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習近平的な価値観からいえば、中国は「民主」である

激動の世界情勢を読む(6)対中政策の転換と中国の価値観

情報・テキスト
アメリカにとって、米中問題の深刻化はどのような意味をもっているのだろうか。中国への警戒感が増すにつれ、貿易だけでなく、安全保障にも絡む深い対立が見えてくる。そこで気になるのが中国のシステムだ。9000万人いるという共産党員は中国社会のなかでどんな関わり方をしているのか。また「核心的価値」といわれる中国の価値観とは。(2020年2月15日開催・テンミニッツTV講演会「激動の世界情勢を読む――米中そして日本を中心に」より全12話中第6話)
※司会者:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:11:42
収録日:2020/02/15
追加日:2020/03/27
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≪全文≫

●アメリカは中国とロシアを強く警戒している


―― 小原先生、同じ質問についてどう思われますか。

小原 2017年12月に、アメリカは国家安全保障戦略を出しました。これは本来、各政権が毎年出すことを議会で義務付けられているものです。毎年ではなく何年かに1度、あるいは4年に1回切り出す大統領もいるのですが、ドナルド・トランプ大統領は2017年に出しました。この国家安全保障戦略は、日本でも2013年に安倍政権が初めてつくりましたが、国家として安全保障をどう進めていくかという基本的な方針です。

 アメリカの国家安全保障戦略のなかには、次のような言葉があります。「中国とロシアは、アメリカの国益や価値観と対局にある世界を形成しようとする、修正すべき勢力である」。つまりアメリカは、中国とロシアのことをリビジョニストだと見なしているのです。


●アメリカは対中政策を転換せざるを得ない


小原 今、曽根先生は、米ソの冷戦と現在の状況は、ずいぶん違うとおっしゃいまいた。これは多くの専門家の方が指摘しています。これに関連して、2018年10月、そして2019年10月に、マイク・ペンス副大統領が演説をしています。そのなかで、例えば国家安全保障戦略の記載と同様な内容を主張しています。つまりペンス副大統領は、アメリカの国益と価値観に最も有害なものとして中国の政策を多く取り上げて、批判をしているのです。「過去40年の対中政策は実は失敗だった」という主張です。それゆえ、対中政策を転換しなければならないと考えています。極端な言葉を使うと、「封じ込めをしなければならない」ということです。

 こうしたなか、われわれは、トランプ大統領自身の政策や彼の言動だけでなく、超党派での議会や、国内の雰囲気も踏まえた全体的な対中計画案の広がりと、その中心にあるワシントンの政策立案者たちを、しっかり分けて見ていかないといけなければならないと思います。


●米中関係は安全保障にも関連する


小原 今回、米中貿易戦争の中で、ようやく第1フェーズの合意ができました。これが、皆さんの企業も含めて、世界経済にも一定のプラスの効果を出しました。実際には、トランプ大統領は選挙キャンペーン以来ずっと一貫しています。つまり、アメリカは自由貿易といいつつも実際にはアンフェアな貿易によって、ずっと犠牲を払ってきたという立場です。それによって、多くのアメリカ国民やアメリカ企業は負担を押し付けられてきたのだと、一貫して主張してきました。それに基づいて、トランプ氏は再度大統領選挙に向かいます。岩盤支持層はラストベルトの人たちです。これは、「中国はけしからん」という感情をうまく利用したポピュリズムだといえます。そうしたものに乗っかった短期的な利益を、目に見える形で取ることで、支持を広げてきました。

 こうしたトランプ大統領の政治と、もっと深いところにある、曽根先生が言った「ツゥキディデスの罠」のようなものとは深く関係しています。つまり、大国が国際政治の中心にいて、国際秩序を決めていくなかで、その大国の力関係が変わってきたときに戦争が起こるということです。

 この理論に基づくと、スパルタがアテネの台頭を恐れたように、アメリカは中国の台頭を非常に恐れています。このままではいけないと見なし、これに対してなんらかの対応を考えます。こうした発想が、ワシントンにいる政策担当者、議会、メディア、専門家にも今、非常に増えています。その部分を見ていくと、今後の米中関係とは単に貿易戦争だけの話ではなく、安全保障と絡んだ、非常に深い対立の原因なのだということが分かります。このことをわれわれは忘れないようにして、この米中関係や世界の動きを見ていく必要があります。


●9000万人の共産党員の関与の仕方を中心とした中国のシステム


―― 今のお話について、曽根先生はいかがでしょうか。

曽根 資料は、私が中国で撮った写真です。上は、2019年に武漢でシンポジウムを行った翌日、華中師範大学で講演した時の写真です。

 その次は、その翌日、山西大学での講演の様子です。これは太原にあるので、飛行機で2時間くらいかかります。日本でいえば、東京で講演をした後に札幌に行くようなものです。

 山西大学は、古く、良い大学でした。ちょうど今話している部屋くらいの広さの教室で講演しました。部屋の外に出てみると、教室にプレートが貼ってありました。

 この写真です。ここから分かるのは、山西大学のこの教室は、党の学校であるということです。

 表向きは山西大学なのですが...
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