激動の世界情勢を読む~米中対立の行方
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中国は一党支配を持続することができるのか
激動の世界情勢を読む~米中対立の行方(8)中国共産党の正統性と限界
政治と経済
中国共産党は、経済成長とナショナリズムによって、正統性を維持してきた。しかし、今回の新型コロナウイルスの問題も含め、中国が今後どうなっていくのかについては現在、不透明な状況だ。はたして一党支配を持続することができるのか。持続的な経済成長は可能なのか。(2020年2月15日開催・テンミニッツTV講演会「激動の世界情勢を読む――米中そして日本を中心に」より第8話)
※司会者:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:11分37秒
収録日:2020年2月15日
追加日:2020年4月3日
カテゴリー:
≪全文≫

●中国では権威主義が維持され、民主化が起こらなかった


―― 前回、「民主集中制」というキーワードも交え、中国がどのような価値を提示するかという議論がございました。年齢がばれてしまいますが、私ぐらいの年代(40~50代)の人たちは、中学や高校の公民の教科書などで、西洋的な民主主義とソ連の民主集中主義の違いについて習った記憶があります(実はソ連のほうも、「俺たちは民主主義だ」と言っていたわけですが、倒れてしまいました)。

 そこで、ご来場者からこれに関連する以下の質問を頂きました。

「共産党独裁体制のソ連は、建国約70年で国家が崩壊しました。中国の建国70周年軍事パレードをテレビで見た際に、以前から頭の隅にあった疑問が浮かびました。中国共産党の独裁国家はいつ崩壊するのだろう。複雑な地勢の広大な面積と多民族、かつ膨大な人口の国を一党独裁で維持できるのでしょうか。なんらかのきっかけで連邦制に変わることは考えられませんか」

 その他にも、「中国の一党支配は持続するのか」というような中国の覇権に対して懸念的な質問も、いくつも寄せられています。これはまさに今、曽根先生や小原先生がご指摘になった価値の部分を超えて、今の中国的なあり方、その寿命自体をどう見るかということに関わっていますが、今後の移り変わりについても含め、どう分析すればいいのか、ご意見をいただければと思います。

曽根 中国にとっては、冷戦の崩壊よりもソ連共産党の崩壊のほうが、教訓としては非常に強いインパクトを持っていました。ミハイル・ゴルバチョフが行ったのは、グラスノスチ(情報公開)と、ペレストロイカ(体制変革)で、それに対して鄧小平が行った中国の改革開放は、市場経済を通じて社会主義を実現するというものです。党の一党支配は譲らないが、市場的社会主義にするという試みです。ここでは、ソ連の失敗を繰り返さないという中国の立場が明白に見られます。

 もちろん、指導者によって違いはありました。鄧小平政権の頃は低姿勢で、胡錦濤政権まではそれが続きました。それが習近平政権になると、この部分が変わっていきます。つまり、自信を持ったことで、国外に対しても国内に対しても、権威主義体制がさらに権威主義化していったのです。そのため、この体制はもう続かないだろうという説を唱える人は、過去のアメリカにも多く存在しました。中国では多くの...

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