●日本は米軍基地の駐留経費を世界で一番負担している
次にドナルド・トランプ大統領と国際社会の問題を見ていきましょう。まず、大統領に就任したその日にTPPを離脱しました。TPPは、世界の自由貿易協定の中でも、最も高度で最も先進的なものです。しかし、アメリカが離脱すれば6割程度のGDPが消えてしまいますから、残りの11カ国は必死です。日本が一生懸命頑張って、何とか2018年3月には署名に持ち込み、協定が発行されるでしょう。
トランプ大統領がそうした態度を取った一方、感心な閣僚も中にはいました。ジェームズ・マティス国防長官です。彼はかつてテロリストを殺すことも厭わないと発言したことから、マッドドッグなどと言われていますが、実は8,000冊もの書物を読んでいる教養人です。
2017年2月には、マティス国防長官が日本と韓国を訪問しています。当時の稲田朋美防衛大臣と安倍晋三首相と面会し、アメリカとの安全保障関係において日本は世界のモデルだと賞賛しました。米軍基地の駐留経費を日本が相当負担しているからです。
しばしば島田塾の人たちは、沖縄の嘉手納基地を見学しにいきます。嘉手納基地は非常に広大な基地です。F-15がずらっと並んでいます。兵隊の給料と戦闘機の費用以外は、日本が全て負担しています。その割合は75パーセントにも及びます。韓国が40パーセントの負担、ドイツが30パーセントの負担です。
したがって、日本が世界のモデルであるとマティス氏は賞賛したわけです。もちろんこれが新聞等で報じられれば、トランプ大統領の日本への発言をけん制できると考えたからでしょう。
●地球温暖化対策に関するパリ協定からも離脱した
また、トランプ大統領はイスラム教徒に対する入国制限を大統領令で出しました。入れ知恵をしていたのはスティーブ・バノン氏のようです。ところが、すぐさまワシントン州やサンフランシスコ州の連邦地裁が、入国制限に対して差し止め命令を出しました。
そこでトランプ大統領は少し変更せざるを得なくなりました。しかし、次はホノルル地裁が差し止め命令を出し、結局うまくいきません。最終的には、6月26日に連邦最高裁が大統領の入国禁止令を条件付きで容認する決定を下します。これを見たトランプ大統領は勝利を喜んでいるようですが、当初から比べればかなりスケールダウンした入国制限になりました。
次に、地球温...