2018年激動の世界と日本
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トランプ大統領とは一体どんな人物なのか?
2018年激動の世界と日本(2)トランプとオバマケア
政治と経済
島田晴雄(慶應義塾大学名誉教授/テンミニッツ・アカデミー副座長)
ドナルド・トランプ大統領就任から1年がたった今、トランプ政権はどこへ向かっていくのか。公立大学法人首都大学東京理事長・島田晴雄氏が、この間のトランプ政権の混乱ぶりを詳細に解説する。トランプ大統領はオバマケアを始め、バラク・オバマ前大統領の政策を全て否定しているが、それは一体なぜなのか。(2018年1月16日開催島田塾会長講演「激動の世界と日本」より、全14話中第2話)
時間:13分25秒
収録日:2018年1月16日
追加日:2018年4月21日
カテゴリー:
≪全文≫

●日本はトランプ氏とも渡り合っていける


 それでは、ドナルド・トランプ政権についてまずは見ていきましょう。トランプ氏は大統領選挙中、「日本は不公正貿易だ」、「中国と日本から仕事を取り戻してやる」、「TPPは離脱する」、「日本はフリーライダーだ」と、こんなことを言っていました。彼の最大の問題は、国際協力というものを経済面でも安全保障面でも理解していないということです。それだけの教養、理解力がありません。

 ただし、大統領の選挙中の発言は公約ですから、もしこれが実行されるとすると大変です。そういうわけで、島田塾の有志10人でニューヨークやワシントンのいろんな論客を訪ね、話を聞いてきました。その結果、日本はトランプ氏であっても渡り合っていけると確信しました。彼の発言は非常に過激ですが、詰めが甘いし、アメリカの立法や司法制度は非常に重厚ですから、簡単に変えることはできません。


●安倍晋三首相は非常に見事にトランプ氏と関係をつくった


 それに加えて、安倍晋三首相は非常に見事にトランプ氏と関係をつくりました。トランプ氏が大統領になる前に、トランプタワーを電撃訪問したのです。安倍首相はトランプ大統領のことを非常によく調べていました。ある情報筋から、トランプ氏が「いの一番に飛んでくるやつはかわいいやつだ」という感覚を持っているということをつかんでいたようです。実際、トランプタワーを訪問し、非常に歓迎されました。

 2017年2月には、安倍首相とトランプ大統領は公式会談を行いました。この会談はアメリカ政治史上、空前の出来事でした。ホワイトハウスで会談した後、フロリダに行ってゴルフを楽しみ、さらに会談をしたのです。しかも通常であれば、公式会談の後にジョイントで記者会見を行い、夕食会をして終わりですが、夕食会と昼食会を含めて公式食事会を5回行ったのです。これはアメリカ政治史上、初めてのことでした。

 しかも、二人は19秒も握手をしていました。トランプ氏は妙に潔癖なところがあって、普段は人とそれほど長い時間、握手しないそうなのです。ところが安倍首相とは19秒間も、顔を見つめて握手をしていたのです。フィナンシャルタイムズはこれを「ブロマンス(bromance)」と報じました。

 ロマンスは男と女の肉体関係のある愛のことを指しますが、ブロマンスは、肉体関係はないでしょうが、男と男の愛を指すそ...

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