2018年激動の世界と日本
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
世界のイノベーションの中心は中国へ移りつつある
2018年激動の世界と日本(10)中国・習近平首席の思惑
政治と経済
島田晴雄(慶應義塾大学名誉教授/テンミニッツ・アカデミー副座長)
習近平国家主席は、2017年10月の共産党大会で、国家主席の任期をなくすことを求めた。中国の経済成長率は鈍化しつつあるが、他方で世界のイノベーションの中心は中国へと移りつつある。習主席の狙いはどこにあるのか、公立大学法人首都大学東京理事長・島田晴雄氏が、習近平体制と経済成長の今後について解説する。(2018年1月16日開催島田塾会長講演「激動の世界と日本」より、全14話中第10話)
時間:10分57秒
収録日:2018年1月16日
追加日:2018年4月22日
カテゴリー:
≪全文≫

●習主席は重工業地帯を徹底的に底上げした


 ヨーロッパが大きなリスクを抱える一方、中国はどうなっているでしょうか。島田村塾では、2017年9月下旬、中国にも訪問しました。上海から北京に入りました。北京というと、スモークがかかっていて何も見えない印象がありますが、北京の空は雲一点ない青空でした。これは習近平国家主席のおかげです。10月に開催される共産党大会に向けて、1カ月ほど前から工場を全部ストップさせ、車も乗り入れ制限を課していたそうです。

 さらに習主席がすごいのは、共産党大会を成功させるために、経済成長率までいじってしまったのです。数字をいじったのではありません。東北三省や山西省、河北省の重工業地帯は構造不況に陥っていたのですが、それを徹底的に底上げしたのです。そうすれば全体の経済成長率も上がります。

 2017年の年初、立派なエコノミストである李克強首相は、次第に経済成長率が下がっていき、6.5パーセントほどまで落ちるのではないかと予測していました。しかし、習主席のテコ入れで持ち直し、2017年度は6.9パーセントまで上がったのです。必ず反動が来ることを承知で、力ずくで行ったものです。


●世界に誇る社会主義現代化強国を実現する


 習主席は共産党大会に向けて、国際関係においても無難を貫きました。南シナ海にも手を付けませんでしたし、チベットや台湾に対してもそうで、穏便に、波風が立たないように党大会まで過ごしたのです。こうして、彼の思うような一強体制ができあがりました。党大会は10月18日から24日まで開催されましたが、その冒頭、習主席が行った演説は3時間20分にも及ぶものです。

 テーマは、「小康社会の全面的完成の決戦に勝利し、新時代の中国の特色ある社会主義の偉大な勝利を勝ち取ろう」というものです。そこでは社会主義強国を築くと言っていますが、具体的な中身はほとんどなく、スローガンばかりです。

 「新時代」というのは、2021年を当面の目標に据えるという意味です。2021年は、上海の一隅で共産党が結成されてから100年目の節目に当たるからです。それまでに小康社会を全面的に完成させるというわけです。さらに、2049年は中華人民共和国の建国100周年に当たります。その節目の年までの30年間を2段階に分け、世界に誇る社会主義現代化強国を実現すると宣言しました。新時代の強軍思想を全面的に貫徹させ、国...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
危機のデモクラシー…公共哲学から考える(1)ポピュリズムの台頭と社会の分断化
デモクラシーは大丈夫か…ポピュリズムの「反多元性」問題
齋藤純一
政治学講座~選挙をどう見るべきか(1)選挙の意味
選挙と政治権力…「選挙に勝つ」とはどういうことか?
曽根泰教
外交とは何か~不戦不敗の要諦を問う(1)著書『外交とは何か』に込めた思い
外交とは何か…いかに軍事・内政と連動し国益を最大化するか
小原雅博
マルクス入門と資本主義の未来(1)マルクスとはどんな人物なのか
マルクスを理解するための4つの重要ポイント
橋爪大三郎
グローバル環境の変化と日本の課題(1)世界の貿易・投資の構造変化
トランプの動きを止められるのは?グローバル環境の現在地
石黒憲彦
「新しい資本主義」の本質と課題(1)新自由主義と『21世紀の資本』
新自由主義からの時代背景から「新しい資本主義」を問う
柳川範之

人気の講義ランキングTOP10
数学と音楽の不思議な関係(4)STEAM教育でつくる喜びを全ての人に
世界で最もクリエイティブな国は? STEAM教育が広がる理由
中島さち子
続・日本人の「所得の謎」徹底分析(2)政府債務と預金残高の背景
なぜ日本の所得水準は低いのに預金残高は大きいのか
養田功一郎
経験学習を促すリーダーシップ(2)経験から学ぶ力
米長邦雄のアンラーニング、弟子の弟子になってV字成長
松尾睦
「集権と分権」から考える日本の核心(5)島国という地理的条件と高い森林率
各々の地でそれぞれ勝手に…森林率が高い島国・日本の特徴
片山杜秀
外交とは何か~不戦不敗の要諦を問う(1)著書『外交とは何か』に込めた思い
外交とは何か…いかに軍事・内政と連動し国益を最大化するか
小原雅博
未来を知るための宇宙開発の歴史(9)宇宙開発を継続するための国際月探査
「国際月探査」とは?アルテミス合意と月探査の意味
川口淳一郎
第2の人生を明るくする労働市場改革(1)日本の労働市場が抱える問題
シニアの雇用、正規・非正規の格差…日本の労働市場の問題
宮本弘曉
戦前日本の「未完のファシズム」と現代(8)満州事変と世界大恐慌
「100年戦争」と考えて戦争に突入した日本の現実
片山杜秀
弥生人の実態~研究結果が明かす生活と文化(1)弥生時代はいつ始まったのか
なぜ弥生時代の始まりが600年も改まった?定説改訂の背景
藤尾慎一郎
海底の仕組みと地球のメカニズム(1)海底の生まれるところ
地球上の火山活動の8割を占める「中央海嶺」とは何か
沖野郷子