米中ハイテク覇権戦争
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米中ハイテク覇権戦争の展開と行方に関する4つの問題提起
米中ハイテク覇権戦争(9)4つの問題提起
島田晴雄(慶應義塾大学名誉教授/テンミニッツ・アカデミー副座長)
米中ハイテク覇権戦争は今後どうなっていくのか。その展開と行方に関して、シリーズ最終話で島田晴雄氏が独自の視点から4つ問題提起をする。なかでもその最後で、「日本への警告と課題」として、この米中覇権戦争に直面して、日本は自国の維持のためにかなり難しい選択が迫られるのではないかと語る。(全9話中第9話)
時間:5分27秒
収録日:2019年11月20日
追加日:2020年3月7日
カテゴリー:
≪全文≫

●中国の躍進と中国の夢


 最後に、ハイテク覇権戦争の展開と行方に関して、以下の4点を皆さんと一緒に考えたいと思います。

 まず1つ目は、中国の躍進と中国の夢、「中国夢」です。中国の近年の躍進は、開発途上国から先進国をめざす移行過程で、いわゆる中進国の罠に陥らないために先進的なアメリカの情報技術を学び、経済の質の向上を官民挙げて追求した結果です。しかし、単にそれだけということだけではありません。

 より大局的に見ると、習近平主席が指摘するように、アヘン戦争以来の180年に及ぶ屈辱の歴史を克服し、本来の中国人民の力を発揮する。そうして、中華人民共和国建国100年にあたる2049年までに、経済的な発展を達成し、そしてその結果として、真の強国になることをめざすという、長大で真剣な国づくりの思想がその根幹にあるわけです。

 さらに、中国の文明史は3000年の長さを誇るのに対して、アメリカ合衆国の歴史はまだ2世紀半に満たない短いものです。中国は2000年にわたって世界最大の帝国でした。そうした考えのもとで強国中国の再興をめざしているとすれば、中国は容易に掲げた目標を下ろすことはないだろう、と考えられます。


●ハイテク覇権戦争が収束する可能性


 2点目は、この対立が収束する可能性です。中国が壮大な国家的野望の達成に向けて総力を挙げて取り組んでいる一方、アメリカも世界に君臨する覇権国として、中国に簡単に譲歩するわけにはいきません。とりわけ、国家統治の価値観が大きく異なるだけに、おそらく双方とも妥協は難しいと考えられます。トランプ大統領の最大の目的は、大統領選での勝利なので、その限りでディールもあり得ます。しかし、中国への警戒感、敵対意識はいまや民主党も含め、アメリカの指導層に広く浸透しています。特に軍と諜報部門は、強く警戒感を持っています。

 中国はアメリカの関税攻撃に対して、日中戦争中に毛沢東が唱えた持久戦戦法、つまり遭遇戦、陣地戦、逆転攻勢などの戦略を唱えています。こうした状況では、収束には非常に長い時間がかかりますし、その可能性は現状ではほとんど見出せません。


●アメリカと中国による世界の分断はあるのか


 そうすると、3番目の問題提起として、アメリカと中国による世界の分断はあるのかという疑問が出てきます。通信などの中国のハイテク企業に対し、アメリカは彼らがこれまで依存...

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