激動の世界情勢を読む~米中対立の行方
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
日本の方向性を考える上で参照すべき2つの考え方
激動の世界情勢を読む~米中対立の行方(10)日本の選択肢:前編
政治と経済
米中関係の分断に際して日本が取り得る方針として、融合を模索するリベラリストの考え方と、力の均衡を目指すリアリストの考え方である。両者はそれぞれどういった考え方なのか。(2020年2月15日開催・テンミニッツTV講演会「激動の世界情勢を読む――米中そして日本を中心に」より第10話)
※司会者:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:8分37秒
収録日:2020年2月15日
追加日:2020年4月10日
カテゴリー:
≪全文≫

●日本の国際社会へのメッセージは弱すぎる


―― 前回の議論に関連した質問がご来場者から複数寄せられています。その内容を紹介します。

「日本の米国への属国的な立場はいつになったら、あるいはどうしたら解消するでしょう」
「敗戦からの伝統ともいえる米国追随からの脱却は、あり得ないのでしょうか」

 といった内容ですが、前回のご意見も踏まえて、この質問にはどのようにお答えになりますか。

曽根 現状認識としては、日本はアメリカの属国でもなければ追随でもないと思います。これは、安倍晋三総理がドナルド・トランプ大統領とうまくやっているからではありません。そうだとしたら、ドイツやイギリスフランスも全て、アメリカの属国ということになります。日本は、ヨーロッパの国と同等以上の国際的な地位を占めており、小国や辺境の国でもありません。堂々としたポジションがあるのです。

 ただし、日本のメッセージが弱いということは、シリーズ内でもお話しした通りで、それに関連して、中国の「一帯一路」というキャッチフレーズは良いよね、という話をしました。日本もそういったキャッチフレーズでもいいので、何か考えるべきだ、と。

 なぜ「アジア太平洋」がメッセージとして弱いかというと、イギリスとフランス以外のヨーロッパの国が興味を持たないからです。だから、例えばスウェーデンやフィンランドの人たちも納得のいく、日本の世界に対するメッセージはあったほうがいいでしょう。


●このままでは米中間で「デジタル鉄のカーテン」が生じる


―― 小原先生、同じく米中の間の日本の位置についてお願いします。

小原 最後に曽根先生が言われたメッセージについては、私も大賛成です。おそらく、戦略やアプローチは大きく2つに分かれると思います。1つは、いわゆるリベラリストの人たちの議論です。アメリカは今、アメリカか中国かどちらかを選べという選択を、日本も含めた同盟国に迫っています。これには、5Gに関わるファーウェイの問題も含まれています。しかし、例えばアメリカが強固に中国へ技術を渡さないとして本当にその議論を推し進めていくと、世界はブロック経済化してしまいます。

 僕は「日曜討論」(NHK)という番組で、1度、「デジタル鉄のカーテン」という話をしたことがあります。中国についても、日本経済新聞の...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
外交とは何か~不戦不敗の要諦を問う(1)著書『外交とは何か』に込めた思い
外交とは何か…いかに軍事・内政と連動し国益を最大化するか
小原雅博
トランプ・ドクトリンと米国第一主義外交(1)リヤド演説とトランプ・ドクトリン
トランプ・ドクトリンの衝撃――民主主義からの大転換へ
東秀敏
習近平中国の真実…米中関係・台湾問題(1)習近平の歴史的特徴とは?
一強独裁=1人独裁の光と影…「強い中国」への動機と限界
垂秀夫
岸信介と日本の戦前・戦後(1)毀誉褒貶相半ばする政治家
「昭和の妖怪」岸信介の知られざる実像を検証する
井上正也
日本の財政政策の効果を評価する(1)「高齢化」による効果の低下
高齢化で財政政策の有効性が低下…財政乗数に与える影響
宮本弘曉
デジタル全体主義を哲学的に考える(1)デジタル全体主義とは何か
20世紀型の全体主義とは違う現代の「デジタル全体主義」
中島隆博

人気の講義ランキングTOP10
学力喪失の危機~言語習得と理解の本質(1)数が理解できない子どもたち
なぜ算数が苦手な子どもが多いのか?学力喪失の真相に迫る
今井むつみ
習近平中国の真実…米中関係・台湾問題(5)恐るべき台湾への「浸透」
浸透工作…台湾でスパイ裁判が約70件、それも氷山の一角
垂秀夫
伊能忠敬に学ぶ「第二の人生」の生き方(1)少年時代
伊能忠敬に学ぶ、人生を高めて充実させる「工夫と覚悟」
童門冬二
世界のジョーク集で考える笑いの手法と精神(1)体制を笑うジョークと諷刺の精神
ジョークの精神…なぜ人は厳しいときほど笑いを磨くのか
早坂隆
未来を知るための宇宙開発の歴史(12)宇宙推進技術はどこまで進化したか
水平離着陸で宇宙へ、近未来のロケット像と進む技術開発
川口淳一郎
経験学習を促すリーダーシップ(1)経験学習の基本
成長を促す「3つの経験」とは?経験学習の基本を学ぶ
松尾睦
いま夏目漱石の前期三部作を読む(1)夏目漱石を読み直す意味
メンタルが苦しくなったら?…今、夏目漱石を読み直す意味
與那覇潤
クーデターの条件~台湾を事例に考える(4)クーデター後の民政移管とその方策
軍政から民政へ、なぜ李登輝はこの難業に成功したのか
上杉勇司
数学と音楽の不思議な関係(1)だれもがみんな数学者で音楽家
世界は音楽と数学であふれている…歴史が物語る密接な関係
中島さち子
『還暦からの底力』に学ぶ人生100年時代の生き方(1)定年制は要らない
仕事をするのに「年齢」は関係ない…不幸を招く定年型思考
出口治明