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新型コロナウイルスに関する中国政府の対応の問題点

激動の世界情勢を読む(1)新型コロナウイルス問題:前編

情報・テキスト
コロナウイルス
出典国立感染症研究所ホームページ
https://www.niid.go.jp/niid/ja/kansennohanashi/9303-coronavirus.html
2020年、新型コロナウイルスの問題に関して、中国政府の対応にどんな問題があったのか。とりわけ中国においては情報の透明性が十分ではなく、政府のガバナンスへの批判もある。今回を含め計3話でこの問題について議論を進めていく。(2020年2月15日開催・テンミニッツTV講演会「激動の世界情勢を読む――米中そして日本を中心に」より:第1話)
※司会者:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:10:19
収録日:2020/02/15
追加日:2020/02/27
≪全文≫

●新型コロナウイルスに関する初動対応の遅さが問題


―― 今回の講演会のテーマは、「激動の世界情勢を読む――米中そして日本を中心に」です。現在大変な問題が起きていますので、まずはそれについて、曽根泰教先生、小原雅博先生、お二人にお話をお聞きできればと思います。

 それは、今般の新型コロナウイルス問題です。ただ、今の状況だとこの問題がどうなっていくのかという今後の見通しは難しい局面です。この講演会でお聞きできればと思っているのは、特に中国共産党政府の対応の問題点がどこにあるのかということです。あるいは、WHOや日本政府の対応の是非、さらには今後の展望について両先生にお聞きしたいと思います。

 ではまず、今回の新型コロナウイルスへの対応につきまして、中国政府としてどのような問題点があったのか、曽根先生はどう見ていますでしょうか。

曽根 初動が遅かったという説は、かなり一般的です。しかし、そうだとして、何ができたのかを考える必要があります。遅かったという理由の1つは、2019年12月くらいから、海鮮市場の周りで変な肺炎がはやっているということに気がついていた人がいたということです。その後、公衆衛生上の理由を持って、2020年1月の初旬に市場を閉鎖する、あるいは移動を制限するという、一種の強硬手段を取れば良かったのですが、実際の武漢の交通封鎖は1月23日になりました。つまり、対処が20日間ほど遅れてしまったのです。20日間ほど早く行っていれば、もう少し感染を防げたかなとは思いますが、しかしそれでも広がってしまう可能性はありました。


●ウイルスは簡単に国境を越える、顔認証では防げない


曽根 しかし、私の上の資料にもあるように、顔認証とAIではウイルスの蔓延は防げないのです。中国では顔認証のシステムが発達してきていますが、ウイルスに関していえば、そう簡単な話ではありません。

 また、ウイルスは簡単に国境を超えます。昔から鳥やイノシシなどを通じて、ウイルスは国境を超えて運ばれていました。むしろ国境はその後にできた仕組みです。日本も行っていますが、水際作戦は、2003年のSARS(severe acute respiratory syndrome、重症急性呼吸器症候群)や2009年のインフルエンザウイルスの時でも、うまくいっていません。ですから、中国も問題になっていますが、日本もかなり大変な問題に直面しているということです。


●中国の統治制度の問題が広がっていった


―― 小原先生は、新型コロナウイルスに対する中国政府の問題点について、いかがでしょうか。

小原 今、曽根先生がおっしゃられた初動対応の遅れは、中国の人たちの多くが感じており、それが1つの大きな批判になっています。もう少し細かく見てみると、実は李文亮(リー・ウェンリアン)さんという若いお医者さんが、2019年12月30日に「WeChat」というスマートフォンアプリを通じて友人たちに向けて、今回のこのウイルスの危険性について伝えました。友人の1人がそれを拡散させてしまったということですが、2020年1月1日に、事実でないことを世の中にふりまいたとして、彼は公安に出頭を求められ、3日に警告と訓戒処分を受けました。

 それでも彼は、その後も現場である医療の最前線で治療にあたり、自らも感染して、2月6日に亡くなりました。享年34歳という若さでした。この話が国民の間に広がり、「けしからん」という状況になりました。この問題についてはこの後も議論になると思いますが、中国の「治理」というガバナンス、つまり統治制度についての疑念が広がっていったのです。


●情報の透明性に明らかな問題があった


小原 先ほど曽根先生も初動対応はどうだったのかとおっしゃいましたが、初動体制は本当に正しかったのかについての検証が、そこで一度封じ込められてしまったのです。1月20日には、SARSと戦った鍾南山(チョン・ナンシャン)という中国の英雄である医師が、国のウイルス対応チームのトップになりました。彼は1月20日に人から人への感染について言及しています。翌21日には医療従事者15人が感染しています。その日に、『環球時報』という人民日報系の新聞が、社説で中国政府の情報公開の遅れを批判しています。

 これを受けて、1月27日に武漢市長は、爆弾発言ともいえることを言っています。中国中央電視台(CCTV)のインタビューに答え、「感染症についての情報を速やかに公表できなかったのは、関連の法規によって上層部の許可を取る必要があったためだ」と説明をしました。これを受ける形で、中央も動きます。習近平氏は2月3日に「責任を他に転嫁する場合、直接の責任者の責任を追及して、重大な場合には問責をする」としました。その後、皆さんもご承知の通り、2月13日に...
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