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日本が新しいグローバルスタンダードをつくるために

激動の世界情勢を読む(11)日本の選択肢:後編

情報・テキスト
日本にとって現実的な選択肢は、リベラリストとリアリストの間を進むということである。そこにおいて、日本は新しいグローバルスタンダードをつくることが求められている。そのための競争にどう立ち向かうべきか。今、競争は国境で制約されていない。そこをうまく利用すべきである。(2020年2月15日開催・テンミニッツTV講演会「激動の世界情勢を読む――米中そして日本を中心に」より全12話中第11話)
※司会者:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:06:08
収録日:2020/02/15
追加日:2020/04/10
ジャンル:
≪全文≫

●リベラリストとリアリズムの両者から考える


小原 私はおそらく、(リベラリストとリアリストの)2つの中間的な立場です。両方の見方がやはり必要なのです。日本の外交は今、非常に良い状況です。なぜかといえば、現在の日米関係はものすごくしっかりしており、堅固だからです。同時に、米中関係が悪くなってきているなかで、日本には中国からも秋波が送られており、日中関係は改善しています。日本外交にとっては、行動する余地が非常に広がっているのです。

 ということで非常に良い状況なのですが、この状況がいつまでも続くとは限りません。例えば、アメリカ大統領選挙の後、次の大統領が誰になるかによって、今度は米中が手を握るかもしれません。不確実ななかで、いろいろなことが起こり得るのです。そうすると、対外的な環境の変化の前に、日本はもっと主体的に動いておかなければなりません。今、非常にコンフォタブルな状況なので、自分たちの力で、これをしっかりと長続きさせられるような状況に持っていく必要があるのです。その意味でいえば、リベラリストとリアリズムの両方の観点が求められます。


●日本がグローバルスタンダードを生み出していく


小原 そこで、先ほど曽根先生が言ったようなメッセージのようなものが必要です。私は特に、グローバルスタンダードをつくるために、日本がしっかりと汗をかいていくことが必要だと考えています。実は、このことを安倍晋三首相は今年(2020年)の所信表明演説のなかで、はっきり言っています。「新しい時代の公正なルールづくりを、わが国がリードします。その決意であります」と。そして例えば、「サイバーや宇宙といった領域で、わが国が優位性を保つことができるようにやっていきます」ということを言っています。

 先ほど新たな脅威について話しましたが、時代が大きく今、変わりつつあります。そうした大きな転換のなかで、自由で開かれた「インド太平洋」のように、新しい価値を中国自身も考えています。そうしたなかで、日本がリベラルな価値をしっかり守っています。アメリカやヨーロッパがおかしくなっているなかで、日本がリベラルな価値を守りながら、新しいスタンダードつくりにしっかりと汗をかいているのです。これに対しては、多くの国が「日本はしっかりやっている」と評価しています。だから、この努力をもっとしっかりと続けていかなければなりません。その意味でも、メッセージをもっとしっかり出していくことが必要だと思います。


●次のフロンティアのために日本がすべきこと


―― ありがとうございます。曽根先生、最後に、今の小原先生のお話についてまとめてお話をお願い致します。

曽根 幸か不幸か、日本は世界を牛耳るような宗教や技術を持っていません。1990年代以降、グローバル化が進展している時に、いくつかのポイントで、日本には欠けている部分がありました。例えば、国際取引における法律は日本の法律ではなく、ドイツ法や英米法を中心として行われました。言語も日本語ではなく、英語中心でした。OSは、日本が乗り込もうとしましたが、基本的にはアメリカのソフトウェアやシステムの会社が握っていました。ビジネスモデルは、当初日本が優位に立っていたのですが、いつのまにかAmazonやFacebook、Googleに取られてしまいました。そうした意味で、やはり日本はグローバルな価値観やグローバルなシステム提供を考えるべきだと思います。

 現在では多くの人が、「プラットフォーマー」と呼ばれる、インターネット上で大規模なサービス提供をする企業のプラットフォームに乗って、ビジネスをしています。このビジネスモデルの展開力が、日本においては1990年代から2000年代にかけて弱かったのです。

 例えば、かつてiモードは世界標準になりかけたのですが、途中で挫折してしまいました。その頃、iモードは技術的には進んでいたのです。しかし、世界の標準にはなれませんでした。TRONもそうです。だから、そうした意味で本当はサイバースペースの競争、つまりインターネット空間での競争は、日本にとってとても良いチャンスだったのです。結果的には、それを逃してしまいました。

 では、次のフロンティアは何なのか。環境、生命、医療、あるいは通信が次のフロンティアであるといわれてきました。しかし、どれもパッとしません。部品に関しては、世界市場で7~8割の会社が日本にあります。しかし、部品ではなく大どころ、つまりOSの分野で挑戦し、それに競争力を持たせるとなると、それは簡単ではありません。とはいえ、例えばLinuxがフィンランドから来ていることを考えると、今は競争が必ずしも国境で制約されていないということです。それをうまく利用すべきだと思います。
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