンボルを選ぶべきだと書かれています。しかしこの定義では、ブランドを強くしたいと思っても、名前やシンボル以上の議論は出てきません。例えば、人々の間でもっと豊かな連想を生み出させるような名前を選ぶとか、知名度を高めるといった、踏み込んだ議論ができないのです。

 また、ブランドとは顧客への約束だという定義もよくなされます。だからこそ、お客さんに対して、しっかりいろんなことを約束しなければならないと、本の中には書かれていたりします。こうした定義自体が悪いわけではないのですが、つまるところ、定義について考えていくとよく分からなくなっていくのです。

 ブランドは約束だという定義が問題なのは、ブランドというものについての、いわばアウトプットを表現したものだということです。ブランドの結果は約束だということを示しているわけです。もちろん、何かを定義する場合には、インプットを定義に入れることもあります。

 いずれにせよ、例えば昔「芸術は爆発だ」と言った人がいましたが、こうした何らかの原因や結果だけを捉えて、それを定義とするのはあまり好ましくありません。というのも、そのものが何かという性質を、こうした定義ではうまく捉えられないからです。

 ブランドの語源は焼きごてだという理解の仕方も、それ以上議論が先に進みません。ブランドというのは、物の所有や区分を表す言葉なのだということに尽きてしまいます。

...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「経営ビジネス」でまず見るべき講義シリーズ
会社人生「50代の壁」(1)“9の坂”とまさかの坂
サラリーマン人生「50代の壁」を乗り越える生き方
江上剛
ストーリーとしての競争戦略(1)当たり前の重要さ
柳井正氏の年度方針「儲ける」は商売の本筋
楠木建
人生100年時代の「ライフシフト概論」(1)人生100年時代のインパクト
80歳まで現役でいるために大切なこと…人生100年時代の発想法
徳岡晃一郎
ハラスメント防止に向けた風土づくり(1)ハラスメントの概要
増え続けるハラスメント…その背景としての職場の特徴
青島未佳
認知バイアス~その仕組みと可能性(1)認知バイアス入門
誰もが陥る「認知バイアス」…その例とメカニズム
鈴木宏昭
「重要思考」で考え、伝え、聴き、議論する(1)「重要思考」のエッセンス
重要思考とは?「一瞬で大切なことを伝える技術」を学ぶ
三谷宏治

人気の講義ランキングTOP10
豊臣兄弟~秀吉と秀長の実像に迫る(7)領国経営と秀長の統治能力
想像以上に有能――領民に慕われた秀長のリーダーシップ
黒田基樹
逆境に対峙する哲学(10)遺産を交換する
ナイチンゲールの怒りから学ぶこと…逆境の中で考えるとは
津崎良典
「進化」への誤解…本当は何か?(4)ダーウィンの進化論と自然淘汰の理論
『種の起源』…ダーウィンとウォレスの自然淘汰の理論
長谷川眞理子
「幸福とは何か」を考えてみよう(1)なぜ幸せになりたいのですか
「幸福」について語り合う「哲学カフェ」を再現
津崎良典
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
歌舞伎はスゴイ(2)市川團十郎の何がスゴイか(後編)
歌舞伎十八番を定めた七代目市川團十郎、一番モテた八代目
堀口茉純
新しい循環文明への道(1)採掘文明から循環文明へ
2026年頭所感~循環文明の「三つの柱」…いよいよ実現へ
小宮山宏
大統領に告ぐ…硫黄島からの手紙の真実(1)ルーズベルトに与ふる書
奇跡の史実…硫黄島の戦いと「ルーズベルトに与ふる書」
門田隆将
生き抜くためのチカラ~為末メソッドに迫る(4)人生の勝敗を考える
幸せの鍵「なにげなさ」とは何のことか
為末大
「次世代地熱発電」の可能性~地熱革命が拓く未来
地熱革命が世界を変える――次世代地熱の可能性に迫る
片瀬裕文