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「人民の敵」と形容される主要メディアの報道が分断を加速化

2020年度独立記念日演説と第2次米国革命(2)主要メディアの偏向報道

東秀敏
米国安全保障企画研究員
情報・テキスト
トランプ大統領と米国主流メディアの対立ぶりは有名だ。氏は記者会見よりもツイッター発信を重視し、気に入らないメディアを「人民の敵」呼ばわりしてやまない。彼の「ラシュモア演説」に対して、主流メディアが待っていましたとばかりに偏向報道を行う中、最も公正に伝えたのはどのメディアだろうか。(全7話中第2話)
時間:06:45
収録日:2020/07/29
追加日:2020/10/01
ジャンル:
≪全文≫

●分断を加速しているのはメディアか、トランプ氏か


 ラシュモア山を舞台に選んだ演説の内容はこれから見ていきますが、イベントとして相当物議をかもすようなものでした。

 主要メディアは、当然のように猛烈な反発を繰り広げ、米国主要メディアの大半が、この演説を反トランプ的な内容で描写しました。皮肉にも、その主要メディアの報道が分断を加速化させ、自滅に追い込んでいるというのが、私の見解です。

 主要メディアは、トランプ氏にとっては非常に重要な敵です。氏は以前に、主要メディア(CNN、MSNBCなど)の勢力を「人民の敵」と形容したことがあります。

 実は「人民の敵」ですが、この形容の仕方に関しては第二次世界大戦中のスターリンのソ連にまでさかのぼります。その当時、スターリンはナチスドイツに協力するソ連市民のことを「人民の敵」と言いました。それで一気に国内粛清を加速させていったという歴史があります。

 そうした「人民の敵」という形容を主要メディアに対して行った背景には、スティーブン・バノン氏というレーニン主義者の色濃い影響があります。


●報道の光が当たらないトランプ支持層の起爆


 主要メディアは、今やトランプ支持層にはほとんど信頼されていません。彼らがどこでニュースを拾っているかというと、主にソーシャルメディア、中でもインフルエンサーと呼ばれる人たちからです。例えばトランプ氏もインフルエンサーの一人です。

 また、彼の側近であるロジャー・ストーン氏、国家安全保障(問題担当大統領)補佐官にトランプ政権で最初に指名され、その後辞任したマイケル・フリン氏などもツイッター上のインフルエンサーの一人です。

 2020年7月4日の夜、ボストンやロサンゼルスといった民主党派の都市一帯で、隠れトランプ支持者が一斉に違法花火を打ち上げました。これにより警察機能は一気に麻痺し、トランプ氏に対する支持力が報道されないけれども根強いものであることを見せつけました。

 独立宣言の日のソーシャルメディア上の動きとしては、マイケル・フリン氏はじめトランプ氏の側近の人たちが、聖書を手に取って宣誓を行う動画をユーチューブなどにアップしました。それが瞬く間に拡散し、真似をするトランプ支持者が相次いで出現しました。

 このようにトランプ支持者というのは、報道の光が当てられないところで結構活躍します。報道されているトランプ氏のイメージというのはかなりゆがんだものであって、世論や統計などもかなり信用しがたいというのが、今の事実です。


●左派主要メディアが報道する7月4日のヘッドライン


 では、主要メディアによる報道の例を見ていきたいと思います。

 映像のスライドはCNNの報道記事の例です。

「Trump uses July 4th address to put forward a dangerously misleading claim」

 CNN独自の主観が盛り込まれたタイトルで、記事も同じような内容になっています。

 次が『ニューヨーク・タイムズ』紙。この新聞とトランプ氏はたいへんな犬猿の仲であることが知られています。

「Trump Uses Mount Rushmore Speech to Deliver Divisive Culture War Message」

 この “Divisive”という言葉が「分断」を意味していて、あたかもトランプ氏が分断を煽っているようなタイトルになっています。

 それから『ワシントン・ポスト』紙。ちなみにこの新聞はアマゾンのジェフ・ベゾスに買収され、今ではアマゾン創業者がオーナーとなっています。

「Trump’s idea of the Fourth of July is totally wrong」

 「トランプの独立宣言や独立記念日への理解はまったく的外れである」と断言しています。

 それから、『ポリティコ』。ここはまだ中道寄りのところですが、やはりなかなか偏った報道をしています。

「Trump returns to polarizing themes in Fourth of July address」

 こう書いています。“polarizing”いうのは「二極化を煽る」という意味なのですが、こういう単語を使って報道しています。


●ラシュモア演説を最も公平に報道したのは中東のメディア


 さて、ここまでは、どちらかというと左派のメディアを紹介してきましたが、ここからは右派のメディアに入っていきたいと思います。

 まず『フォックス・ニュース』。これは右派の代表です。

「Trump defends US history, blasts ‘radical left’ in ‘ Salute to America’ celebration」

 ここでは、「トランプ氏はアメリカの歴史を守る」「極左勢力を弾劾する」という表現をしています。

 『ニューヨーク・ポスト』。これもタブロイド紙に近いのですが、右派にはかなり人気があります。これはもうあからさまなトランプ礼賛の感じです。

「Trump praises Founding Fathers...
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